2011年01月
2011年01月31日
3歳戦 次走へのメモ(11)
1着 テイエムオオタカ(母ハヤテグレシャスのBBLP=2:(1,0,1))
2着 ヴェルデグリーン(母レディダービーのBBLP=10以上だが・・・)
勝ち馬はホワイトマズル(BBLP=11)の産駒。母は凡走パターンを持っているのですが、同時にナスルーラ(3×4)の黄金クロス配合を持つタイプでもあり、評価の仕方が難しいですね。
勝ち上がるまでに4戦を要しており、その後距離短縮の黒松賞(芝1200m)2着を経て、今回一気の距離延長で逃げ切り勝ち。
今後の出世が読みにくい使われ方ですなあ(苦笑)。
父ホワイトマズルに関しては、新シリーズの「リファール系」でも当然「主役」の扱いをすることになるので、この父の評価はそちらの記事にて。(火曜の夜に記事をUPさせる予定)
TMオオタカの場合、母自身が持つ黄金クロスの有効性と、父ホワイトマズルが持つ迂回血ライン=計11からもたらされるポテンシャルとの融合で今後どのように活躍していけるか、とりあえず注視したいと思います。(要マークの1頭になった、ということですね、色んな意味で・・・)
2着のジャンポケ産駒については、母の父がスペシャルウィーク(BBLP=10)ということで、半ば自動的に「芝重賞級を産む可能性の高い母」の範疇に入ってしまうわけですが、今後、こういうサンデー系の母の考察はどんどん増えていくのが必至の状況でしょうね。
実際、京都牝馬特別では母の父がダンスインザダーク(BBLP=11)のショウリュウムーンが、一時期の低迷から復活とみていいのか、鮮やかに抜け出しての勝利でした。
今年最初に、「古馬中心の重賞は適切なローテーション、調教のデキ、コース適性、馬場適性のウエイトがより高まり、血統だけを重視する考察では予想が難しくなる」、と私自身述べていたにもかかわらず、懲りずに血統のみで予想(アプリコットフィズを◎)にしたら、ものの見事にアウト(苦笑)。
まあ、マイルがベストの馬ではないことは確かで、アプリコットフィズには1800m以上の重賞で今後頑張ってもらいたいところですが、今回は状態面でも全く使えるデキになかったのでは?と思われるほどの負け方ですな。
こういう場合、二重、三重の意味で血統考察がバカを見ますね(大笑)。
一方、ショウリュウムーンには過去に色々とイチャモンをつけましたが、もしヴィクトリアマイルをもバッチリ制するようであれば、その強さはホンモノであると認めざるを得ないでしょう。さて、どうなりますか・・・。
話を戻すと、ヴェルデグリーンは「父と母父」だけで見てもスゴい組み合わせなので、いずれ近いうちに勝ち上がる可能性があると思いますが、その時にまた取り上げることにします。
1/23 小倉4R 3歳新馬(芝2000m)
1着 サトノシュレン(母レッドダイヤモンドのBBLP=10:(10,0,0))
このステイゴールド産駒は、母の父であるエルハーブが持つBBLP=10の値が貢献しているのか、それとも、エルハーブの母方にある2つの「異系トウルビヨンのライン」が呼応しているのか・・・・。
エルハーブ以外の血脈からは、一切の迂回血ラインの補強がないタイプの母(即ち、凡走パターンの母)なので、今後の出世の仕方が非常に気になる1頭、ということが出来ますね。
2番人気で10着に敗れたアグネスタキオン産駒の、
ゴッドフローラ(母ゴッドインチーフのBBLP=おそらく考察外)
この馬の母は、両親が共にノーザンダンサー系となる同系配合馬なので、迂回血ラインでの考察がしにくいというか、今回の負け方を見ても、おそらく機能していない配合であろうと思われます。
母自身の血量最上位は、ネイティヴダンサーの12.5%(クロス位置は5・6×5・5・6)というもので、これ自体を見ても、2000m前後の距離に向く可能性を感じないですね。
いわゆるスピード強調型の母で、その父コマンダーインチーフのイメージ(=中距離対応型)だけを当てはめるのは見当違いでしょう。
