2011年05月

2011年05月31日

血統の不思議、を探求して・・・。

 この血統考察ブログにおける「迂回血(うかいち)ライン」とは、ファラリス直系子孫にとって底力および活力など諸々のプラス要素をもたらす、「ファラリスの根源父系=ダーレーアラビアン〜シリーン」のラインが、ハイペリオン、プリンスキロといった過去の大種牡馬の母方に存在している=「ファラリス直系子孫の視点から見て、異系に“迂回している”、と捉える」・・・ことを表現したものです。

 その「迂回血」を持つ種牡馬として主要な5頭、ハイペリオン、その半兄2頭のシックル及びファラモンド、プリンスキロ、ボズワースを選定、これら5頭に遡ることのできるラインが、「迂回血ライン」となります。

 この主要5頭の他に、若干の「マイナー迂回血」となる種牡馬に遡るラインもいくつか存在するのですが、個々のケースであらためて言及する必要がない限り、ほぼ主要5頭のみで考察しているのがほとんどです。

 ハイペリオンとプリンスキロは、血統の知識をある程度得る段階において、必ず目にすることになる種牡馬です。

ハイペリオンの系譜:始祖ダーレーアラビアン〜エクリプス−ポテイトーズ〜ホエールボーン〜ニューミンスター〜父ゲインズバラ(ゲインズボローとも)

 ファラリス直系子孫にとっては、上記の父系ポテイトーズ〜ホエールボーンまでは共通の祖先ですが、その後は異なる系統に別れ、数世代を経てドンカスター〜ボナヴィスタ〜ファラリスと至るのがファラリス系です。

  
プリンスキロの系譜:始祖ダーレーアラビアン〜エクリプス−キングファーガス〜(中略)〜セントサイモン〜父プリンスローズ

 一方、プリンスキロの場合は始祖が同じでも、父系がかなり古い段階(240年近く前)に分かれたセントサイモン系の流れを汲んでいます。


 とまあ、ここまでは別に誰でも、調べようと思えば書物やネットなどで簡単に調べることができる項目なので、「そんなのとっくに分かってらい」と一蹴されてしまうかもしれませんが(苦笑)、とにかく、ハイペリオンとプリンスキロについては現代においては「異系」と言われている扱いでも、始祖からしばらくの世代は共通祖先、ということは知っておくべき根底部分ですね。

 
 ハイペリオンの半兄にあたる、シックルとファラモンドについてですが、シックルはご存知ミスプロ系の祖となる種牡馬で、元々この父系が持っている「発展する底力」がミスプロの登場以降に(迂回血ラインを母方から補充することで)飛躍的に展開した、と見ています。

 シックルとその全弟ファラモンドはファラリス直仔なので、どうして「迂回血」なんだ?という疑問が沸いてくるかもしれませんが、ネアルコを経由したファラリス直系子孫にとっては、別系統に分岐したので「迂回血ライン」として作用するとみなします。

 逆にミスプロ直系の種牡馬にとって直接の父祖シックルのラインは「迂回血でない」と判断し、カウントから除外する、という特別ルールを設けました。ただし全弟ファラモンドのラインは、全兄弟であっても遺伝要素がランダムに異なるとし、ミスプロ系種牡馬にとっても迂回血ラインとしてカウントします。

 ボズワースという古い時代の種牡馬については、ほとんど聞いたことがないという読者が多いのでしょうが、直系の子孫にはエルバジェが出ており、この父系から日本のダービー馬となる、アイネスフウジンとウイナーズサークルが2年連続で出ています。

 このことと、サンデーサイレンスの母方血統内にこのボズワースに遡るラインが1つ存在していたことが決め手となり、2006年の血統研究初期段階においてボズワースのラインを、「5番目の迂回血ライン」と設定しました。

*迂回血ラインのベタな英訳:Bypass-Blood-Line(略してBBL)
(血統を表す英単語に、Linege という単語もありますが、あえて「血」の英訳にコダワっております・・・)

*迂回血ラインの値(血統表において遡ることのできる総数):BBL Point=BBLP


 この主要5頭(ハイペリオン、シックル、ファラモンド、プリンスキロ、ボズワース)に遡ることのできるライン=迂回血ラインを、重複の存在も全て「のべ数」としてカウントし、どれだけの値になるのか?

