2017年03月
2017年03月28日
2017 3歳戦備忘録(16)
年明けのデビューから中3週のローテを続けてフラワーCで3連勝し、返す刀で中2週となる桜花賞に出走となれば、さすがにそのあとのお釣りが残らない感じになりかねませんでしたが、4戦目が再び中3週を空けての皐月賞なら、そもそも日本ダービーに登録していた陣営としても、体調さえ維持していればの規定路線だったのかもしれません。
フラワーCの回顧記事でも触れたように、過去にフラワーC勝利から中2週で桜花賞を連勝したダンスインザムードもキストゥヘヴンも、そのあとのオークスでは馬券圏内に届かず、ローテ的な厳しさの洗礼を受けました。
ファンディーナ陣営としても、やはりフラワーCに出走すると決めた段階で、そもそも桜花賞へと進む選択肢は十中八九想定していなかったと考えるほうがむしろ自然のように思えます。
まあ確かに、桜花賞でソウルスターリングとの対決を見たかったという意見が世間一般的には圧倒的な数だったのでしょうが、やはりオーナーサイドは冷静沈着だなと。
先週金曜日の段階では陣営の発表はまだでしたが、ネットケイバの金曜コラム担当の細ジュン氏が「桜花賞でのハイレベルな対決が楽しみ〜」などと、ファンディーナが桜花賞に進むものと勝手に思い込んでいたのはちょっと勇み足で、元騎手としてはもう少し、陣営の意図を推し量るぐらいの思慮は必要だったかと思いますが。
3/25 阪神9R 君子蘭賞(芝1800m)
1着 カワキタエンカ(母カワキタラブポップのBLP=17↓:(9,3,5↓))
・RRP:131=128+3
2着 ヤマカツグレース(Danzig4×4)
・RRP:124
3着 ウインシャトレーヌ(ノーザンダンサー4×4)
・RRP:128
チューリップ賞で注目馬としていたカワキタエンカですが、8番人気でリスグラシューに0.2秒劣る程度での5着ならば内容としては十分に御の字でしたし、今回の自己条件ですぐにキッチリ結果を出せたことが大事ですね。
こういう競馬ブログをやっていると、ともすれば「フン、オマエの注目馬は馬券になってないじゃねーか!」などという目線で見られがちになりますが、血統考察とはそもそも、継続的に検証していくことに意義があり、1つのレースで馬券にならなかったからといって即ダメ出しされてしまっては、最初から考察なんてものは成り立たないんですね。
その辺で、当ブログに訪れて来ても「即、去る(=2度と来ない)」となるグループと、「もう少し、しばらく読んでみてやるか」という懐の深い方々とに二分されてしまうのは当然、想定しつつの記事UPなんですが(苦笑)。
カワキタエンカもオークスに出走可能となるかどうかまだ分かりませんが、もし出走が叶えば再度、3着候補ぐらいには見積もってあげたいと思うんですけどもね・・・。
2017年03月25日
毎日杯 回顧
3/25 阪神11R 第64回毎日杯(芝1800m)
1着 アルアイン(母ドバイマジェスティのBLP=13:(11.0,2))
・RRP:139=126+3+9
2着 サトノアーサー(母自身が同系配合でノーザンダンサー4・5×3・5・5)
・RRP:149=130+3+8+8
3着 キセキ(母ブリッツフィナーレのBLP=20↓:(10↓,5↓,5↓)
・RRP:128(レース前に同じ)
2頭出し池江厩舎の、人気の無いほうが勝利。やはりね・・・。サトノ馬ばかり勝たせていると、他の馬主サン方からブーイングの嵐となってしまいそうですから、落としどころの絶妙なワンツーフィニッシュということに。
・・・なんてえのは当ブログの勝手な、うがったものの見方であって、実際には池江師も双方の馬主の顔色を窺いつつ同じレースに自分の管理馬を出走させねばならないのがツライところかと。
まあ勝負の世界なので、単純にアルアインの先行力がサトノアーサーの末脚を封じてみせたという、色眼鏡でない現実としての決着だったとすれば無難でしょうけども。
馬券的には、サトノAが絡んだ時点で低配当必至の状況だったワケですが、その中で「迂回血ワイド」とでも言っておきたい3−6のワイド馬券が1540円で、ワイドとしても十分旨味のある配当。
的中された読者の方々がおられたらおめでとうございます・・・。
ディープ直仔の産駒が絶頂期とも言える時代の真っ最中に、「母父ディープ」がどれだけ「血の相克」状態を作り出せるのか?というテーマは興味深いものがある、と過去に何度か述べてきました。
