2010年04月

2010年04月30日

青葉賞 各馬分析

 ペルーサの相手探し、となるにしても手広くいかないと馬券を仕留めるのが難しそうな今年の青葉賞。穴狙いに値する馬がいるかどうか、上手く見極められるといいのですが。


2.ペルーサ(母アルゼンチンスターの迂回血ライン数=7)

 ポイント的にはさほどのものを感じない母馬なのですが、ゼンノロブロイが迂回血ライン数=11の種牡馬であることでかなりカバーしているとは思います。

 また、配合的には父ゼンノロブロイ、母アルゼンチンスター両方共に5代アウトブリードの馬で、ペルーサ自身も5代内にクロスが発生しないアウトブリード配合。最近ではかなり珍しい、両親と仔の2代続けてのアウトブリード配合なのが好結果に結びついているのかもしれませんね。


4.サクラエルドール(母サクラフューチャー=2)

 この馬をペルーサの相手の1頭に期待してみたい、というプロ予想家の方の見解を某ネットコラムで拝見しましたが、私からすると、母馬のポイントを見る限りではとても重賞級の器とは思えず、軽視妥当、の見解は変わりませんね・・・。


5.トゥザグローリー(母トゥザヴィクトリー=11)

 以前記事にしたとおり、現3歳で「父キンカメ×母父サンデーS」となる配合馬の中では、ローズキングダムの母ローズバド(10)を唯一上回っているのがこのトゥザビクトリーです。あくまで母馬単体での評価で言うならば、有力馬をコンスタントに出せる母といえます。

 ただ、トゥザグローリー自身はヌレイエフ(4×3)という、「奇跡の血量クロス」が発生する配合でもあるため、母馬の持つ底力先祖全体の血が有効に機能するか、或いはこのヌレイエフのクロス要素のほうが突出して好走を続けていくのかは、まだ未知な部分があります。もう少し、見極めが必要な配合ともいえますね・・・。


6.アロマカフェ(母カリーノカフェ=7)

 あくまで母馬単体ではペルーサの母と同様に、さほどの評価はできないのですが、父マンハッタンカフェの迂回血ライン数=11でカバーというのもペルーサの配合パターンと似てますね。

 アロマカフェ自身の配合も5代アウトブリードであることには好感が持てます。ただ、ここまでの2勝はいずれも「不良馬場」でのもの。今ひとつ、良馬場での信頼性という点では欠ける感じですが、穴要素はあると思います。


7.トウカイメロディ(母ブリリアントノバ=10)

 母単体での底力度は高めですが、トウカイメロディの場合は両親がどちらともノーザンダンサー系の「同系配合馬」となるため、額面どおりには解釈できないタイプかもしれません。

 難しいタイプですが、相手なりに走れる感じもしますし、意外とサンデー系に匹敵するような「終いの斬れ味=決め手」も持っているので、軽視はできない感じではあります。


8.ミッションモード(母Royal Fantasy=8)

 母父は、日本では馴染みの薄い系統のMonsunで、日本の軽い馬場での適性がやや不透明です。じゃあ重馬場を苦にしないのかなと思えば、弥生賞ではいいところなく9着。

 個人的には、名門厩舎の管理馬といえどもあまり追いかけたいとは思えない感じですね(苦笑)。


9.エクセルサス(母ラタフィア=7)

 底力先祖プリンスキロのラインが6つあり、計7つのうちのほとんどを占めます。単にスタミナならば充分かなとは思いますが、欲を言えば、プリンスキロ以外の底力先祖(ハイペリオンなど)がもう少し欲しかったですね、やはりバランスに欠けますので。

 ワンパンチ足りない感じは否めませんが、そこそこ活躍を続けていけるのではないかと思います。


10.ロードオブザリング(母レディフューチャー=11)

 初戦&2戦目がやや精彩を欠く内容ですが、その後2連勝して力をつけてきたのかも。母馬単体でも11ポイントと高いのと、父ホワイトマズルも迂回血ライン数=11の種牡馬なので、今後「大化け」する可能性も。(単に平坦コース向き、でないことを祈りますが・・・)


11.コスモエンペラー(設定保留)

 母父がダンスインザダーク、というのが何とも難解至極(笑)。父として、大いに難解な種牡馬なのに、母父としてはどうよ?てな感じです。「父と母父」で血統を語らないのがこのブログの本分ですが、ダンスインザダークが母父の場合だけは、例外とさせて下さい(>_<)。