マイルあたりに短縮し、牝馬限定戦などに絞って出走すれば、いずれは結果が出てもおかしくないのではないかと思いますが・・・。
2011年01月30日
春はりふぁーる。やうやう馬券になりゆくごーる前・・・。
まずは手始めに、ノーザンダンサー系(略記:Nzn−D系)の中から、「リファール系」を焦点に当ててその後継種牡馬たちを、「迂回血ライン」にて検証しておこうと思います。
基本的な受け止め方として、ネアルコ直仔の3大血脈(ナスルーラ・ロイヤルチャージャー・ニアークティック)の内、後発的な存在であるニアークティック直仔ノーザンダンサーの系統が、現代において世界で最も繁栄を極めているという事実を重く見る必要があろうかと思います。
当初、爆発的に繁栄を始めたのはナスルーラの系統のほうでした。アガ・カーン3世が種牡馬としてのナスルーラに見切りをつけ、他人に売却したことで歴史は動いていきますが、紆余曲折を経てアメリカに渡ったナスルーラは種牡馬として大成功を収めます。
特に直仔の4大父系、ボールドルーラー、グレイソヴリン、ネヴァーベンド、レッドゴッドの系統が更に飛躍を遂げました。日本においてはプリンスリーギフト系が成功を収めましたが、これだけは欧州であまり重要視されない系統であったことから、比較的容易に日本へ輸入することが可能だったことが背景にあるとされています。
それらのナスルーラ系が、いち早く「ネアルコ直系子孫」としてのサイアーラインの確立を成し遂げたと言えるのですが、あまりに急速に発展しすぎたきらいがあり、早々と飽和状態に近いものが状況として生まれていました。
そこに、1960年代後半あたりを境にして、後発ノーザンダンサーの系統が世界中の競馬を席巻していったわけです。
ノーザンダンサーは、「ネアルコの孫」という言い方ができるのですが、私が「迂回血ライン」の研究を始めて気が付いた重要な事とは、ナスルーラ直仔やロイヤルチャージャー直仔で後継種牡馬となった、「ネアルコの孫」となる立場をグループとして見た場合、「迂回血ライン数:BBLP=2」という値を持っているのは、「ノーザンダンサーしか居ない」という事実です。
もっとも、この事実は私がTARGETという便利な競馬データベースソフトの「血統検索機能」を利用して得られた結果に基づいているので、ジェネラルスタッドブックなどの正式な資料を元に言っているのではないことをお断りしておきます。
少なくとも、私が調べることのできる範囲内において、「ネアルコの孫」という立場で迂回血ライン数を2つの値で持っている(ハイペリオン&シックルの2頭に由来する)のは、ノーザンダンサーだけです。
この他の「ネアルコの孫」となる種牡馬では、ナスルーラ直仔のレッドゴッドのみが1つ持っている(由来はファラモンド)だけにとどまります。
ノーザンダンサーが、「基点」となって繁栄を極めていく過程の中で、この迂回血ライン数の初期値=2が、他のネアルコ直系子孫に対しての非常に大きなアドバンテージとなっていったと、私自身は解釈しています。
他の血統理論がどうであろうと、私は私なりの解釈で、私自身が構築した仮説(ファラリスの直系子孫が繁栄するためには、代々母方から主要な迂回血ライン=ハイペリオン・シックル・ファラモンド・プリンスキロ・ボズワースのラインを、その時代に相応な数で得ること)に基づき、「競走馬が真に繁栄するための血統的力学」を検証していきます。
そういった前提の下に、これから随時、「ファラリスの直系子孫=後継種牡馬群」を検証していく、ということですね。
前置きが長くなりましたが(苦笑)、その手始めとして選ぶのがノーザンダンサー直仔のリファールから分岐した系統となります。血統予想家のM・M氏が、かなり以前から、「春はリファールの血を持つ馬が激走する」という持論を競馬雑誌などで展開されているので、そこにリンクさせて取り上げてみよう、という意図もありますね・・・。
では、早速。