 かつての「御三家種牡馬」では・・・、

サンデーS(BBLP=4:ファラモンド+ハイペリオン×2+ボズワース)

トニービン(BBLP=3:ハイペリオン×3)

ブライアンズタイム(BBLP=1:ハイペリオン)

 この、BBLPの対比が、そのまま現在の種牡馬勢力の構造を端的に現しています・・・(4>3>1)

 ブライアンズタイムが、御三家の中で最も長い期間を種牡馬として君臨してきたにもかかわらず、「母父」として見た場合には芝の重賞級活躍馬の輩出が最も少ないまま推移してきました。

 最近になって、菊花賞馬スリーロールスの「母父」として再度脚光を浴びましたが、「母父ブライアンズタイム」となる産駒はそもそもダートレースで活躍できても、芝レースで昇級することにおいて非常に苦戦しています。

 そして、サンデーS系種牡馬の中では、

ディープインパクト(BBLP=12)

 が、母方にノーザンダンサー経由のラインを1つ持つタイプとしては現時点で最も多い値の迂回血ラインを持ちます。

 ニューイングランドがBBLP=13なのですが、競走馬としての重賞勝ちもないまま種牡馬入りとなったため良質の配合牝馬に恵まれておらず、十分な数の産駒を輩出することが見込めないので比較の対象になり得ません。

 ただ、ニューE産駒にはこれからも、スタミナに秀でたタイプは何頭か出てくるとは思います。 


 *今回の内容は過去記事でも言及してきたことばかりですが、定期的に「ブログ主旨説明」をすることで、新規の読者の方にも概要をつかんでいただけたらと存じます。

 今得ている程度の知識の範囲内で、TARGETで検索できる範囲での血統の見え方の中で、私が感じたままに、まだ誰も強いとは思っていないような段階の馬を「ひょっとして強いかも」とピックアップしていけたらいいな、という風に思っています。

 あくまでも、そのための「ツールの1つ」にすぎないのが、迂回血ラインなのです。(あらゆるシーンにおいて絶対的なものでは、もちろんない)

 興味を持たれた方は、過去記事にも目を通していただけると幸いです。 

blood_max at 23:36|PermalinkComments(0) ブログ主旨説明・他 

2011年05月29日

日本ダービー 回顧

 強い、強すぎる・・・。そんな言葉しか浮かびませんでした。不良馬場をものともしないだろう、とは思っていつつも、ついつい穴党のクセで要らぬアラ探しに没頭(苦笑)。

 オルフェーヴルの2冠達成に、素直に脱帽ですね。時計のかかる馬場でもここまでの強さを見せつけられると、菊花賞よりも凱旋門賞に挑戦したほうがいいんじゃないか?と思わせてくれますね。

 賛否両論は当然あるとして、私がもしオーナーだったら、菊花賞よりも凱旋門賞に日本の3歳チャンピオンとして挑戦させてみたいなー、と考えます。斤量も有利な訳だし。菊花賞も3歳馬のための歴史あるレースですし、増してや3冠馬の称号もかかるわけで、難しい選択だということは百も承知なのですが・・・。

 フジキセキにとって、残されている種牡馬生活もあとどれだけありそうなのか?という想いにかられていた私は、サダムパテックがダービーを制することは父にとって、もう数少ないチャンスであり悲願だろう、てな勝手な解釈で◎にし、3連単予想は轟沈。

 一応、復活の気配を感じたベルシャザールの複勝、オルフェとのワイド(5−7)を押さえておいたおかげで、ガミには違いないですが諭吉サマを取り戻すことにはなんとか成功しましたが・・・。

 事前考察で3着はあっておかしくない、としたベルシャザールについては秋以降の可能性を再度確認でき、やはりタダ者でないことを示してくれて嬉しいですね。

 ただ、どうも私の場合は騎手との相性はあまり良くないようで(笑)。

 アンカツさんで期待した皐月賞はハズしたし、オークスも池添クンでマズ堅いと思ったら出負け(怒)。

 今回は連下にしたらどちらにも連対されてしまうし(泣)・・・。


 はたしてオルフェーヴル陣営が、秋以降のプランをどう考え、正式発表に至るのか?