今回、実質「7頭立てのレース」だったとしても、誰からも異論は出て来ないはずだと思いますが、その中で7番人気だったキセキが3着に入り、クリアザトラックという「良血?ディープ産駒」に先着し上位独占を阻止してみせた事実は、ある意味で血の相克の様相の一端を垣間見せたものかと。
ただ、来られてもせいぜい3着まで、に抑えてしまうところはさすが「父ディープ」の面目は保っているワケで、他系統の種牡馬をアシストするさじ加減もまた絶妙なものが。
結局「母父ディープ」となる繁殖牝馬と配合されてしまったばっかりに、ルーラーシップがその仔を出世させるのはとても大変なんですよ。母の「迂回血」がどれだけ豊富であってもね・・・(苦笑)。
第64回毎日杯・・・。
中2週となる厳しいローテーションが1番の原因かと思われますが、当然、毎日杯で連対して皐月賞に向かう組よりも、既に出走権を得て余裕のローテで皐月賞に臨む他の路線組のほうが明らかに有利でしょう。
なので毎日杯で連対しても皐月賞をパスし、毎日杯〜中間に1戦〜日本ダービーへ、というのが近年のトレンドとなるローテとして定着するようになってきたワケで。
今年の毎日杯は結局、8頭立てという少頭数になってしまいましたが、これは2004年にキングカメハメハが勝った時以来で、かなり久々となる事態ですな・・・。(ダート勝ちの馬が1頭紛れ込んでいるので、実質的には7頭立てと見るべきかもね)
3/25 阪神11R 第64回毎日杯(芝1800m)
1.サトノアーサー(母自身が同系配合でノーザンダンサー4・5×3・5・5)
・RRP:141=130+3+8
前走のきさらぎ賞2着で賞金加算していながら、ここにまた出走するということは当然、皐月賞はパスで最大目標は日本ダービー、という方針なんだろうと。
まあ馬主サン自身は昨年から所有馬の勢いが一気に増して推移してますが、個人的にこの馬の母が持つノーザンダンサー血脈のコッテコテぶりはさすがに許容の限度を超え、ちょっとうっすら怒りさえ覚えるほどの無節操極まりない配合。
この先どんだけ強くなるんだか知りませんが、当方の血統的興味の対極にあるような存在ですね・・・。
3、アルアイン(母ドバイマジェスティのBLP=13:(11.0,2))
・RRP:129=126+3
池江師の2頭出しとなりますが、サトノ馬ばかり勝たせて他の馬主の馬をゾンザイに扱っていては名門厩舎の名が廃るでしょうから(笑)、この馬もちゃんとビシバシ鍛えてくれているものと、勝手に想像させて頂こうかと。
4.クリアザトラック(母自身が同系配合でノーザンダンサー4×4)
・RRP:129=126+3
それなりに活躍した全兄姉たちがいるので馬自身への言及はなし。ただ、過去記事で何度も揶揄しましたが、いい加減もう、母の苦労キャニオンに「ディープインパクト以外」の種牡馬をつけてあげてください。配合面における母自身が持つ「可能性」を、著しく限定的なままにしていますので。
5.トラスト(同系配合、且つサンデーサイレンス3×3)
・RRP:133=124+9(地方実績は除外で、中央OP勝ちを新馬勝ちとみなす特例措置)
岡田総帥の夢の実現や如何に・・・。
6.キセキ(母ブリッツフィナーレのBLP=20↓:(10↓,5↓,5↓))
・RRP:128
ディープインパクト産駒たちの絶頂期が到来しているさ中に、母父ディープがどれだけ他系統の「アシスト役」を果たせるのか、単純に興味深いものはあります。
母父ディープの台頭は、即ちディープ直仔の台頭を阻むことになる、という血の矛盾。今後、そういう配合のせめぎ合いとなるレースシーンが、続々と出てくることになるんでしょうが。
7.プラチナムバレット(母自身にリファール3×4の近親クロス有り)
・RRP:128
「春はりふぁーる。やうやう迫りくるごおる前・・・」
な〜んて出だしの考察記事を、過去にUPしたことがありましたっけ(苦笑)。
8.ガンサリュート(母自身が同系配合。母の両親はノーザンダンサー直系)
・RRP:134=125+9
元々、今回と同舞台の未勝利戦でリスグラシューに4馬身もの大差をつけられてしまった馬ですが、マイル戦を中心に使っていたら、2着3回の実績は今頃、全然違う着度数になっていたのかも。
*金曜はパソコンに向かう時間がどうしても夜遅くなり、日付をまたいでの記事更新。今日はそんなに酔っ払ってはいないんですけどもね・・・。m(_ _)m
2017年03月22日
