2010年10月

2010年10月30日

萩S

 昨年のこのレースでは◎にコスモファントム(4番人気)を指名し、単勝がゲットできました。再検証してみますと、

1着 コスモファントム(母Southern HouseのBBLP=14)

2着 テイラーバートン(母ブリリアントカットのBBLP=3:(2,0,1)の凡走パターン)

3着 エイシンフラッシュ(母ムーンレディのBBLP=8)


 思えば、のちの日本ダービー馬がここで3着というレースでした・・・。

 さて、今年の天皇賞・秋に出走予定のコスモファントム。血統背景的には、父も母もナスルーラ系となる同系配合馬です。ただ、母の場合はナスルーラ直系といってもかなりマイナーな系統である上、かつ他のネアルコ血脈への依存度が高い(ネアルコ経由のライン=計9)ことで、後継子孫を残していくべき活力には大いに欠けています。

 迂回血ライン数=14という場合でも上記のような欠点がある以上、早熟性などで狙いの立つ2歳戦とは違って、古馬主体のG1戦ではちょっと疑問なタイプです。ダートの重馬場を苦にしない面は、芝の重・不良馬場への適性にもつながるものかもしれませんが・・・。


 テイラーバートンに関しては、近走の大敗を見る限り、やはり母の持つ宿命(=凡走パターンの血統)に今後も左右されそうな気配。全兄タスカータソルテも、人気気味でコケて、やや人気を下げた時に1着になるようなタイプだったので、テイラーバートンも穴馬券演出は得意かも?ですな。


 エイシンフラッシュの菊花賞での走りを見たかったのは事前考察でも述べたとおりですが、この馬の配合には、母父プラティニの「3代父」にあたるBirkahnという種牡馬のクロスが(5×5)で存在する部分が、ここへきて気になっていますね。

 この異系のクロス馬自身の血統背景(5代内)には、セントサイモンの血とファラリス直仔の牝馬の血があり、迂回血ラインとはまた別の意味で、ファラリス〜ネアルコに至るラインの根幹的な父系要素を隠し味的に強調している可能性を感じます。


 今年の出走馬たちに、出世の出来そうなタイプはいるのかどうか・・・。


1.ノヴァグロリア(母グロリオーサのBBLP=9)

 母自身にはノーザンダンサー(3×4)の黄金クロスがあり、父ネオユニヴァースにノーザンダンサー経由の血がないことによって、それが効果的になり得るタイプの1頭かもしれませんね。

 母自身にノーザンダンサーの強めのクロスがあって、相手の父にその血は一切ないというのは、サンデー系種牡馬の中でもマンハッタンカフェ、ゼンノロブロイ、アグネスタキオン、フジキセキなどで成立する要素です。

 ノーザンダンサーの血を内包するサンデー系種牡馬(ダンスインザダーク、スペシャルウィーク、マーベラスサンデー、ディープ&ハーツ)たちの場合、相手の牝馬がそうだと、重たい配合になりすぎる懸念があります。2歳時〜3歳初期では良くても・・・。


2.アルティシムス(母アルーリングアクトのBBLP=7)

 この馬の場合、母自身がミスプロ(3×3)のクロスを持つ同系配合馬ですが、これが裏目に出ると距離延長が不向きな感じも。今回が見極めに好都合な距離でしょう。


3.ショウナンマイティ(母ラグジャリーのBBLP=9)

 この馬自身がAlleged(4×4)という、強めの近親クロスを持ちます。このクロス要素が奏功するのかしないのかは、もう少し見てみないと分からないですね。


4.サトノパンサー(母ピサノベネチアンのBBLP=10も・・・)

 母自身がスプリント系で、特に活躍もなく引退。母方にあるストームキャットの血も中距離以上では少々気になります。そしてサトノパンサー自身の5代内に3つのノーザンダンサーの血が出現することになるので、そちらが優位に機能する場合、重めの馬場だとかには向いても、脚質の軽快さには欠けるような面も出てくるかもしれません。