 出来れば凱旋門賞に行ってくれい、なんてね。(菊花賞が他馬にとっても、馬券的にも可能性が拡がるレースになるし。でも賛否の「否」の意見のほうが、多いかなやっぱり・・・)


 さて、ダービーも決着したことですし、気持ちを切り替えてボチボチ、2歳馬考察へと本腰を入れてまいります。ここ数日は、このブログを閲覧して下さる読者が一時的に倍増しましたが(驚)、また、徐々に減っていくのかなと覚悟しつつ(笑)、日々是、血統研究に没入する所存にて候・・・。

blood_max at 20:25|PermalinkComments(4) 3歳G1戦 考察 

2011年05月28日

日本ダービー 血統考察(下の巻)

 では続きを。

13.ロッカヴェラーノ(母ルンバロッカのBBLP=12)

 この馬の母についても、以前は「だが・・・」の曖昧考察にしていました。ロッカV自身はヘイロー系の父と、ロベルト系の母を持つことによって結果的にヘイルトゥリーズンのクロス要素の重要性が増し、同系配合馬としての扱いとなるためです。

 確かにフジキセキ(BBLP=6)、Aタキオン(BBLP=7)の産駒となる兄2頭は、それほど活躍できていません。この辺りは同系配合の要素が良くない方向に出たと見ています。ただ、父マンハッタンカフェ(BBLP=11)はキンカメ(BBLP=11)に次ぐ種牡馬としての活躍度を見せていますし、実際、兄2頭よりは出世が見込まれるだろうとの推察はできますね。

 道悪経験が1度でもあったらまだ判断しやすかったでしょうが、まだ未経験。血統の上ではこなせそうな気はするものの、やはり馬自身が「初体験」をどう感じるか?にもよります。オッズ人気よりは走れそうな気はしてきますが、どこまで上位に迫れるか?というところでしょうか・・・。


14.ショウナンパルフェ(母シャンランのBBLP=6:(5T,0,1T)の凡走パターンも、異系のアシストは有り)

 母についての説明は過去記事にて言及していますが、今一度繰り返します。Tの文字が付くのは、母の血統背景内に「異系トウルビヨン」のラインが存在するからです。

 アグネスタキオンが他のサンデーS系種牡馬にはない独特の要素を持っているのは、この異系トウルビヨンと別の異系マンノウォーの、完全に3大始祖が異なる異系両方の要素を「最大限味方に取り込める」という部分です。

 フジキセキの場合はマンノウォーの異系アシストのみですし、ステイゴールドの場合はトウルビヨンの異系アシストのみが主に産駒に作用しますが、タキオンの強みは「両方とも」なんですね。ここが、他のサンデーS系種牡馬とは徹底的に異なります(死亡してしまい、残念至極・・・)。

 ですから、母自身は凡走パターンの迂回血ライン分布なのですが、これを覆い隠せる異系アシストの効果が可能性としては見込めます。

 ショウナンパルフェ自身の今後は、やや不安定な成績が待っているかもしれませんが、ハマッた場合の破壊力は、特に人気が落ちているような状況下でこそ威力を発揮するでしょう。


15.トーセンラー(母プリンセスオリビアのBBLP=6)

 この馬の場合はおそらく、近親クロスであるリファール(4×4)の効果が今後どれだけ有効に作用するか?にかかっている配合なんでしょう。母自身の迂回血ライン継承度だけでは、きさらぎ賞の勝利は説明不可能なので(苦笑)。

 また、母自身はノーザンダンサー(4×3)の黄金クロス配合を持つタイプ。この辺はウインバリアシオンの考察同様に、ディープインパクト産駒といえども結局は、「ノーザンダンサーの大いなる威光におんぶに抱っこ」と言っても過言ではないような配合で、それで強くなったからといって、子々孫々にどれだけ好影響になるのかは、逆に不透明、と感じます。

 何より、現在リーディングサイアーランキングにおいて上位を占めるサンデーS系種牡馬のうち、「母方にノーザンダンサーの血を持たない」タイプ(=Mカフェ、Zロブロイ、Fキセキ、Aタキオン、ネオUなど)のほうが、より多く、より多彩な能力の産駒を毎年のように輩出し続けていることが一体、何を意味しているのか?