ノーザンダンサー(2)→リファール(2)
面白いことに、リファールというのは母方から迂回血ライン種牡馬の介入がありません。というわけで、ノーザンダンサーの持つBBLP=2の値が、そのまま受け継がれているというタイプとなります。
実は、「ファラリスの存在が1世代でも遠くなるごとに、母方から迂回血ライン種牡馬の血を補強をすることがベストである」、という解釈に立ちますと、リファール自身については余り評価できず、「父ノーザンダンサーの威光」で何とか次世代に後を託した、というものになります。
この関係性への解釈は、現代においてはチーフズクラウン(7)→チーフベアハート(7)の親子関係がそのまま当てはまります。
チーフベアハートはマイネルキッツなどを出すことに成功していますが、個人的な解釈では、CBハートは母方から迂回血ラインの補強が一切ないため、「パパであるチーフズCの威光」で産駒を勝たせている、という解釈をするわけです。
これは、一代で会社を築いた初代社長が、(経営者としてはダメな)息子に後を譲ったものの、何とか後ろで「院政を敷く」ことで会社経営を維持している、という感じでしょうか(苦笑)・・・。
話をリファール系に戻します。
リファール自身はジャックルマロワ賞などを勝ったマイラーでしたが、では、何故にリファール直仔種牡馬は中距離以上でも成功を収めたのか?
リファール(2)→ダンシングブレーヴ(5)
リファール(2)→アルザオ(6)
この、毎度お馴染みの2つの分岐系統の初期における流れを見れば、いかに迂回血ライン種牡馬の存在(補強)が重要であるかが、お分かりいただけると存じます。
ダンシングブレーヴ自身の実績は「欧州の至宝」とまで言われ、種牡馬としても当然期待されましたが、マリー病という不治の病に冒され、欧州は彼に期待するのを止めたことで、日本の競馬界が輸入できる状況となりました。
もしマリー病でなかったら、どんな大金をはたいたとしても、日本がこの素晴らしい血を導入することは不可能であった、とも言われていますね・・・。
一方、アルザオの場合は後継種牡馬を残せませんでしたが、優秀な牝馬の父となることで、ディープインパクトの偉業達成などにも絶大な貢献をしたことは言うまでもありません。
とりあえず今回はここまで。
この続きは、なるべく間隔を空けずに記事をUPさせます。それ以外の全てのネアルコ直系、およびネイティヴダンサー直系についても、順次カテゴリーを設けて、いずれ系統別の記事として残すつもりです。
ご期待されているかどうか分かりませんが(苦笑)、どうか長い目で見守ってやってくださいまし・・・。
2011年01月26日
3歳戦 次走へのメモ(10)
1着 ギュスターヴクライ(母ファビラスラフインのBBLP=3:(3,0,0))
2着 ラルゴ(母キョウエイフォルテのBBLP=5だが)
3着 ソルデマーヨ(母アルゼンチンスターのBBLP=7:(6,1,0))
4着 アドマイヤサイモン(母ノーザンプリンセスのBBLP=3:(3,0,0))
5着 アストリンジャー(母スウィーピングスのBBLP=3:(0,1,2))
6着 タイセイジーニアス(母タニノジャドールのBBLP=6だが)
いつも、こういった着順まで回顧&分析することはないのですが、上記6頭中4頭の母が私の血統研究上における「凡走パターン」を持つタイプでしたので、やむを得ず?取り上げる次第です(苦笑)。
(*「凡走パターン」に関しては、2011年初頭のブログ主旨説明記事の中でも詳細を述べております。)
1着から順に見ていきますと、Gクライは半兄にファビラスボーイ(父ジャンポケ)などがいるので参考になると思います。
兄Fボーイは、戦績からいってこの凡走パターンの説明をする上でかなり「適格」として然るべき存在です。ただ、この兄は新馬戦に続き、2戦目のセントポーリア賞も勝っているので、「それの一体どこが凡走パターンなんだ?」といぶかしく思う方もいらっしゃることでしょう。