5.ムーダ(母プリンセススマイルのBBLP=3:(2,0,1)の凡走パターン)

 コスモス賞で考察済み。


6.マーベラスカイザー(母マーベラスウーマンのBBLP=7)

 札幌2歳Sで考察済み。


7.メイショウオオゾラ(母コッコレのBBLP=12)

 前走では人気サイドではありましたが、単勝のみを狙い、ゲット。1番人気のシャイニンロミオ(母のBBLP=5)に距離不安の要素があったからこその狙いです。

 ただ、この馬もヘイロー(3×4)の黄金クロスが今のところ優位なだけなのか、母の迂回血がのちのちにも機能していくのか読みづらい部分はあります。母自身にはニジンスキー(3×3)のクロスもあり、これが機能するようだと相当な器の可能性も秘めますが、2つのクロス要素が互いに主張を譲らないようだと、モロさを併せ持つような面もありかと・・・。


8.ベルシャザール(母マルカキャンディのBBLP=11)

 この馬は「次走へのメモ」記事で既に回顧済みです。まあ、社台の放つ有力馬の1頭には間違いないでしょう。馬券の妙味はないですが。

 ある意味、ノーザンダンサーの主張という点ではサトノパンサーとも共通の不安要素があるわけですが、今後は良馬場でのキレはどうか?という部分を確認しておきたいところです。


9.モスカートローザ(母ローザロバータのBBLP=7)

 ディープ専用記事で取り上げ済みの馬です。母自身にはネイティヴダンサー経由のラインが4つもあり、そのことも中距離で勝ち切れない要因になる可能性を秘めます。

 小倉で勝っているように、平坦の京都とかならまだいいのでしょうが、今後中距離以上の路線で大物となっていくような感じはしてこないですね。私の見立てでは、ですが。

blood_max at 01:23|PermalinkComments(0) 2歳馬 考察 

2010年10月24日

菊花賞 回顧

 今年も菊花賞の予想は的中できませんでした。当たらない場合でも、しっかりと次週からの予想に活かすべく、振り返りたいと思います。

 まず、流れ的にはほぼ想定された範囲内で、コスモラピュタの逃げはごくごくノーマルなもの。最初の1000m通過時のタイムは61秒ジャストであり、さらにそこから徐々にペースダウンしているのに、隊列の中団はそれ以上にペースを落としすぎて縦長の馬群に。

 あたかもコスモラピュタが飛ばしすぎて、大逃げを打っているかのように見えたのは、完全な錯覚であるといえましょう。この流れでは絶対に先行勢はバテません。

 事実、コスモラピュタが5着に粘り切りましたし、終始3、4番手追走の2頭、ビッグウィークとビートブラックが1着・3着を分け合う内容でした。

 これではいくらクォークスターが最速上がり33秒5の末脚を発揮しても、後方16番手からでは何の意味もないレースでしょう。

 この流れは、昨年マイネルファルケが2着に逃げ粘ったマイルCSと、人気薄2頭の平凡な逃げがそのまま馬券になってしまったエリザベス女王杯のレース内容と、全くもって「生き写し」のような展開であり、人気上位馬で馬券にならなかった騎手は、今回もその「魔がさしたような展開」に幻惑されてしまったというしかないと思います。

 全盛期の武豊騎手であれば、おそらくローズキングダムに最後の1冠を取らせていたはずで、2度目の3コーナーでのマクリ開始が完全に遅れ、勝ち馬を差し切れずに終わったと見ていいのではないでしょうか。

 2着を死守したのはさすがと言うべきでしょうが、惜しい2着というより、完全に後手に回ってのものと考えます。それも競馬でしょうけれども。

 私が参加している某競馬SNSでも、「予想のプロ」を標榜している20数名の“有料”予想家たちが、全て不的中。UMAJINとかのサイトで予想している競馬記者軍団も、1人の的中者もいなかったようです。