 サラブレッド生産の現場の方々は、もう少しその辺の状況を注視して配合の有り方を模索すべきでしょう。

 そうでないと、「競走馬としては確かに秀でたものはあったが、繁殖においてはどうもなあ・・・」なんて状況が更に加速されかねないことになり・・・。

 競馬サークルに縁もゆかりも無い、ただの外野の意見(オヤジのヤジ?)にすぎませんが、「外野だからこそ、声高に叫べることもある」と思います。

 まあトーセンラー自身は己の能力を如何なく発揮すればいいだけのことで、それはそれで周囲の人々が幸福で満たされるのでしょうけれども・・・。
 
 
16.トーセンレーヴ(母ビワハイジのBBLP=8)

 過去記事で考察したとおり、この馬は女傑の姉とは異なり、近親クロス要素のみで活躍していけるタイプではないでしょう。

 母ビワハイジ自身の良さとしては、血量としてプリンスキロが最上位(クロス位置は4×5で9.38%)となっている部分だと思われます。血統予想家の某プロは、「1930年前後の、古い時代の先祖の血量がどうこうなんて、ナンセンスだ」とおっしゃいます。馬券取捨においては「父と母父+牝系一族」だけ、見ていれば事足りると。

 ただ、人間社会ではまず有り得ない、強い近親配合を300年以上繰り返してきたからこそ、むしろサラブレッドにとっての「古い時代の先祖の血」というものは、より重要なのではないかとさえ、私には思えますが・・・。


17.ユニバーサルバンク(母ヴィクトリーバンクのBBLP=7)

 この馬の母については、過去記事にて凡走パターン:(7,0,0)の迂回血ライン分布、としていましたが、母自身はその両親が共に異系トウルビヨン直系となる、完全異系における「同系配合馬」であるため、通常のファラリス直系の繁殖牝馬に当てはめている考察要素とは合致しないとして解釈を改めます。

 一応、母父ドクターデヴィアス自身が継承している迂回血ライン=7の値は、相手の種牡馬がファラリス直系である以上、それなりに作用するとは思いますが、異系そのものといって良い母なのでそれほどネガティヴに考察すべきではないのかもしれません。

 今回は道悪競馬が確実ですが、プロ目線からは父も母父も道悪をこなす要素十分とのことです(苦笑)。確かに良馬場の場合は「キレ負け」する可能性がありましたが、異系要素がかなりのウエイトを占める血統背景のこの馬の場合、馬場の悪化は望むところという感じでしょうかね。

 2着が多いのは「勝ち切れなさ」であり、瞬発力勝負では分が悪いことの証左といえるものの、異系要素が味方すれば上位人気馬とも遜色ない競馬が出来そうなのかも。


18.ノーザンリバー(母ソニンクのBBLP=4)

 この馬についても、過去の評価では母馬の血統背景を「考察外」とみなしてきました。何故ならばノーザンリバー自身がヘイロー(3×4)の黄金配合による近親クロスを持つからです。

 この黄金クロス要素さえ最大限に効果を発揮すれば、ヴィクトワールピサやブエナビスタのような傑出した才能を発揮するタイプが生まれます。

 しかし、黄金配合を持てば必ず最高の能力開花に至るかといえば、むしろ成功例はごく一部の限られた馬にしかなく、多くの馬はその配合がもたらす「負の部分」の顕現にさいなまれ、出世の妨げとなってしまう例も事欠きません。