1年近いブランクを経ての復帰初戦を4着としたFボーイは、その後の条件戦を4戦連続で1番人気になりましたが、いずれも敗退。500万条件を突破したのが昨年の2月で、それ以後の昇級戦では7着が2回と、上を目指せる状況がまだ見えてきていません。
このように、母の知名度が高い場合でも「凡走パターンの母」となると、その産駒は人気を裏切ることが非常に多いのです。ペルーサ半弟のソルデマーヨも人気先行が続いていますが、この4戦目でも結果が出ませんでした。まあ、馬券には絡んでいるので凡走と言うのは厳しいかもしれませんが・・・。
全4戦中で、3度も1番人気を裏切っているという意味においては、凡走と見ても致し方ないのではないかと考えます。
Gクライに話を戻すと、兄Fボーイがノーザンダンサー(4×3)の黄金クロスを持つのと比較して、Gクライはノーザンダンサー(5×3)というクロス要素となる違いがあります。
今後の走りの内容には引き続き注目していこうと思いますが、どこまで出世可能か、継続して見ていきます。
2着のラルゴも、やはりノーザンダンサー(4×3)の黄金クロスを持ちますね。こういった要素があるのならば、それなりに昇級していける可能性を残しているのだろうとも思います。
アドマイヤサイモン&アストリンジャーの2頭にもそれぞれ、兄姉が相当数存在しますが、いずれも「芝の重賞級」となったものはいないですね。
6着Tジーニアスの半兄は菊花賞馬のビックウィークですか・・・。この兄が4歳以降、G1戦の舞台で「底力」を発揮する場面があるのかどうか、非常に興味がありますね。
この弟は両親がヘイルトゥリーズン系となるので、「同系配合馬」とみなします。今後活躍の場面が来るかどうか・・・。
上記6頭それぞれの今後について再度考察する機会がもしあるとすれば、その時はどこかで好走している結果を受けてのはずですので、またその時にでも、ぜひ・・・。
2011年01月25日
3歳戦 次走へのメモ(9)
1着 タウレプトン(母レアパールのBBLP=7だが・・・)
年明け以降の、距離が長めの未勝利戦においては、徐々にまたハーツクライの産駒が巻き返してきたように思われます。同日京都の未勝利戦(芝2200m)でも勝ったのはハーツ産駒ですしね(明日分析予定)。
昨年はゼンノロブロイ初年度産駒のサンテミリオン(母のBBLP=10)を1月のデビュー直前にこのブログでピックアップし、オークス勝利までを見届けましたが、今年のハーツクライ初年度産駒にそこまでの出世頭がはたしているのかどうか・・・。
さて、タウレプトンの場合はどうか?というところですが、レース内容としてはお決まりの超スロー戦(千m通過時65秒1)で、実質的には最後の400mだけの瞬発力を問うものでした。
3F目から5F目までの3つのラップは13秒台後半が続き、上がりのラップでは終いの2Fだけが11秒台という記録からも明らか。
先行した馬の内、失速したのが逃げたランドムテキ(14番人気8着)とダイワシンシア(16番人気15着)の2頭のみで、ほぼ先行勢がそのまま押し切ったレースと言えましょう。
まあ、同じ生産牧場、同じクラブ馬主所有の2頭でのワンツーでもありましたね(S台系列で言えば1〜4着を占めてますが)。系列それぞれにおける育成技術の確かさ、設備の充実度は他の追随を許さぬものがあるでしょうから、「あーあ、またか」という印象でしかないですけども(苦笑)。
母のレアパール自身はネイティヴダンサー(4×4)に加え、ナタルマ(5×3)という、意味深な位置での牝馬クロスを持っています。このナタルマは言うまでもなくノーザンダンサーの母であり、ナタルマの父がネイティヴダンサーなので、相乗的な遺伝特性があるのかも・・・。
ここのところ、スロー競馬が常習化しているのでタウレプトンについても「次走の内容の良し悪しをもう一度見てから」という決まり文句を突きつけるしかないのですが、ちょっとまだわからないですね。上を目指せるだけのものがあるのかどうかは・・・。