 馬連だけで見れば、7番人気と1番人気での決着ですから、それぐらいの的中はプロ連中にもあって然るべきなのですが、逆にこういうレースで3連単を的中させたような人は、おそらく面倒なことは一切何も考えずに、サラっと当てているのであろうと思われます(苦笑)。


 まあそれはさておき、ここ数年の菊花賞連対馬たちに見られる、故障での引退や長期の休養が、勝ち馬のビッグウィークに起きないことを祈るばかりです。というのも、菊花賞を勝ったことだけで「本当に強い馬」なのかは、昔の格言とは異なる時代ではないかと思うからです。

 スリーロールスが勝った昨年も、「その後」もG1級の継続的な強さがあるかどうかを見たかったのですが故障で引退。

 当然ビッグウィークにも、クラシックG1を制した馬としての「格」を維持することが、今後とも求められます。もう、明け4歳以降の重賞戦線では簡単にコケてもいいような馬ではなくなったということです。

 それだけの力量が、ビッグウィークにはしっかりと備わっていることを来年以降も継続して確認させてもらった上で、来年の菊花賞に向けた血統予想に役立てたいと思います・・・。

 菊花賞馬は、やっぱり4歳以降も強えんだゾというものを、是非とも見せ続けてもらいましょう。それで私の血統を見る目の甘さを痛感させられるのであれば、勉強のし甲斐もあるということですから。 

blood_max at 23:03|PermalinkComments(0) 3歳G1戦 考察 

菊花賞 考察

 前置きに続き、今年の考察を。

 
1.ヒルノダムール(母シェアエレガンスのBBLP=14も、減点要素ありか?)

 ディープ産駒関連の記事でも述べましたが、マンハッタンカフェやゼンノロブロイは、母方にノーザンダンサー経由の血を持たないため、配合相手の牝馬が「ノーザンダンサー3×4」などの強烈なクロス要因を持っていても、上手くそれを吸収し、産駒が芝の重賞級に育っていく傾向が見受けられます(先週のアニメイトバイオなども、そのタイプです)。

 然るにヒルノダムールの母の場合、自身が3つのノーザンダンサー経由の血を持ち、かつそのクロスは(3・5×4)という強烈なもの。

 個人的には、これはやや度がキツ過ぎ、重さを助長するものではないかと考えているのですが、もしヒルノダムールが勝ってしまうようなら、今後、馬産の現場において更にこういう配合への試みに拍車が掛かっていくことでしょうね・・・。


2.レーヴドリアン(母のP=9)

 半姉・半兄に加え、更に半妹の存在が誰の目にも分かりやすい結果を残しているので、血統的なウンチクがあまり意味を持たないという、考察意欲に欠けるタイプです(苦笑)。

 まあ、某血統予想家サンもかなりこの馬を血統背景的にプッシュされているようですし、重賞勝ちがないにも関わらず意外と人気しそうですね。確かに、菊花賞というのは春の内容が通用しない側面も持ちますので、淀の3000mでは持ち味を発揮できるのかも。

 レーヴドリアンの場合、兄・姉や妹が持っていない、ニジンスキー(4×5)のクロスがあり、これが現代競馬的に言えば既に「特殊な舞台」と化している菊花賞で、開花する可能性があるのかもしれないですね。


3.クォークスター(母フェスタデルドンナのBBLP=9)

 この馬は、「見た目」の配合要素だけで言えば、確かに3000mは長いのではないか?という印象が先に来ます。けれども、前走中山の2200mを2分10秒台で走破してしまう(しかも上がり3F34秒0で最速)のは、並みの馬の芸当ではないでしょう。

 翌週の中山2200mオールカマーで勝ったシンゲンの勝ち時計を0秒5も上回っていることも見過ごせない事実ですね。

 母父ヘクタープロテクターといえば、アドマイヤメイン(菊花賞を逃げて3着)にも通じます。更に父がAタキオンに替わることで、前々からこのブログで考察ポイントとしている、「異系アシスト」が機能するタイプです。