スプリングS&フラワーC 回顧
3/19 中山11R 第66回スプリングS(芝1800m)
1着 ウインブライト(ノーザンテースト4×4)
・RRP:137=125+3+9
2着 アウトライアーズ(母自身が同系配合。母の両親はニアークティック直系)
・RRP:138=127+3+8
3着 プラチナヴォイス(ミスプロ4×4)
RRP:130=125+5(レース前に同じ)
個人的に注目したオールザゴーですが白梅賞のように逃げの手を打てず、中途半端に2番手追走。白梅賞の勝ち時計自体に見どころはないのだが、と懸念していたように、後続をある程度ひき離すような逃げの手を打ってくれたらという期待を持っての注目でしたが・・・。
まあ現状、明らかにスピード不足ですしステイG産駒ではあっても将来的にマイルまでの馬なのかもしれませんね。秋以降に中距離対応可能なレースぶりが見られない場合にはちょっと残念だなと。
さて、今年の3歳牡馬クラシックは今回の結果を受けてもまだ勢力図が混沌としたまま、本番の皐月賞を迎えてしまうな〜という印象は全く変わらないですね。
昨年の状況とはまるで様相が一変していると言っても過言ではなく、ある意味、皐月賞に出走さえ果たせれば、どの馬にも勝てるチャンスがあるのではないか?というぐらいの状況、なんて感じも。
今年の皐月賞を勝つ馬は、例年になく「運の良い馬」なんじゃないかと。古くからの日本ダービーにまつわる格言が、今年は皐月賞馬に当てはまってしまうのかもしれませんね・・・。
3/20 中山11R 第31回フラワーC(芝1800m)
1着 ファンディーナ(母ドリームオブジェニーのBLP=17:(9,5,3)だが・・・)
・RRP:140=128+3+9
2着 シーズララバイ(母自身にリファール4×4の近親クロス有り)
・RRP:135=127+8
3着 ドロウアカード(母自身にノーザンダンサー4×4の近親クロス有り)
・RRP:123(レース前に同じ)
ファンディーナの完勝劇についてはそんなに驚くことはなかったものの、2、3着にまったく見向きもしなかった穴馬たちに来られてしまい、その現実のほうに驚きを通り越して呆れてしまいましたワ(苦笑)。
ファンディーナの強さが浮き彫りになる一方で、2着以下の牝馬たちについては現状で可もなく不可もなく、といった程度の面々でしかないという印象。
まあ個人的に期待したデアレガーロにトーホウアレスやサクレエキスプレスも結局、「その程度」の範疇に含まれてしまったということで、もうこれは秋以降の成長が見込めるか否か?という視点にならざるを得なくなったわけで。残念と言うしかないですね。
さてさて、ファンディーナは中2週となるキツいローテンションを克服して、桜花賞でソウルスターリングとの対決に挑むことになるんでしょうか?
フラワーC〜桜花賞と連勝したのは、10年以上遡ればダンスインザムードとキストゥヘヴンの2頭の名前が挙がりますが、近10年に限ればオウケンサクラの桜花賞2着がある程度で、大抵の場合フラワーCを勝ったとしても桜花賞には向かわずに、その先のオークスを目標とする陣営がほとんどでした。
更に言えば、ダンスインザムードもキストゥヘヴンも、桜花賞は勝ったものの肝心のオークスではいずれも馬券には絡んでいません。
やはり、毎日杯から中2週で皐月賞へと臨むローテが過酷極まりないのと同様に、フラワーCから中2週で桜花賞へと臨んで結果を出せたとしても、今度はオークスまでの体調維持が陣営にとっても非常に厳しいものを要求することになる、とも言えそうです。
そういった過去の陣営が経験してきた事実を、ファンディーナ陣営がどのように受け止めて「次」のレースへと臨むのか。
いずれにしても、日本の至宝となっていくべきはずの牝馬ですから、どうか無事に、何の問題もなく次走へと向かってもらいたいものですね・・・。
2017年03月21日
種牡馬クロスと牝馬クロスの、影響度の「差異」にも考慮を。
1つ前のブログ主旨説明記事では、近親クロス要素の影響度について、産駒の父母に共通して存在する同一先祖が「4代以内」の世代位置の場合に最もその有効性を認め、考察上の境界線として定義する方針であることに言及しました。
ただ、これはあくまでも「基本方針」なのであって、様々な配合事例においては、当然ながら例外として扱うケースも存在します。
過去記事でもそれは明言していますが、一例としては
・イスラボニータ(インリアリティ4×5)