2着 カルマート(母キープクワイエットのBBLP=14も・・・)
明け3歳のSクリスエス産駒たちの、「芝レース」での活躍度がひと頃に比べて今イチになってきている気がしますが、これだけ毎年のように新規参入するサンデー系種牡馬たちがいれば無理もないでしょうね。
特に今年は真打ちディープにハーツの産駒が揃い踏みで、とばっちりの非サンデー系種牡馬たちは尚更居場所がどんどん無くなっていく感じです。
さて、カルマートの場合は母自身がノーザンテースト(4×3)の黄金クロス配合を持っているので、今後の活躍があった場合でもポテンシャルの出どころが「その辺だろう」と解釈されても不思議はなく、残念ながら迂回血ラインで良し悪しの判定がしにくいタイプですね(苦笑)。
まあ、サンデー系種牡馬全盛時代にあっても、なんとかこういう非サンデー系種牡馬の産駒にも頑張ってもらいたいところなのですが。
3着 アルノシエ(母ミズカガミのBBLP=5)
超スロー競馬を2番手追走で前残りしただけ、という解釈がまずは妥当だと思われます。次走は牝馬限定戦を選んだほうがいいでしょうね。陣営が決めることではありますが・・・。
3頭の半姉と1頭の半兄がいますが、いずれも未勝利のまま登録抹消の憂き目にあっています(管理厩舎は全て異なる)。このアルノシエについても、「母父トニービン」という看板だけでは通用しないということが、母の血統背景全体(=BBLPの値)からは感じられます。
Mカフェとこの母の配合そのものについては5代アウトブリードとなりますし、いずれアルノシエが「母馬」となった場合、MカフェのBBLP=11と合計すれば16という値になるので、その産駒を考察する日が来れば面白いかも?なんてね・・・。 ちょっと気の遠くなる話ですが。
3番人気で10着に敗れた、
メイショウオオトネ(母メイショウサブリナのBBLP=5)
この母はサンデー系種牡馬との間に6頭ほどの仔をもうけていますが、いずれも重賞級となるまでには至っていません。
母自身にはプリンスキロ(3×6)という、ちょっとズレたクロスがあるものの、どのみちこのクロス要素だけでは迂回血ライン的にも不十分だと思われます。
また、父ロックオブジブラルタルについても過去記事で何度か見解を述べていますが、基本的に芝2000mあたりででオープン級の活躍をする産駒を出す種牡馬ではないと感じています。
ロックオブG産駒の現3歳馬(計67頭検索)で、現時点で2勝しているのはエイシンオスマン、タガノロックオン、ピュアオパールの3頭がいますが、いずれも勝ったレースはマイル以下の距離でのもの。
1800mの芝で勝っているのがプレイ、バンスダンウォルツ、アドマイヤクーガーの3頭。しかしながらこちらの3頭も「2勝目」を挙げるのに相当苦労しているご様子ですね・・・。
現4歳以上のRock of Gibraltar産駒(計23頭が検索可)を見ても、2000m以上の芝レースをビシバシと複数回勝利している馬は皆無です。
さすがに「サクラバクシンオー的な」、と言うまでには至らないでしょうが、少なくともロックオブGが出す産駒のタイプというのは、クラスが上がってくればくるほど「どちらかといえばマイル以下が得意」という傾向があると見ていいと思われます。
今後、芝2000mで連勝するようなロックオブG産駒が出てくれば、その時はまた考察したいと思いますけどね(配合相手の母馬を、ですが)。
2011年01月22日
3歳戦 次走へのメモ(8)
1/22 京都10R 若駒S(芝2000m)
上位人気3頭で決まったので、順当といえばそれまでのレース。あえて着順ごとの各馬の表示はしないでおきます。
レース内容としては1000m通過時が61秒ジャストと、オープン戦としては特にハイレベルと言えるものでも何でもなく、むしろ走破時計的にも凡戦(2分1秒7)というべきものでしょう。
リベルタスは積極的に立ち回った、という好意的な見方が大勢を占めるであろうものの、はっきり言って頭数なり、メンバー的には「負けてはいけない相手」たちでした。