 アグネスタキオンは、配合相手の牝馬が異系トウルビヨンや別の異系マンノウォー経由の血のラインを複数持っていると、産駒にその活力を提供することが可能な種牡馬なのです。

 フェスタデルドンナの父ヘクターPは、異系トウルビヨン経由のラインを計3つ持ち、更にヘクターPの父ウッドマンは、異系マンノウォー経由のラインを計4つ持つという特徴があります。

 展開に左右される可能性も否定できませんが、それは全馬にも言えることなので、距離ウンヌンでクオークスターを見ずに、「異系要素にアシストされた意外性」というものが備わっている、と見るのがポイントです。

 
4.ネオヴァンドーム(母プリンセスカットのBBLP=7)

 もう少し、やれる可能性を前走までは期待していたのですが、神戸新聞杯の走りを見る限り、成長がほとんど見られませんでした。得意の京都で一変があるのかどうか、判断に困るタイプですな・・・。


5.シルクアーネスト(母ティアドロップのBBLP=12も、同系配合で?)

 見た目の配合ではセイウンワンダーなどと同じとなるのですが、この馬の場合ヘイルトゥリーズン(4×4)のクロスが、悪い方向に作用しているのではないかと思います。未勝利脱出には8戦も要していますし、洋芝の函館でようやく2連勝して、という経緯は、オーバーシードとはいえまだ野芝が優位の今の京都では、苦戦必死でしょう・・・。


6.ビッグウィーク(母タニノジャドールのBBLP=6)

 父のバゴ自身は凱旋門賞馬というにしても、母自身の底力継承度はやや低めで、洋芝優位の時期ならともかく、野芝優位の今の京都ではやはり苦戦するのではないかと思います。

 野芝100%の状態の神戸新聞杯は、スロー過ぎる逃げがたまたまハマっただけの3着キープで、そもそも今回もスローを演出しようものなら、再度ローズキングダムの急襲に遭うのは間違いなく、かつ相手関係も更にパワーアップしており、余程展開の利がないと馬券圏内は無理でしょうね。


7.ミキノバンジョー(母ニホンピロオリーブのBBLP=7)

 前日段階で18番人気となっており、ほとんどの人が軽視することでしょうが、私はちょっと狙ってみようかな、なんて気も(苦笑)。

 この馬の牝系は1942年(つまり戦前)生まれの、ハイペリオン直仔の牝馬であるSweet Cygnetという馬の輸入から始まっています。

 メジャーな在来牝系ではありませんが、NPオリーブ自身の母父トウショウボーイはハイペリオン(3×4)の黄金配合で活躍した名馬。

 そしてミキノバンジョーにとっての母父となるリヴリアは、プリンスキロの血に加え、ハイペリオン経由の血のラインを3つも持つ種牡馬でした。

 牝系といい、代々の母に配合された種牡馬といい、BBLPとしては現代的に不足気味の母ではあるものの牝系を考慮した場合には、「何かやってくれそう」だと感じさせるものがあります。

 まあ無謀は承知、ダメ元で複勝&3連系に少しだけ・・・。


8.トレイルブレイザー(母のP=7)

 この馬はミスプロ(4×3)のクロス配合要素が大きく関与していそうですね。前走のような重馬場を苦にしないのもその一面でしょう。


9.シルクオールディー(母クインオブルールディーのBBLP=4も、同系配合馬で?)

 この馬は母のポイントが少ないですが、同系配合馬なのでスリーロールス的な意外性はなきにしもあらずです。血統背景全体でノーザンダンサー経由の血が一切なく、その点ではオウケンブルースリやヒルノダムールなどとは完全に「真逆」のもの。

 前走の負け方は案外なものでしたが、Mカフェ産駒は人気薄の次走でも平気で巻き返してくる印象が最近強烈にありますので、狙わずして激走されるよりは、取りあえず押さえて撃沈されたほうがまだマシかと(苦笑)。


10.ローズキングダム(母ローズバドのBBLP=10)