現代において活躍するサラブレッドの大部分は、「ファラリスの直系子孫」なのであり、つまりは3大始祖で言うところの、ダーレーアラビアン直系の子孫となる競走馬たちがほとんどです。
しかし上記のイスラボニータなどのように、インリアリティという完全異系種牡馬(その始祖はゴドルフィンアラビアン)のクロス要素を持つような場合、その存在自体の希少性を考慮し影響度としては「4代以内で成立」しない場合でも重要視する場合がある、ということをお伝えしておきます。
以上は、1つ前の記事についての補足説明でした。
以下におきまして、本日の記事タイトルで示した内容について言及していきたいと思います。
今回は、「種牡馬クロス」が牡馬の産駒ないし牝馬の産駒に及ぼす影響度と、「牝馬クロス」が牡馬の産駒ないし牝馬の産駒に及ぼす影響度の「それぞれのパターンでの差異」というものについての基本的見解を述べます。
1つ前の記事で、サトノダイヤモンドとシュヴァルグランが有している近親クロスを一例として取り上げましたが、クロス位置は少し異なっているにしても、サトノDとSグランが持つトリプルラインの近親クロスは、「直父系の先祖」となる種牡馬のヘイローでした。
ここで、「遺伝」というものの学術的見地に基づいて示されている定説に従えば、生物としての「オス」は、「父親のY染色体」を継承することにより、オスとしてこの世に生を受けます。
一方、生物としての「メス」は、「父親のX染色体」を継承することにより、メスとしてこの世に生を受けます。
メス(母)は、自分の「X染色体」のみを息子ないし娘に継承します。
これはもう一般常識なので、いちいち説明するまでもないことかもしれませんが(苦笑)、血統考察していく上で「血統表」というものをつぶさに眺め、その構成全体を俯瞰する時に、「X染色体」と「Y染色体」というののの差異が、「近親クロス」においても極めて重要な要素であることを認識すべき、と言いたいのです。
先日のスプリングSの考察記事で、サトノアレスの母父であるデインヒル自身には、ナタルマ(3×3)という強力な近親クロス要素がある旨を提示し、その影響度を優先し迂回血の要素で考察するタイプでない、と位置付けました。
言うまでもなく、ナタルマはノーザンダンサーの母なので、その(3×3)という「牝馬クロス」は、ナタルマ自身の母であるアルマームードに由来する「X染色体」の要素を、色濃く伝達するはずです。
更に突き詰めると、アルマームード自身はその父マームードの母方(=X染色体)から、その奥に存在するザテトラークの母方経由でも「X染色体」を必然として継承している、と言うことが出来ます。
いわゆる「牝系」という場合、血統論においては「母」−「母の母」−「母の母母」−「母の母母母」−・・・というように延々と「娘から母へ」と遡ることを指します。
けれども遺伝的には、「父の母」や、「母父の母」、「母母の父の母」などからも、やはり延々と遡ることが可能な「X染色体の多岐にわたる継承」が必ず、存在するのです。
そういった多くの先祖の「X染色体」が介在して、この世に「メス」としての性で生まれてくることになります。
つまり、単純に「牝系」などというものばかりを重視するのは、血統を考察する場合においては不十分であり、「近親クロス」の影響度を検証する場合でも、「種牡馬クロス=Y染色体主体」と「牝馬クロス=X染色体主体」とでは当然、牡馬の産駒と牝馬の産駒とで、まったく異なる影響度となる可能性がある、と認識していく必要があると思います。
同じ「種牡馬の近親クロス」を持つことで、牡馬でも牝馬でも強くなったりするケースはもちろんあります。
しかし、より注意すべきなのは「牝馬クロス」のほうです。
何故なら、「メス」という生物が成り立つ上での遺伝的な性質上、更にその「母方のX染色体」の影響度のほうが増す可能性が高いからです。
ナタルマの強調=アルマームードの強調=・・・その先のX染色体の強調・・・
というように。
サトノアレスで言えば、その母サトノアマゾネスが父デインヒル経由でX染色体を継承した際に、ナタルマ(3×3)で強調された過去の先祖のX染色体の影響度の連鎖が、サトノアレス自身にもたらされる可能性が極めて高い、という感じになりますかね・・・。
今日はこの辺にしておきますが(笑)、また気が向けばこういった極めて面倒臭〜い事柄に関して、血統考察上これだけは外せない、譲れない、といった部分として言及していければと思います・・・。