「父×母父」検証
2020年11月03日
血統表で父系を「色分け」する重要性
ソフト自体のデフォルト設定では、サンデーサイレンス系（即ちターントゥ直系）は濃いピンク、ノーザンダンサー系（その父祖ニアークティック系も含む）はイエロー、ネイティヴダンサーを始祖とするミスタープロスペクター系（通称ミスプロ系）は水色、そして現代はやや存在感を弱めつつあるナスルーラ直系についてはグリーン、その他の異系については濃い茶色（ただしPOT-8-O's直系全般）、セントサイモン直系については濃紺、そして完全異系となるバイアリーターク直系子孫（トウルビヨン系など）は濃いグレー、同じく完全異系のゴドルフィンアラビアン直系子孫（インリアリティ系など）は薄いグレー、などで表示分けされる。
これら父系のカラーリング設定は、カスタマイズ機能により個々人でそれぞれ別の色に変えることが可能だが、個人的には当初からソフトのデフォルト設定のままで使用している。
皆さんご存知のアウトサイダー血統予想家、亀谷敬正氏も父系を説明する際に、彼独自のカラー設定を用いておられるが、ターゲットのデフォルト設定とは全く異なる色分けをして各系統の父系を説明しているので、亀谷氏の色分けした父系に慣れている読者の方は、ターゲットでの父系の識別には違和感を覚えるかもしれない。
個人的にはその逆で（苦笑）、ターゲットでの父系の色分けに慣れてしまっているので、亀谷氏自身の著書などで彼独自の父系の色分けを見ると違和感を覚えてしまい、「え？これどの父系？」と困惑してしまうことがある。
今回はその一例として、以下にターゲットの血統表の表示の仕方を載せておくことにするが、先日のアルテミスＳで３着に入線したテンハッピーローズが「同系配合馬」の扱いなので、その説明も兼ねて対象とすることにした。
テンハッピーローズ自身は、その両親が共にターントゥ〜ヘイルトゥリーズン〜ロベルトへと連なる父系で、父も母もそれぞれロベルト直系の血を持っていることが分かる。
なのでロベルト（４×４）の持ち主なのだが、当ブログの「同系配合の概念」に当てはめ、最上段に位置する直系の父系を意味するアルファベットのAと、母自身の直父系（母の最上段）に存在する場合をaとし、
・テンハッピーローズ（ロベルト４A×４a、且つサンデーサイレンス４×３）
と位置付けて考察している、ということになる。クロス表記にA及びaの文字が付随することによって、その馬の両親が共にロベルト直系であることを便宜的に示すものとしている。
もっと言えば、父のエピファネイア、母のフェータルローズそれぞれもやはり「同系配合馬」として位置付けられることが一目瞭然なのがお分かりいただけるだろう。
まあ、あくまでこれは一例として取り上げただけで、今後の記事においても必要を感じた場合には随時、考察対象馬の血統表を表示することも考えている。
今回はターゲットの機能をご存知ない方々のために、その機能の一部として紹介した次第にて（パソコン閲覧ではチトはみ出てしまうがW）。
2016年07月02日
父キンカメ×母父サンデーＳ検証(6)
残念ながらドゥラメンテの引退が発表されてしまいましたが、精密検査の結果が「競走能力喪失」といきなり診断されてしまうとは、かなり意外でしたね。
そこまで重度の故障になるとは、レース直後の様子からは窺えませんでしたし。
うがった見方かもしれませんが、実際にはそこまでの診断結果ではなかったのに、これ以上現役にこだわり続けて取り返しのつかない事態になってしまう前に、とっとと種牡馬入りさせたほうが得策だろう、との思惑が働いたのではないか？なんて憶測をしちゃいそうになりますね。
単に、「故障の程度は軽いが、もう種牡馬入りさせます」などと発表してしまうと、凱旋門賞挑戦という大志を抱いていた手前、競馬ファンを納得させられそうにないので「そういうことにしておこう」という・・・。