 ノーザンリバーにも当然、武器となる遺伝要因が強く受け継がれていることと思いますが、少なくとも中長距離適性という面ではあまり期待しづらいものがあるかと思われます。

 ダートで勝ち上がっていることもあり、芝の道悪は歓迎のクチかもしれませんが、そもそも現状における他馬とのポテンシャルの差を皐月賞でまざまざと見せつけられている以上、道悪を味方につけたとしても2400mを上位で乗り切るだけの力量発揮には至らないだろうと思うしかありません。

 などというと激走されてしまいそうですが(苦笑)。



 *今年の日本ダービーにおいて遂に、サンデーサイレンス系の産駒か母父サンデーSの馬しか居ない、という状況下となってしまったことを、メッセージ性としてはどう受け止めるべきか?などと考えてしまいます。

 個人的には、オークスでもあったように「異系要素の血統の重要性」が今後のサンデーS系種牡馬や繁殖牝馬にとっての先行きを大きく左右する要素かと思います。

 ステイゴールド産駒の活躍は、ある意味でその象徴といえるのかもしれませんね。サンデーS系種牡馬の産駒たちに明確な力量差が無くなっているのは明白で、同系産駒同士により、「究極の血の潰し合い」をこれからもやっていくわけですし。

 そうなると、やはり異系の血をどれだけ味方につけられるのか?がカギなのではないかと思います。

 とにかく、馬場は悪くても名勝負だった、というレースが見たいですね。馬にとっては過酷極まりない馬場状態なんでしょうが・・・。

 どの馬も無事に、故障することなく存分に走り抜いてくれることを望みます。
 

 

blood_max at 21:52|PermalinkComments(4) 3歳G1戦 考察 

日本ダービー 血統考察(中の巻)

 土曜の目黒記念では道悪適性に期待し、6番人気のヤングアットハートを◎に指名、単・複とZロブロイ産駒だけをワイドで絡め、単勝こそ逃しましたが、複勝・ワイドの的中が参加中の競馬SNSでも披露できました。

 まあ、ここのところ横ノリ騎手の「ウップン」はピークのようで、3歳G1戦に騎乗馬がいないという状況をバネに、人気薄の馬を奮い立たせる好騎乗が目立ちます。キングトップガンさえ馬券に絡まなければ、ワイド馬券が完璧に的中できていたのですが・・・(苦笑)。


 さてさて、ダービー考察の続きを。

7.ベルシャザール(母マルカキャンディのBBLP=10)

 お察しのとおり、皐月賞ではこの馬に最も期待していました。結果は残念という以外にはなく、気性的な部分でダメなところが出たかな?と思うしかないのですが、今回巻き返せるかどうか・・・。

 一応、道悪適性はそれなりにあるはずだと思いますが、こればっかりは血統というよりも個々の「気持ち」次第で走る気が削がれるか、削がれないかの面もあるかと思います。

 もし今回もダメな場合でも、秋以降、或いは古馬以降になっても注目を続けたい馬であることには変わりありません。とにかく、人気が落ちた今はオークスで勝った後藤ジョッキーの気分が乗っていることがプラスに作用すれば、アタマは無理でも何とか3着までに来れないか?という期待はそれなりにしております・・・。


8.フェイトフルウォー(母フェートデュヴァンのBBLP=10で異系アシストも有り)

 見た目ではオルフェーヴルと同一の「父と母父」ではありますが、当然このブログにおいてはその要素だけで考察を終わらせることなどしません。むしろこの母馬の可能性はかなり大、ですね。

 京成杯の勝ち馬というのは昨年のダービー馬エイシンフラッシュとも同じで、調整に手こずり間隔が空きすぎてしまった皐月賞は度外視でいいと思われます。

 新馬戦が鮮やかに甦りますが、レース前にカツハル騎手を振り落とし、放馬。思う存分準備運動をして(苦笑)、重馬場をものともせずに快勝。今回調整がしっかりと出来ていれば、上位人気馬とも互角の競馬ができるのではないかと推察します。


9.コティリオン(母ジェミードレスのBBLP=7)

 土曜の金鯱賞では母父トニービンでのワンツースリー。まあ、人気順どおりと言ってしまえばそのまんまですが、道悪適性では有利となる可能性をコティリオンも秘めているのかなと。