12.コスモヘレノス(設定せず)

 この馬はノーザンダンサー(4×4)のクロス要因があり、底力先祖のラインが機能しないタイプと見ます。


13.レッドスパークル(母クリスタルコーラル=9)

 皐月賞で10着は残念でした。それまでは掲示板を外さない堅実さがあっただけに・・・。以前の記事で述べたように、ニューイングランド産駒としては、かなり有望なものを持つのではないかと個人的には思っているのですが。


14.リリエンタール(母Anna Monda=9)

 ミッションモード共々、サドラーズウェルズ系の父(ガリレオ&モンジュー)にモンズンを父とする繁殖牝馬との配合、という特色が同じですね。

 まあ、オーナーも同じ、厩舎も同じということで、あとはほとんど、「個体差」みたいなもんじゃないかと。どうせなら、もう少し毛色の違う血統背景で試してみたら?と思いたいのですが(苦笑)。


15.スマートフォーカス(設定せず)

 この馬は両親がミスプロ系の同系配合馬で、かつミスプロ(3×3)のクロス要素がかなり強烈。今後、どういう競馬ができるか観察します。今のところは、深追いしたくないタイプです。


17.ハートビートソング(母フィールグルービー=8)

 母単体ではソコソコですが、この馬の場合はヘイロー(3×4)の奇跡の血量クロスが優先されている模様。ここでもし2着に入って権利を取れれば、ヴィクトワールピサとの「ヘイロー奇跡の血量クロス対決ぅ」が見れますが、果たして?

blood_max at 23:59|PermalinkComments(3) 3歳馬 考察 

2010年04月28日

フローラS他 回顧

 皐月賞の回顧、フローラSの事前検証をすっぽかしておいて、フローラS回顧はねーだろ?と思われても致し方ないところですが、皐月賞に関してはまあ、予想は完敗ということで(苦笑)。

 昨年に続いて、前々で競馬した馬たちには厳しい展開の皐月賞でした。これが今年のダービーにどうリンクしていくのかは予測しづらい面がありますが、ヴィクトワールピサの勝ち方にしろ、完勝という見方もある反面、イワタ騎手の内をすくう狙いがちょっとでも不利を受けていれば危うかったかも、というプロ評論がありましたね。

 そして今年は皐月賞不出走組にも素質馬がかなり揃っていることもあり、青葉賞、NHKマイルCを経てのダービー当日がどのようなメンバー構成となるのか、楽しみに待ちたいと思います。


 さて、フローラSはサンテミリオンの完勝という見方が大勢を占めていると思われますが、私自身もこの馬の能力は今年最初の記事(1月5日付)で新馬戦の注目馬の1頭として挙げていたこともあり期待どおりでした。

 ただ馬券としては、根っからのヒネクレ穴党一本道を突き進んでいくスタイルですので、◎にしたのはアマファソンでした(笑)。

 この馬が3着以内には来るだろう、という想定の元に、サンテミリオンの能力は認めつつも、何かあればアマファソンの差し切り!という展開予想で3連系馬券を狙いました。

 端的に言って、戦法としてはあれしかなかったのでしょうが、開幕週の絶好の馬場状態で、スロー必至のメンバー構成で、たとえ後ろからいくにしても、わざわざずっと最後方につけて直線に入るまで終始15番手の競馬では、いくら最速上がりの34秒1を駆使したところで届かずもやむなし、でしょうね。3着ブルーミングアレーを猛追したところまでは良かったのですが・・・。

 ここまでは、通常目線の回顧。迂回血ライン目線での決着は、

1着 サンテミリオン(母モテックの迂回血ライン数=10)

2着 アグネスワルツ(母メルロースウィートの迂回血ライン数=8)

3着 ブルーミングアレー(母プリンセスオリビアの迂回血ライン数=6)


 アグネスワルツは白菊賞で◎に指名して単勝をゲットできた馬ですが、この馬はミスタープロスペクター(4×4)というクロス配合の要素があり、今後これがどう作用していくのかが注目されます。

 スピードの強化という点ではミスプロのクロスはナスルーラ系種牡馬などとも匹敵するものがあると思いますが、これが3歳牝馬同士とはいえ、2400mの距離でも好走しうる配合なのか、興味は大きいですね。