所詮、推察の域を出ない話ではありますが。
正直、あの豪脚がもうレースで見られないというのは残念至極、と言うしかなく・・・。
さて、そのドゥラメンテも「父キンカメ×母父サンデーＳ」となる見た目配合の１頭であったワケですので、一応取り上げておきますと、
・ドゥラメンテ（母アドマイヤグルーヴのBLP=11:(4,3,4)）
母自身の血統背景はサンデーサイレンスにトニービン、ノーザンテーストといった時代の趨勢を大きく左右したスーパー種牡馬たちが名を連ね、牝系も含めてそれら全てがドゥラメンテの競走能力に凝縮し、あの衝撃の皐月賞勝利へと導いたのかなと。
エアグルーヴ〜ダイナカールとなる牝系を更に遡っていけば、１９４２年生まれのSweet Cygnetという繁殖牝馬の父が、ハイペリオンであるというところまでが注目すべき配合要素になるかと思います。
まあこの配合をこれ以上ヨイショしても際限がないので、似たような配合の持ち主を前回に引き続き、現９歳となるキンカメ産駒からピックアップすると、
・ミッキードリーム（母フローリッドコートのBLP=11:(4,3,4)）
が挙げられるかと思います。フローリッドコート自身、父サンデーＳにトニービン・ノーザンテーストと配合されてきた部分についてはアドマイヤグルーヴと全く同じ、と言えます。
異なるのは牝系の流れだけで、サクラハゴロモ（アンバーシャダイ全妹）〜クリアアンバーという輸入繁殖牝馬へと遡る系譜ですが、シックル経由の血が更にその奥のほうにあるんですね。
過去記事では、この牝系の先にあるシックル経由のラインも減算措置（配合相手がシックル直系子孫のキンカメである為）をとっていた経緯がありましたが、一応ミッキードリームは朝日ＣＣの勝利実績と、中京記念を２年連続２着という「芝重賞連対実績」がありますので、最終的には減算措置の解除ということで上記のようになっております。
まあミッキードリームはドゥラメンテほどの強さは感じられないタイプではありましたが（苦笑）、潜在的な部分での迂回血ラインの要素（＝底力要素）の継承は、ほぼ同等のものがあったということで。
2016年06月28日
父キンカメ×母父サンデーＳ検証(5)
前回の(4)で久々に再開したシリーズ記事の5回目となります。今後はなるべく滞らないシリーズ記事にするつもりでおりますが。
キングカメハメハの初年度産駒は既に１０歳となっており、前回までにエオリアンハープとゴールデンチケットの２頭及びそれらの下となるきょうだいを取り上げました。
今回から現９歳のキンカメ産駒及びその下にいるきょうだいが存在すれば、併せて取り上げていくことにします。
・ソリタリーキング（母スカーレットレディのBLP=7↓:(4,2↓,1)で減算解除なし）
２００９年１２月に阪神ダート１８００ｍの新馬戦でデビューし勝利。２戦目も京都のダート１８００ｍで勝利し、３戦目にダートのオープン特別、ヒヤシンスＳで２着。
続く４戦目にいきなり芝の重賞、スプリングＳに出走し１４着に大敗、陣営は以後のレース選択をほぼダート戦に絞り、馬券に絡む活躍を見せたのは全てダート戦でのみでした。
この馬の半兄にはヴァーミリアン（父エルコンドルパサー）がいましたが、この兄ほど大物には成り切れず、重賞タイトルとしては東海Ｓ（Ｇ�供砲両〕�が目立った程度でした。
ソリタリーキング自身に芝での勝利実績は一切なかったので、このブログで考察対象になることはありませんでしたが、下となる全きょうだいは何頭か存在するので名を挙げておきます。
・カーマイン（牡・現８歳）