 ただ、将来的に古馬以降では2400m以上を常に好走するイメージはなく、2000mあたりがベストの馬ではないかと見ています。

 母ジェミードレスの値はやや低めですが、血量をみると迂回血ライン種牡馬の筆頭格ハイペリオンの存在が最上位で、14.84%と高い占有度。まあトニービンとノーザンテーストがタッグを組めば、必然の配合要素なのでありますが(苦笑)・・・。

 コティリオン自身の血量最上位もやはりハイペリオン(10.16%)で、父と母の相性そのものは良い方向に出ると思われます。後は馬体重の大幅減さえなければ、ソコソコ上位進出は可能かと。


10.ナカヤマナイト(母フィジーガールのBBLP=6)

 ヨシトミ騎手のダービー制覇なるか?というところですが、どうもこの馬は「トライアル血統」的な側面が・・・。好走は確かに続けてきましたが、肝心のG1戦で力量発揮の場面に至らず、というのがいかにも、てな感じ。

 ただ、この馬の母系で面白い要素は、母父のカコイーシーズがナスルーラ(4×3)を、3代母のヒルガオもやはりナスルーラ(4×3)の黄金配合による近親クロスを持ちます。

 母自身が、ナスルーラの黄金クロス配合を「W」で持っているというところですね。ネアルコ直系で最もスピード要素が秀でたナスルーラのラインがこれまではプラスに作用した、という感じでしょうか。ただ2000mを超える距離ではこの要素が少々、心もとないものになりそうな気がするのですが・・・。


11.デボネア(母ヴェルヴェットクイーンのBBLP=15)

 これまでは、母自身がノーザンダンサー系の両親を持つことで「同系配合馬」の扱いとなるので、母自身で持つノーザンダンサー(4×4)のクロス要素が影響度として高まり、結果として迂回血ラインそのものが持つ効果・効能(計15ライン)が有効に機能しているのかの判断がつきにくいタイプのため、考察外としてきました。

 皐月賞では14番人気、外枠発走ながらも4着に好走し、世界の名手デットーリを今回招聘。しかもオーナーのモハメド殿下まで来日という、一世一代の晴れ舞台となる状況下です。

 私自身は、迂回血ライン=15が有効に機能していれば、もっと早い段階から芝レースでの力量を発揮してこれたはずだ、と見ていますので、基本的に「ノーザンダンサーの威光」が主体でこの馬はポテンシャルを発揮していくのだろうと思っています(ヘイロー3×4もあることはあるんですが・・・)。

 当然、馬主の大量投票?がありそうで更に人気になるでしょうし、個人的にアタマで狙う妙味は感じませんね。まあ、この馬にもし勝たれたら、黙ってヤケ酒を飲むことになりそうです(苦笑)・・・。


12.エーシンジャッカル(母エイシンリョウサンのBBLP=10)

 NHKマイルCではプロの評価もかなり高かったのですが、レースは結局後方からの競馬となってしまい、ほぼ何も出来ていないな、という印象です。

 ですが、この馬はもっと最初から1800m〜2000m辺りの芝レースを使っていれば今につながったはずだと見ており、単なるマイラーで終わるタイプではないはずなのです。陣営が今後もマイル以下の距離で使うのならば期待するのは諦めますが、陣営にはダービーの結果に関係なく、もう少しの間中距離寄りのレースでこの馬を使ってくれることを望みます。

 そうならない場合、母が持つ迂回血ライン=10の値は、今後も活かされることはないでしょう・・・。


 *「下の巻」はこのあと記述にとりかかります。再度お待たせしますが、しばしお待ち下さい。


blood_max at 19:44|PermalinkComments(0) 3歳G1戦 考察 

日本ダービー 血統考察(上の巻)

 先週のオークスはレース直前からの激しい降雨もあって、重に至っていない馬場だとしても上滑りするような状況であったことは確かで、やはり末脚の鋭さを身上とするようなタイプの力量はスポイルされ、一瞬のキレはなくても持続力に秀でたタイプに有利だっただろうと思います。