 まあ、一族悲願のクラシックG1制覇なるか?というところでしょう。この馬が勝てば、アパパネの活躍と併せて父キンカメの「芝部門」のリーディング争いで独走キープが磐石なものとなり、さすがにMカフェの首位奪還は難しい状況になりますね。

 そういう意味でも、Mカフェ産駒たちがこれを阻止できるのか、共倒れなのか(苦笑)、非常に興味深いレースとなりそうですね。


11.リリエンタール(母Anna MondaのP=9)

 各方面で言われているとおり、重・不良馬場にでもなればしめたものでしょうが、その時点で「血統ポテンシャル」を正確に推し量る土台が崩れ去るので、良馬場で重賞級の活躍が出来ない限り何とも言えないですね。欧州的なスタミナの土台は間違いなくあるんでしょうけども。


12.ビートブラック(母アラームコールのBBLP=8も、同系配合で?)

 同系配合馬で、かつ母父がブライアンズタイム、というのはスリーロールスと合致する部分です。まあビートブラックはかつて「御三家種牡馬」と謳われた、サンデーS,トニービン、Bタイムの血全てを内包するわけで、前走兵庫特別を勝っているというのも、菊花賞好走セオリーに適う部分。

 他の上がり馬とさほど内容に差がない近走にしては人気薄ですが、掲示板以上はあったりなんかしちゃうかもしれないですね。


13.ゲシュタルト(母エンドレスウェルズのBBLP=8)

 前走は仕上げ途上にしても負けすぎの内容でしょう。京都新聞杯でレーヴドリアンを負かしているものの、今回は立場が逆転されても不思議ないですね。


14.コスモラピュタ(母ヒャッカリョウランのBBLP=8)

 おそらくまた逃げの一手でしょうが、ヤマニンエルブの場合のような期待感は薄いでしょう。父ロージズインメイのBBLP=5というのも、現代で活躍する種牡馬としては相当低いものですし、まず期待できないでしょうね。


15.トウカイメロディ(母ブリリアントノバのBBLP=10も、同系配合のため関係なし?)

 同系配合馬ですが、両親がと共にノーザンダンサー系となるのはこの馬だけです。「父と母父」のみでの考察が、最も的外れとなりやすいと感じますね。

 チーフベアハート(BBLP=7)は、確かにマイネルキッツを出しているものの本質的には長距離馬を出せるタイプとは言えません。その父チーフズクラウンのBBLPも7であり、母方からのBBLP加算がないのです。

 これは迂回血ライン的に何を意味するのかというと、

ダンチヒ(4)→デインヒル(7)

ダンチヒ(4)→チーフズクラウン(7)→チーフベアハート(7)

 私の見解では、チーフベアハートは、「父の持つ迂回血ライン=7の貯金」を、自分の産駒に伝達させているだけであり、世代的にはダンチヒの影響が一代後退しているのに迂回血ラインの更なる補強がないのは、サイアーラインを確実に残せていける種牡馬とはいえないのです。

 3歳クラシックG1戦でチーフベアハートが勝ち馬を何頭か出さない限り、この見解は変わりませんが、仮にトウカイメロディが今回勝ったとしても、ノーザンダンサー系の同系配合馬なので、「例外的存在」と致します。


16.カミダノミ(母ハッシュバンバンのBBLP=4)

 個人的にはこの馬が最低人気でもおかしくないと思っていますが(苦笑)、配合としてはノーザンダンサー(3×5)でどうにか昇級に結び付けている、という程度でしょうか・・・。


17.アロマカフェ(母カリーノカフェのBBLP=7:(6,0,1)の凡走パターン)

 堅実に走っている印象ではあるものの、個人的には、1番人気の場合に過信禁物となるタイプの1頭です。

 まあ今回は1番人気になることはないのですが、外枠なのは割り引かざるを得ないのではないでしょうか。MカフェがいかにBBLP=11の種牡馬といえども、こういう母の血統を全てカバーするまでにはいかないでしょう。


18.サンディエゴシチー(母のP=10も、ヘイロー3×4が優位で単なる早熟?)