それがかろうじてのハナ差勝ちですから、今後の重賞がマイル路線ならともかく、2000m前後の重賞ではリベルタスの今後がかなり危惧されるものに映ります。
3着のショウナンマイティに関しても、もし馬券にならない場合は相当今後が危ぶまれるだろうと思っていましたが、最後の直線に向いては一旦前が塞がる場面があって、追い出しに一呼吸置かざるをえなかったにしては、猛然と追い込んで(上がり3F最速の34秒3)何とか馬券圏内確保という内容でした(リベルタスとは走破時計のタイム差無し)。
こちらは、浜中騎手にしてはかなり失敗の部類に属する騎乗と思えます。内を突いて進出する意図は分からなくはないのですが、外周りと違って内周りの京都では、前が広がるなどのスポットが出来ないままとなるリスクが大きいので、おそらく位置取りに関しては悔やんでいることでしょう。彼のコメントが聞きたいところです(正直に話すかどうか・・・(苦笑))。
最後の伸び脚が出色のものだっただけに、あそこでスムーズならリベルタスを差し切っていた可能性が高いと思われます。
この馬は今後とも、2000m前後でもおそらく大丈夫でしょう。特に外周りの京都や、東京コースならば、今回のようなことはなくなるはずです。アレッジドの黄金クロス配合を持つことによる、能力開花の良し悪しの判定についてはまだ未知な部分を残しますけれども・・・。
一方、母の血統背景がかなり危惧されたディープ産駒のナリタキングロードはシンガリ負け。このスローの前残り競馬を3番手追走で失速してしまうようでは、「2000mは長い」ということの証左でしょう。
更にブービーとなってしまったハーバーコマンドにしても、母が持つネアルコ経由のラインが「計12で過多」という欠点を指摘しましたが、危惧された結果となってしまいましたね。
この馬が勝ちあがったのは1800mですが、昇級を目指すならばマイル路線に矛先を向けたほうがいいのではないかと推察します。
リベルタスに話を戻しますと、今回はかなり恵まれた一戦での勝利と思われ、、今後に関してはまだ楽観視できないと推察します。3馬身、4馬身離して勝ったのならともかく、辛勝と言っていい内容でしたからね・・・。
1/16 京都5R 3歳新馬(芝1800m)
1着 アドマイヤスキップ(母ティティスのBBLP=考察外)
母父のエリシオに関しては何度か言及しているように、エリシオ自身がBBLP=10の種牡馬なので、母方にこの血があれば効果的に寄与するものは持っていると思われます。
ただし、母ティティス自身はノーザンダンサー(3×3)という強度の近親クロスを有する同系配合馬で、その時点で産駒のポテンシャル判定に際し「迂回血ライン」を使用する意義は薄れると判断します。
こちらもレース内容としては千m通過が63秒4と超の付くスロー競馬で、それを自ら先導して逃げ切っての勝利ですので、次走への信頼度はまだ低く、もう一戦それなりの内容が伴わないと正しい評価にはつながらないと思います。
2着 ステラロッサ(母レッドキャットのBBLP=6)
こちらも母の血統背景では特筆すべき有効なものは見られず、おそらく昇級には苦労の連続となるでしょう。1800mでもやや長く、マイル路線で出世を目指すのがベストではないかと推察します。
母自身が持つネアルコ経由のラインは計4つと、それほど多いものではないのですが、血量で言えば最上位となる、8.01%というもの。
ライン数が4つと少なめなのに血量が最上位ということは、母自身が持つ先祖の血が、やや古い年代の存在となるパターンと言うことができるでしょう。
ハーツクライ産駒は年明け以降、やや盛り返して来ている感じもしなくはないですが、結局のところ、産駒の距離適性を大きく左右するのは父方の影響(G1実績)よりも、むしろ母方の影響のほうが強めに作用するということを、迂回血ラインによる考察で実証できていくものと確信します。