この全弟は芝レース中心に使われ３勝するも、結局１０００万下クラスのまま鳴かず飛ばずで低迷、今年に入りダートで３戦使われましたが現状を打開出来ないまま、登録抹消となっています。
・マナオラナ（牝・現５歳）
こちらの全妹もダート戦での１勝のみで、芝を３戦ほど使われましたが馬券に絡むようなことはなく、今年２月のレースで競走中止、そのまま抹消となる経緯。
母がスカーレット一族などと聞けば、その仔らはいかにも「芝重賞級」に出世していきそう、というようなイメージが先行しますが、やはり迂回血ライン継承度（＝ＢＬＰ）がさほどでない（１０以上でない）ような母の場合、そうそう簡単に芝重賞級の仔を産めるものではない、という判定を下すことになりますね。
ダートの重賞級に出世していけるようなら、それはそれで当然価値のあるものですが、母自身の豊富なＢＬＰ＝芝重賞級の仔を産む確率ＵＰ、という仮説を検証する立場から血統考察するこのブログにおいては、芝とダートでの活躍度を左右するものは何なのか？を、「迂回血」の要素で明確に定義づけしていきます。
現２歳馬には、父キンカメでなく後継のルーラーシップが父である半妹、スプレンダークランという牝馬がいるのですが、この馬はノーザンテースト（４×３）の「奇跡の血量クロス」が必然として生じてしまう配合の持ち主で、ＢＬＰでの検証は出来ないタイプなのが残念（苦笑）。
そうなると現１歳馬の「スカーレットレディの２０１５」が父エイシンフラッシュで、５代アウトブリードの配合となるタイプなのでＢＬＰでの考察が可能となり、ダービー馬を父に持つこの息子が来年デビュー以降、果たして父同様に「芝重賞級」に出世していけるかどうか？が最大の興味になりそうですね、個人的には。
スカーレットレディ自身、既に今年で２１歳になるので、もうこれ以上種付けを続けるのは酷というものでしょう。
人間の思惑だけを優先し繁殖牝馬に過剰な負担を強いるのは、大手牧場ならば控えてもらいたいものですね。ヴァーミリアンを産んだほどの母ですし、功労馬として今後は静かに余生を送らせてあげたいなと願う次第にて。
2016年06月22日
父キンカメ×母父サンデーＳ検証(4)
先週の２歳新馬戦（芝１６００ｍ）についてですが、東京も阪神も、走破タイム的にとてもマトモなレベルではないので問答無用でスルーします。まあ特に重め馬場の場合には走破タイムに関係なく、どのみちハナから取り上げないことにしているわけですが。
いくらスローになりがちな２歳戦と言えども、良馬場であればもう少しマトモな走破時計で走ってもらいたいものですね。世間一般的に「良血」などど騒がれている馬であるのなら尚更、ですな・・・。
さてさて、過去には様々なテーマを掲げて「記事のシリーズ化」を試みては、試みた当の本人がすっかりシリーズ化をしようとしていたことさえ忘れている、という感じなのを少しは反省せねばと思っている今日この頃。
そのシリーズの１つとして、「父キンカメ×母父サンデーＳ」となる見た目配合の馬たちを検証していく記事をカテゴリに加えていたのですが、ほぼ１年近くのあいだ全く更新もさせず過ぎてしまい、誰からも期待すらされていないでしょうが（苦笑）、そろそろ続きの記事をＵＰさせようかと。
ということで前回(3)ではエオリアンハープを取り上げていたことを思い出しつつ、「芝の重賞級」にまで出世するかどうかの分かれ目となる配合要素を「迂回血」の概念で考察します。
なお、「父キンカメ×母父サンデーＳ」の見た目配合であっても、「芝のマイル以上」で勝利実績のない馬や、ダート実績だけしかない馬は、迂回血の概念を適用しないのが基本方針であることを予めおことわりしておきます・・・。
・ゴールデンチケット（母アグネスショコラのBLP=9:(4,2,3)）
この馬自身はとうの昔に登録抹消となっているのですが、全弟が２頭存在しますのでそれらを含めて検証しておきます。