 ブルーミングアレーについてですが、今回はスローを見越しての前づけで、本番オークスでは本来のタメる競馬に徹する、とのコメントをレース後に目にしました。

 私には、今回アマファソンの猛追をかろうじて凌いだ、という感じにしか見えなかったのですが、距離が伸びていいタイプだとは思えない母馬の迂回血ライン数なので、どうでしょうね。

 マツオカ騎手は、いい馬ですよー、まだまだ伸びます、などと言っているようですが、強気な発言で自らを鼓舞するようなところはいつもの彼らしくて良いのですが、こういう発言が結果につながらなかったケースもしばしばあるので(笑)、オークスでどういう結果を出せるか、注目ですね。

 4着アマファソン(半兄にヒカルカザブエ)は母アドマイヤセラヴィで、迂回血ライン数を実は11以上の数で持っているのですが、父がフレンチデピュティになることで、ヴァイスリージェント≒ヴァイスリーガルという全兄弟クロスが、(3×4)という配置でいわゆる「奇跡の血量配合」を形成するタイプなのです。

 このクロス効果が優先されるとどうなるか、今後にも注目していきたい馬です。単に、父Fデピュティ×母父サンデーS、の配合ならレジネッタと同じだろう?などと思う人は多いでしょうが、配合的に細かく見れば全く異なる特徴を持ちます(当たり前ですが)。

 勝ち馬サンテミリオンの「母父」はラストタイクーンですが、このフローラSにはもう1頭、そういう馬がいましたね。

6着 マシュケナーダ(母ケイウーマンの迂回血ライン数=11)

 半兄にモンテクリスエスなどもいて、迂回血ライン数からしても中距離向きかな、と思いたくなるのですが、どうも、この馬の場合は父がアグネスタキオンに替わることで、ボールドルーラー(5×5)のクロスが生じる配合が少なからず作用しているように思います。

 マイラーズカップで久々の勝利となったリーチザクラウンも、母方ではありますがこのボールドルーラーの5代内クロスを持つ馬。やはり、短縮傾向で結果を出すような方向性がマシュケナーダにもあるのかもしれませんね。


7着 ベストクルーズ(母マサコチャンの迂回血ライン数=6)

 この馬については何度も言及していますが、やはりマイラーでしょうし、完成が早いタイプで伸びしろにやや欠ける母だと考えられます。

 「母父サンデーS」でもあり、世間一般の評価は高いままだったのですが、私は阪神JF後もさほどのものを感じることができませんした。さすがに今回の結果のあとでは、能力に沿った評価を今後されていくことになるでしょう。


 今日はこのあたりで。

blood_max at 00:01|PermalinkComments(0) 3歳馬 考察 

2010年04月17日

皐月賞 出走馬分析

 先週の東西重賞は、先々週までとは明らかに異なる高速決着でした。週明け後、競馬予想界の重鎮数名が、JRAによるこのあからさまな「高速馬場演出」に対しての苦言を呈するコメントをコラムに載せているのを目にしました。

 まあ私も、JRAはおそらく「演出」をやってくるだろうなあ、とは思っていましたが。不景気で馬券の売り上げが低迷する中、走破時計が速くなれば競馬ファンが大喜びして、次週からは多くの人が競馬場に足を運ぶとでも思っているんでしょうかねー?JRAの上層部は・・・。

 JRAが目指す、「常に安全で、公平な馬場作り」とは、週が変わるとコロコロと決着時計が変わるような馬場を言うのでしょうかね?現場で働く馬場造園課の方々が使命感に燃えていくら懸命に仕事をされていても、上層部が「こうしろ」と言えば、そうするしかないのでしょうけれども。

 ま、その辺にしといて、皐月賞予想も難解を極めますね。ただ、先週の桜花賞も難解難解と言いつつも、チューリップ賞組の天下だったわけで、難解ならなおさら、答はシンプルさに徹するのがいいのかもしれませんね。

 桜花賞の時と同様、各馬に対するコメントは、「将来性」の観点から評するものであり、今回馬券にならない馬に対し高評価している場合があったとしても、古馬になっていくまでの期間は継続的に見守り続けます。


1.リルダヴァル(母ヴェイルオブアヴァロンの迂回血ライン数=9)

 前走毎日杯はさすがに休み明けもあり実力を100%発揮とはいかなかったでしょうが、ディープインパクトの近親という看板はなんとか傷つけずに済んだというところでしょうかね。