 待ちに待ったダービーは台風の接近に伴う梅雨前線の北上で、かなり降雨量が多くなる模様です。良馬場でこそ、血統本来の根底的要素から来るパフォーマンスの見極めが可能なのですが、おそらく重〜不良馬場となるのは確実で、血統考察といっても道悪適性の比重のみが増してしまい、あまり意味がないかも(苦笑)。

 まあそれでもあえて、本質的にはこういうタイプの馬なんじゃないか?という私なりの血統考察をいつもどおりに展開させてみたいと思います(オークスでは気合いだけがカラ回りしてしまいましたが・・・)。

 ちなみに、超絶の不良馬場だった2009年のダービーではロジユニヴァース(母アコースティクスのBBLP=12)を躊躇なく本命にし、単勝と馬連を的中。3連単は逃しましたが・・・・。


1.ウインバリアシオン(母スーパーバレリーナのBBLP=11)

 今回からは、「11だが・・・」の意味深な表現は各馬に対してやらないことにします。

 前走青葉賞でようやく本領発揮か?というところを見せましたが、時計はあまりに平凡。時計が優秀ならばデータ的にも2着はあり得る臨戦過程といえるものの、少々ケチはつきますね。

 母自身はノーザンダンサー(2×4)のやや異質といえる形態の近親クロスを持っています。ウインV自身ではノーザンダンサー(5×3・5)という形になりますが、結局、ハーツクライでもこういう大種牡馬の近親クロスに頼らなければダメなのか?という印象が先に来てしまいますね。これは私の性分なので、読者の方々はどういう印象を持つのか分かりませんが。


2.サダムパテック(母サマーナイトシティのBBLP=12)

 思えば、今回のダービーはサンデーS系種牡馬の産駒が16頭と、母父サンデーSとなる産駒が2頭というメンバー構成。時代の流れと言ってしまえばそれまでですが、凄いことですね・・・。

 フジキセキといえば、立場上は正にサンデーS系種牡馬の「長男」ともいえる存在。種牡馬になるのが早すぎて、全盛期のサンデーSの産駒と己の産駒とを対峙させなければならないという、過酷な運命の中での船出でした。

 ライバルというにはあまりに偉大な父はやがて去り、立ち場を同じくする後輩サンデーS系種牡馬が当面の相手となってからは、今度は距離適性の壁で産駒たちを芝中距離重賞で強いタイプにすることがなかなか出来ずにいました。ドリームパスポートぐらいでしょうかね。これまでのフジキセキ産駒で最も活躍した芝中距離実績馬といえば・・・。

 個人的には、そのドリパスを超える存在になりうるのではないか?と思っています。

 当然、母父のエリシオ(BBLP=10)が持つ血統背景が大きなウエイトを占めていることも確かですが、それに加えて母サマーナイトCが持っている異系要素、ウォーアドミラル経由のライン(=計4つ)の存在も、異系アシストとなっている可能性があります。

 元々、フジキセキ自身の血量最上位は異系ブランドフォードで、5%を切る4.69%という低い占有度。血量的には4位の存在となるマンノウォーは僅か3.71%ですが、計5つのラインで継承されています。

 ウォーアドミラルはマンノウォーの直仔ですから、フジキセキとサマーナイトCの相性の良さは、この辺りに由来するものではないかと思いますね。

 あとは道悪適性だけとなりますが、おそらくこなせるのではないかと。まあ、希望的観測ですが。


3.オールアズワン(母トウホープログレスのBBLP=12)

 獲得賞金的に余裕があり過ぎて、ローテのほうも余裕ぶっこき過ぎたのが尻すぼみの成績につながっているような感じですね(苦笑)。皐月賞ではもう少しやれるかと思いましたが、何もできず終い・・・。

 ヘイロー系とロベルト系の両親の配合を、これまでも「同系配合馬」とみなしてきましたが、分岐系統としては個性がかなり異なるので、同系?と違和感を持たれる方もあろうかと思います。

 ですがオールアズワンはヘイルトゥリーズンに遡る両親から生まれているのも確かで、そのクロス位置が(4×5)で生じることもあり見解は今後も変わりません。その辺が考察を難しくしますが。