ゴールデンチケットは２００８年１０月に東京の芝マイル戦での新馬デビューを含め４戦しても勝ち上がれず、翌年３月に船橋競馬の中央交流競走（ベストホイップ特別）に出走し、２着馬に５馬身差をつけたのが初勝利の瞬間でした。
陣営はその次走にいきなり毎日杯を選択し、１２番人気で２着（勝ち馬アイアンルック）というカブキ者ぶりを発揮しています。そこではアプレザンレーヴ（次走で青葉賞勝ち）やストロングリターン（６歳時に安田記念勝ち）といった馬たちに先着していたのですから驚きですね。
もっともその毎日杯のレースレベル自体はすこぶる低いものだったというほかなく、ストロングリターン以外はマトモな出世が望めないまま終わったような馬たちばかりの集まりでしたが。
ゴールデンＴ自身はその勢いで皐月賞に出走するも１１着、合い間に地方ダート重賞を挟みつつ日本ダービー７着、セントライト記念で１４着を最後に、以後は完全にダートレースに移行。
同年のジャパンＣダートでは再び人気薄（１２番人気）の立場ながら３着に激走しました。同世代のワンダーアキュート（６着）にも先着するというカブキ役者ぶりを発揮していたんですねえ。
まあその後の経緯は端折りますが、レースレベルはともかく、一応は毎日杯というれっきとした芝の重賞で連対していましたので、母アグネスショコラの血統背景に存在するシックル経由のラインを迂回血の算出対象から除外するという減算措置は解除とし、母のＢＬＰ＝９となっていたワケでした。
マイル以上の芝レースでの重賞連対実績ははっきり言ってそれだけしかないので、実績と呼ぶにはちょっと抵抗感もないワケではないものの、まあ百歩譲ってよしとするか、なんて感じでして・・・。
とは言いつつも、全弟が２頭存在する以上は引き続き検証対象として継続的に観察し、ゴールデンＴよりも芝馬としての「出世」が果たせるか？が考察のテーマとして重要になります。
５歳年下の全弟、ロワジャルダンはデビュー戦に中山ダート１８００ｍを使われ勝利するも、続く芝２４００ｍのゆりかもめ賞で９着に敗退すると、それ以後の陣営はダートレースのみで使い続けることを選択。現在へと至りますね。
もう１頭の全弟カントリーロードは昨年１２月に阪神ダート１８００ｍでデビューするも１１着に惨敗。２戦目からは芝レースで使われてきましたが未だに勝利出来ず。まだ芝に固執し続けるのか、再度ダートに戻すかは定かでないですが、どのみちこのまま勝ち上がれなければ中央での登録抹消を余儀なくされ、地方への転厩も視野に入れざるを得なくなってしまいそうな状況。
いずれにしても全弟２頭は芝のマイル以上で勝ち上がる実績がないままに推移してしまっているので、長兄ゴールデンチケットの「毎日杯２着」という実績はそのレースレベル自体も含め、あまり評価の高いものとしては受け止められないなという結論に達します。
迂回血の概念を当てはめて検証するという意味においては。
もちろん、これは競走馬の血統というものを「外側」から検証する私のような一介の競馬ファンに過ぎない部外者の見解であって、競走馬に直接関わっているホースマンという立場の方々からすれば、毎日杯２着という実績は誇るべきものであって当然でしょう。
過去にも同じような内容を述べた事がありますが、競馬を「内側」から支えている人たちと、あくまで馬券購入などを通じて「外側」から競馬を楽しむ我々のような人間とでは、そもそも根本的に視点やものの考え方が大きく異なっていて当然だろうと考えます。
そこはあくまでも切り離して考え、立場を異にすれば競走馬への見方は１８０度変わる、ということも申し上げておきたいと思います。
少なくとも、我々のように「馬券購入」を前提として競馬を楽しむ側からの血統の検証とは、極めて主観的になってしまいかねない考察過程も含めて、シビアに内容を突き詰める必要がある、と。