 毎日杯組はデータ的には、皐月賞の上位にはほとんど絡めないはずですが、テイエムオペラオーばりの素質を秘めるのであれば同様に覆してしまう?かも。迂回血ラインの観点からは、今後も芝重賞の舞台では惜敗のほうが多くあるタイプとみます。


2.ハンソデバンド(母クラウンアスリート=13)

 父マンハッタンカフェ×母父ミスプロ系、という配合パターンはこれまでにも重賞級活躍馬を出しており、「父と母父」で単純に見た場合でも狙いの立つ側面は確かにあるでしょうね。

 迂回血ライン的には、ハンソデバンドは中距離以上の芝重賞で常に連対できるだけの資質を母馬から受け継いでいます。ただしこれまでのレースでの使われ方に関して言えば、1度も2000mで使っておらず、今後の課題といえば課題でしょうね。早めに長い距離を経験させて欲しかったのが本音ですが。

 個人的にはイコピコ、アントニオバローズの母などと比較しても母方の血には奥行きを感じます。細かい血統表上の特徴では、血量最上位がトムフールなんですが、その数値は6.25%と低め。これは、特定の馬のクロス要素が突出せずに、バランスよく幅広い血脈の可能性を示唆するものとも言えるので、馬が競馬を良く理解して、気性面、精神面での安定さが備われば、今後の活躍に結びつくものと思っています。


4.ネオヴァンドーム(母プリンセスカット=7)

 似たような配合パターンのトーセンファントムが故障で離脱後、この馬も台頭してきました。母自身のポイントは高いとは言えませんが、5代アウトブリードであること、血量最上位が底力先祖ハイペリオンで11%強と、血統背景的には大変好ましく感じます。リルダヴァル同様、重賞レースでは常に善戦マンの域を出ない感じはするものの、息の長い活躍を望みたいところですね。


5.ローズキングダム(母ローズバド=10)

 キンカメ産駒は確かに今大ブレイク真っ最中なのですが、どれも阪神を中心とした「マイル路線」だけが突出していい感じです。現4歳となるキンカメ初年度産駒では、オープンクラスにおける2000m以上の距離での連対例が1つもなく、先月にケイアイドウソジンが準オープンで中山2000m戦を制し、オープン入りを決めたのがある程度です。

 ここは一つ、そういった傾向にあるキンカメ産駒たちとは「別モノ」であるゾ、という素質を、このローズKが示す必要があろうかと思います(私は◎には指名しませんが)。 今後の種牡馬勢力の構図がどうなるかを占う上でも、この馬の動向には注目せざるをえませんね。


5.ゲシュタルト(母エンドレスウェルズ=12 or 8)

 母の迂回血ライン数を解釈するにあたり、何故決めかねているのかと言うと、この母自身はノーザンダンサー(4×3)の、奇跡の血量クロスを有しているからなんですね。

 つまり、ノーザンダンサーの血を強めの影響を伴う位置で二重に持つわけで、こういう場合のルールとして私は、「そのクロス馬自身の持つ迂回血ライン数を相殺する場合がある」というものを別個に設けています。

 ノーザンダンサー自身の迂回血ライン数は2で、本来は底力先祖の影響力を子々孫々に伝える役目をこの馬も果たしていますが、ノーザンダンサー自身がクロス馬として強力に主張することで、私が設定した底力先祖以外の血統要因が優位になるかもしれないのです。

 こういう、「二重解釈」をせざるをえないタイプの馬はこれまでにも多く存在していますが、大抵、「減算扱い」をするパターンがほとんどなんですね(先週の桜花賞ではステラリードが該当)。ゲシュタルトの母に減算扱いをしないためには、ゲシュタルト自身が今後にわたって芝重賞級活躍馬となっていく必要があります。


7.レッドスパークル(母クリスタルコーラル=9)

 人気薄ですが、以前、このブログで記事にした、「種牡馬ニューイングランドの可能性」で述べたように、父ニューイングランドは迂回血ライン数=13のサンデー系種牡馬であり、今年産駒をデビューさせるディープインパクトの持つ迂回血ライン数=12を1つ上回っているのです。

 自身の競走実績が今ひとつなまま種牡馬になったがために、サンデー系種牡馬といえども良質の牝馬を集められず成績は一向に上がってこないこの父ですが、秘めたるポテンシャルはいずれどこかで証明される日が繰るのではないかと考えています。

 このレッドスパークルがその大役を果たせるかもしれません。個人的には、こういう穴狙いもいいかなとは思いますね。(某スポーツ紙の名物記者、M戸氏も◎のようですが・・・)


9.サンディエゴシチー(母ジェニーソング=10??)