 「春先は脚元に不安があったけど、今は違う」、などという陣営のコメントを目にしましたが、やはりヘイロー(3×4)の、黄金配合によるクロス要素が、過度の早熟性を助長しただけの2歳時の活躍、とみるしかなさそうですね。

 ただ、不振が続いているようなMカフェ産駒でも、いきなり馬券になるケースが見受けられるので、この馬もいずれはそういう一面を見せる時が来るのかもしれませんが・・・。

 

blood_max at 02:03|PermalinkComments(0) 3歳G1戦 考察 

2010年10月23日

菊花賞 考察の前置き

 迂回血ラインの研究は2006年の初夏から始めて4年ほどになりますが、菊花賞の結果と「母馬のBBLP」の値の高さは連動していないなあ、と感じざる得ない状況となっています。

 菊花賞はダービー優勝馬がなかなか勝てていないというデータがあることも確かですが、タニノギムレットやキングカメハメハが夏を越せずに引退したり、そもそも、近4年は出走がないということもありますね。

 2006年はダービー連対の2頭がキッチリ出走、アドマイヤメインが最初の1000m通過時で58秒7というハイな逃げを打ち、かつ3着に粘りこんだのが個人的には最も、「強えなあ〜」と感心し今も記憶に残っています(勝ったソングオブウインドの母のBBLP=8)。

アドマイヤメイン(母プロモーションのBBLP=11)

 この馬は菊花賞後の使われ方がマズく、引退を早めてしまい非常に残念でしたが・・・。


 2007年は牝馬ウオッカ(母のBBLP=8)がダービーを制してしまったため、菊花賞出走を望むのは無理でしたが、ダービー2着のアサクサキングスが代わりに?出走、見事勝ちました。

アサクサキングス(母クルーピアスターのBBLP=8)

 この馬も菊花賞の勝利後はあまりパッとせず、G2を2勝したのみにとどまっているのは、やや母の値8が関係していると思います。


 さらに2008年も、ダービー馬ディープスカイ(母のBBLP=11)が秋天に焦点を定め、菊花賞を選びませんでした。勝ち馬は、

オウケンブルースリ(母シルバージョイのBBLP=6)

 母馬単体では、それほど底力継承度は高くないと思われるのですが、父ジャングルポケットのBBLP=12で、母馬の倍の値。おそらくそれがカバーしていたであろうことと、オウケンブルースリ自身の5代内には、「3つのノーザンダンサーの血」が存在していることも大きいでしょう。

 ちなみに先日凱旋門賞で2着したナカヤマフェスタ(母のBBLP=8)にしても、5代内に3つのノーザンダンサーの血を有するタイプでした。

 このように、母馬自身では底力度にやや欠けていても、父との配合でプラスの要素があれば、G1級の馬として成功できる例もあるので、今後の研究にもフィードバックさせていきたい部分です。


 そして2009年も、ロジユニヴァースの復帰がまだ難しいということでやはりダービー馬が不在の菊花賞に。勝ったのは、

スリーロールス(母スリーローマンのBBLP=3)

 ブライアンズタイムの娘とはいえども、この母馬単体での考察では、現代競馬に必要な底力継承度には大きく欠けている、という解釈をせざるを得ないタイプでした。その解釈は、今も変わっていません。

 さらに、「母父ブライアンズタイム」となる産駒の、芝で活躍(昇級)する場合に見られる顕著な傾向はというと、父がタイキシャトルであるとか、父ダンスインザダーク、というタイプ「しか」目につかないことです。

 スリーロールスはまさに、母父ブライアンズタイムであっても芝レースでの昇級が見込める、数少ないタイプと見るべきでした。

 しかもスリーロールスは父ダンスインザダークであることにより、両親が共にヘイルトゥリーズン系の「同系配合馬」でもあり、母単体のBBLPが優先的に機能しないタイプ、と見るべきでもありました。