 「同系配合馬」という場合、ノーザンダンサー系の両親でもそうですし、ミスプロ系の両親などでもそういう言い方をするのですが、どんな系統でも同系配合では基本的に「早熟性が顕著」であるとか、父や母父本来の距離適性よりも「短縮」に向きやすい、という傾向があるように感じています。

 裏を返せばオールアズワンに対して「父と母父」のイメージはそのまま当てはめにくい、となります。2000mあたりがベストなのではないかと。

 ただ、この馬も道悪適性はありそうな感じ(苦笑)。他馬が苦にする分、浮上の可能性も。


4.リベルタス(母カーリングのBBLP=3:(3,0,0)の凡走パターン)

 この馬がデビュー前に、母が凡走パターンの迂回血ライン分布を持っていることをこのブログにて提示。ですがキッチリと新馬勝ちを決め、その後も朝日杯FSでは3着と健闘。

 私の見解を昨年当時から見ていた読者で、「何が凡走パターンだ。いい加減なこと言いやがって!」と腹を立てた方もいらっしゃったのではないかと思います(苦笑)。

 私自身も、このままもしリベルタスが快進撃を続けていたら、「さすがディープインパクトだな。母の欠点を丸っきりカバーするなんて」という印象を持つことになっていたはずです。

 ですが、母の「血の宿命」は、スプリングSにおいて発動してしまいました(2番人気13着)。残念なことではありますが、皐月賞でも故障か?と思ってしまうようなシンガリ負け・・・。これからも紆余曲折のレースを続けていくのではないかと感じています。

 距離は、やはりマイルぐらいのほうが合っているんじゃないでしょうか。何となく、リーチザクラウンのイメージがダブりますね。道悪適性で2着も?・・・でも皐月賞シンガリ負けからダービー連対って、そんなケース過去にあるんでしょうかね・・・?


5.オルフェーブル(母オリエンタルアートのBBLP=8も異系アシスト有り)

 皐月賞では左回り云々が囁かれ、終わってみれば圧勝劇。いやはや、恐れ入り奉りまする。3着付け固定の予想は不覚、の2文字以外にないですね。

 全兄ドリジャニの頃から言ってきた、父ステイゴールドがサッカーボーイ経由で持つ異系トウルビヨンの存在感が、オリエンタルアートのようなトウルビヨン直系牝馬と出会うことでこうまでも輝きを増すとは、血統の可能性をこれでもかと感じさせてくれます。

 でもまあ、ノーザンテースト(4×3)の黄金配合による近親クロスがズバリ良い方向に出たんじゃねーの?という意見もなきにしもあらずですが(苦笑)。

 おそらく、どっちも良くて相乗効果になっているんでしょう。そうとしか言えない、皐月賞の強さでした・・・。

 京王杯2歳Sでの大敗は距離不足に加え流れに全く乗れず、的なもので、きさらぎ賞での3着は「騎手負け」的な感じも・・・。今回は世界の名手デットーリ来日ということで、そこだけが不安かな?・・・。


6.クレスコグランド(母マンハッタンフィズのBBLP=11)

 この馬も7着の経験がありますが、完全に出遅れが響いての敗戦で実質的には非常に堅実。ムーニー賞(芝2400m)で距離のみならず重馬場もこなしての勝利は今回浮上の可能性を感じさせます。意外と人気してしまいそうで、配当妙味はやや下がりますかね・・・。

 私の場合、良馬場でも狙ってみたいなとは思っていましたので、道悪必至の状況では評価が下がるどころか好走期待度は大きいですね。

 この馬もロベルト系の父、Mカフェの全妹となるヘイロー系の母で、同系配合とみなすには違和感もあろうかと思いますが、一応は同系配合馬として扱います。

 となると、古馬以降も楽々と2400m以上の距離をこなすイメージはやはり沸かないものの、今の時期の同世代同士、また道悪適性でも互角以上のものがあれば、今回の距離はこなせるものかと。


 *この続きは「中の巻」、「下の巻」にて。しばらくお待ち下さい m(_ _)m  

blood_max at 00:43|PermalinkComments(2) 3歳G1戦 考察