 本来、高評価をするはずの母を持ちますが、配合相手がサンデー系2世種牡馬である場合には必ず、ヘイロー(3×4)の強力なクロスが発生する母でもあります。こういう場合、ヴィクトワールピサ同様、母の持つ迂回血ライン数が機能せず、の可能性があります。

 ヘイローのクロス(特に3×4や4×3などの強いクロス)は、早熟性を相当なまでに際立たせたり、一本調子でダートでは無類の強さを発揮させたりする面がこれまでには多く見られました。

 他馬の成長と共に、早熟性のアドバンテージを失っていく側面もあり、サンディエゴシチーもややそういう傾向になりつつあります。それを断ち切るには、馬券に絡む力量を示すしかないでしょうね。


10.シャイン(母パリスセイリュウ=設定せず)

 以前もこの馬に対し言及しましたが、5代内に4つのノーザンダンサーの血が存在する馬なので、その影響力(呪縛と言ってもいいかも)からは逃れられないでしょう。中京2歳Sでの勝利は、千載一遇のメンバー構成だったようですしね(負かした相手たちはその後不振な馬ばかり)・・・。


11.エイシンフラッシュ(母ムーンレディ=8)

 Kingmambo直仔の父King's Bestは異系要素の強い母系を持ち、配合相手のムーンレディも主流から外れて久しいハンプトン系の父プラティニを持ちます。京成杯は超スローの前残り競馬を終始3番手追走での勝利で、あまりここにリンクする内容でもメンバー構成でもないでしょう。中山の馬場が重め残りの場合、好走するかもしれないですが・・・。

 むしろ、このスローの京成杯で4コーナー9番手から3着になったレッドスパークルのほうが、よほど可能性を示す競馬をしたと思います。


12.エイシンアポロン(母Silk & Scarlet=8??)

 両親が共に同じ父系に遡り、かつ5代内でその父系先祖がクロス馬になるような場合のことを、個人的には「同系配合パターン」とし、別の解釈を加えることにしています。

 基本的には特定のクロス馬が強調される3×4や4×3の奇跡の血量クロスを持つ馬と似たような解釈になりますが、やはり早熟性が際立ってくること、距離適性が本来の父系や母の父系よりも短めにシフトする場合があること、などです。

 このエイシンアポロンの場合、前走弥生賞で2000m戦を経験、2着しているので中距離適性はあるかもしれないですが、まだ1戦だけの結果なので何ともいえないですね。さらに5代内にはノーザンダンサーの血が3つ存在し、そのクロスとしては(4×3+4)というものだけに、やはり母の迂回血ラインがどうこうと言えるタイプではないと感じます。将来的には、マイラーに落ち着く感じがするのですが、どうでしょうね。


13.ヴィクトワールピサ(母ホワイトウォーターアフェア=3)

 半兄であるアサクサデンエン(父シングスピール)も、やはりヘイロー(3×4)のクロスを有していました。もう1頭の半兄スウィフトカレントのほうはヘイロー(2×4)という度の強いクロスで大物には成り切れませんでしたけどね。

 ま、こういうタイプの母馬(単体では底力継承度の低いタイプ)でも特定のクロス要素が強力に発生する配合ならば、こうやってクラシック級の評価を受ける産駒を出せる、ということなんでしょう。ただ研究の上では、非常に少数派ではあるのですが。

 お手並み拝見、という心境ですね。


14.レーヴドリアン(母レーヴドスカー=9)

 昨年、半兄アプレザンレーヴの評価をしたときは、重賞級に近い器ではあるが勝ち切れなさがつきまとうのでは?としていました。残念ながら故障で早々に引退してしまったので、見解の確定には至りませんでしたが、この馬も父が替わったにしても、似たような評価をすることになりますね。

 能力は高めでしょうが、リルダヴァルの母同様、現代の母馬としては微妙に物足りない値を持つので、そこが今後の活躍の分かれ目でしょう。


15.ダイワファルコン(母ダイワルージュ=8)

 確かに、牝系はスカーレット一族で、活躍のの見込める要素はあるのでしょうが、それは配合相手の父系が「サンデーS自身か、サンデー系種牡馬」だったからでしょう。

 ダイワファルコンにとっては母父がサンデーSとなるので、母系に取り込まれているわけです。最大の問題は父ジャンポケの持つ、「気性難伝達要素」でしょう(苦笑)。

 やる気が常に激変する産駒を出す種牡馬としては、ダンスインザダークと双璧を成す存在がこのジャングルポケット、とも言えます。気性難要素さえ表に出なければ、の条件が付く馬ですね。


16.ヒルノダムール(母シェアエレガンス=9???)