 結果的に私は昨年にそこまでの予想ができず、悔しい思いをしましたが、今年の毎日王冠を連対した3歳馬の2頭もタイプの異なる同系配合馬(アリゼオは両親がヘイルトゥリーズン系、エイシンアポロンは両親がノーザンダンサー系)で、人気薄の場合、こういう「同系配合馬」となるタイプは重賞では侮れないなあ、と再認識した次第です。


 というわけで今年の菊花賞はどうなるでしょうか・・・。ダービー馬エイシンフラッシュの回避は、またしても非常に残念なことですね。

 とりあえず「前置き」が長くなったので、この記事でまずUPし、今年の考察記事はのちほどUPさせます(おそらく0時前後あたり)。

 今しばらくお待ちのほどを。

blood_max at 22:53|PermalinkComments(0) 3歳G1戦 考察 

2010年10月21日

芝のRサイアー争い(その2)

 昨日の記事はなんだか、「ブログ主旨説明」となってしまいましたが、最近読者になられた方々を一応、意識したものです。

 迂回血ラインとは何ぞや?をまず説明した上で、キングカメハメハの血統背景に迫っていきますと、そもそも「ミスプロ系の種牡馬たち」という存在自体が、「ファラリス直仔、シックルの後継サイアーライン」なんですね。

 ここで、考察に困るポイントが浮上してきます。

 ファラリスの直系子孫にとって、迂回血ライン種牡馬(主な5頭)の存在が底力系の要素となり、母方から代々補強されることが非常に重要な意味を持つのですが、困ったことに、

 「シックルの直系子孫にとって、シックル経由のラインを母方から代々多く補強することで果たして底力要因となっているのかどうか?」

 の解釈の難しさです。

 そもそもの父系先祖=シックルであるキングカメハメハが、父系以外のラインからシックルの血を多数補強することは、度の強い近親配合とはまた違った意味で、「同一祖先の血の重複が過剰となることによる活力の欠如」という面も考慮しないといけないのではないか?と考えるからです。

 実際、ミスプロ系の種牡馬で例を挙げると、

エンドスウィープのBBLP=5(旧解釈では8)

ヘクタープロテクターのBBLP=5(旧解釈では8)

ウォーエンブレムのBBLP=7(旧解釈では10)


 ウォーEの父、Our Emblemは、ダマスカスとトムロルフという種牡馬の血を内包していますが、そのダマスカスもトムロルフも、シックル経由のラインを1つずつ持っています。

 エンドスウィープとヘクターPも、やはり母方にはシックル経由のラインが2つ存在していて、旧解釈では父系を含めたシックルの存在をそのまま迂回血ラインとしていました。そして、

キングカメハメハのBBLP=11(旧解釈では17)

 キンカメが、父系を含め計6つのシックル経由のラインを持っていることが分かるのですが、ネアルコの直系子孫にとって「ネアルコ経由のラインを多く持ち過ぎることによる弊害」を懸念材料としている以上、同じ考察の条件を、シックル直系子孫にも当てはめるべきだろうということで、新解釈でミスプロ系種牡馬と繁殖牝馬のBBLPを算出(つまりシックルのラインは除外)することとし、現在に至っています。


 ・・・とまあ、父系先祖シックルのラインを全て除外しても、キングカメハメハの持つBBLP=11となるのですが、マンハッタンカフェの持つBBLP=11と全くの同数であるということが、私にはとても「単なる偶然」とは思えません。

 元を辿れば同じファラリスの直系子孫だが、片やシックル〜ネイティヴダンサー経由のキングカメハメハと、ネアルコを経由してのマンハッタンカフェが、共に迂回血ライン数を「計11」の値で補強している・・・。

 今年もキンカメの「芝ランキング」でのリーディングサイアー独走は続きそうですが、来年以降の血統勢力図はまたガラリ一変となるのか、ディープインパクト(BBLP=12)の産駒たちなどの動向も、カギを握っていくでしょうね。 


blood_max at 23:57|PermalinkComments(0) サイアーライン分析