迂回血ラインによる血統考察手法は、「あの馬が好きだから」などというような個人的感情に左右される部分を極力避けるよう努めています。
もちろん、配合上においてマンハッタンカフェ産駒全般を興味深く見つめる、といったようなケースはこれまでも公言していますが、そこは好き嫌いの次元で興味があるのではなくて、「ノーザンダンサーの影響をなるべく受けないでどれだけ上を目指せるか？」といったような部分に興味があってのことです。
個人的には、特定の馬に対して「好き」というような感覚は一切ありません。
でも、サラブレッドという動物をどう思う？と尋ねられたら、間髪入れず「地球上の動物の中で、最も愛しています！」と即答することが出来るとは思いますが（笑）。
2015年07月30日
父キンカメ×母父サンデーＳ 検証(3)
なお、「父キンカメ×母父サンデーＳ」となる見た目配合の産駒であっても、「４代以内で成立の近親クロス要素」を持つタイプは検証の対象から除外します。
また、芝（マイル以上）での勝利がなく、ダート実績のみの産駒についても検証の対象外ですのであしからず、です。
さて、毎年多数の活躍馬を送り出すキングカメハメハですが、初年度産駒は既に９歳馬となっており、さすがに現役のままの産駒はＴＡＲＧＥＴで検索しても見当たらない状況。
この９歳世代でまずまずの成績を残したのは、
・エオリアンハープ（牝）：母エアウイングスのBLP=7↓:(4,1,2↓)
母のエアウイングスの血統背景にはシックル経由のライン継承が１つあるので、キンカメ（＝シックル直系子孫）との配合においては減算対象となり、本来のBLP=8:(4,1,3)から１つ減算しています。
エオリアンハープ自身は芝で５勝を挙げましたが、重賞での連対は１度もなく、中山牝馬Ｓでの３着が最高着順でした。
エオリアンハープには半姉に中山牝馬Ｓ勝ちもあるウイングレット（父タイキシャトル）がいるものの、この姉は同系配合馬でヘイロー（３×３）の強烈な近親クロスを持つ為、姉妹であっても成績を単純比較するのは相応しくないと判断します。
兄弟姉妹の成績比較をするのであれば、やはり全弟のキングストーン（現４歳）ということになろうかと思いますね。
弟のキングストーンは現在１０００万下のクラスで、直近では今月の１９日に中京１０ＲのシンガポールターフＣ賞に１番人気で出走するも、勝ったポセイドンバローズに約２馬身半ほどの差をつけられて４着という成績。
これまでの全３勝ではしっかりと１番人気の支持に応えてきましたが、ここで初の「１番人気で馬券圏外」を経験してしまったというワケですね。
これまでの全１２戦中、マイルを走ったのはたったの１度きりで、あとは１８００ｍないし２０００ｍの芝レースばかりを使われてきています。
母のＢＬＰが１０未満の場合、父がＢＬＰ＝１０以上であるならば、ある程度までは母の“底力不足”気味な面を補完するのではないか？という当ブログ独自の「仮説の検証」を進めていますが、エアウイングスの産んだ上記の全きょうだい２頭については、今のところキンカメも「補完しきれていない」という判定を下すことになりますね。
まあ今後、キングストーンが周囲の期待に応えて順次昇級を果たし、いずれ芝の重賞を勝ち負けする器にまでなれるかどうか？を継続的に観察します。
陣営は２０００ｍばかりをかなりしつこく選択していますが、母エアウイングスの血統（ＢＬＰ）の要素から判断すれば、昇級を果たすには芝１８００ｍ以下の路線に短縮したほうが良いのではないかと推察します。
陣営があくまでも２０００ｍ以上の距離に固執していると、キングストーンの出世の芽を摘みかねないのではないか？、と当ブログでは考える次第にて・・・。