 この馬の場合も、母シェアエレガンス自身がノーザンダンサー(3+5×4)という、奇跡の血量をも超える度合いでのクロスを有するがために、「減算処理」をしているタイプです。

 しかし、ゲシュタルトにしてもそうですが、どうしてマンハッタンカフェの配合相手の血統に、ノーザンダンサー経由の血が2つも3つも必要なんでしょうね。1つでも充分だと思うのですが。

 おそらく、馬産の現場においては、そこまで深くは考えていないのであろうと思います。結果的にこういう配合になっただけだと。

 けれども、「裏目に出る場合がある」ことへの危機感を、これからはもう少し持ってもらいたいですね。それが、活躍馬をコンスタントに出せることへとつながっていくのであれば、それがサラブレッドの健全な子孫繁栄にもなっていくわけですので・・・。


17.ガルボ(母ヤマトダマシイ=7???)

 このMカフェ産駒も、母の値は減算処理後のものです。シンザン記念を勝ってはいますが、負かしたメンバーたちを見渡す限りにおいては、自慢にならない感じですね、どうみても・・・。てっきりNHKマイルCへと駒を進めるものと思っていただけに、ここはよほどうってつけの展開の助けがないと・・・。


18.アリゼオ(母スクエアアウェイ=13???)

 前哨戦までは、この母のポイント13に「はてなマーク」は付けていませんでしたが、G1戦の舞台で機能するかどうか今ひとつ確信しきれないものがあるために今回は付けました。

 これも、両親が共にヘイルトゥリーズン系(クロス位置としては4×5)の同系配合パターンとみなせることが解釈に影響しています。

 グラスワンダー×母父サンデーSの配合であるセイウンワンダーなどと、近いものがあるといえばそう言えなくもないですが、今回はどうでしょうねえ。大外枠発走でなければ、もう少しポテンシャルの見極めがはっきりしたと思うのに、「この枠ではやはり不利だった」、なんてコメントで片付けられてしまう可能性大かも・・・。

blood_max at 22:54|PermalinkComments(0) 3歳G1戦 考察 

2010年04月11日

桜花賞 回顧

 残念ながら私の桜花賞予想は外れました(◎にはシンメイフジ)。キンカメ産駒3頭に、バゴ産駒が2着に割って入るという決着。

 サンデー系種牡馬全盛時代にあって、クラシックG1戦で馬券になった3頭の血統にはサンデーサイレンス経由の血がない、という事実は、今後の政界再編ならぬ、種牡馬勢力再編への序章となっていくのでしょうか・・・。

 また、阪神コース改修後、桜花賞の決着はそのままオークスでの上位進出にリンクする傾向になりつつありますが、今年の上位入線馬たちは果たしてその傾向を維持できるのか、真の血統ポテンシャルに対する興味はそこに尽きます。

 私がこのブログにおいて、「中距離(1800m)以上でこその馬」としている、アプリコットフィズ、アニメイトバイオ、シンメイフジなどがオークスや秋以降の牝馬G1戦で結果が出せるかどうか、注目したいと思います。マイル戦では距離不足、という捉え方も十分に考えられる決着のしかたでもありますしね(負け惜しみ?)。

 「マイラーの、マイラーによる、マイラーのための桜花賞」という意味合いの濃いレースの姿・形であったとするならば、オークスでは、違う馬たちの台頭も十分視野に入れておくべきではないかと考えています・・・。

blood_max at 22:43|PermalinkComments(0) 3歳G1戦 考察 

2010年04月10日

桜花賞 出走馬分析

 昨年は桜花賞の1〜3着馬がそのままの形でオークスの結果にもつながり、上位馬の力量が浮き彫りになった年でしたが、今年は一転して大混戦模様。予想を的中させるのは困難を極めるでしょうが、それだけ予想しがいのあるパターンでもあるわけで、望むところですね。

 さてこのブログでは2度目の考察となる迂回血ラインによる桜花賞・各馬分析。常に考えているのは、今回のみの考察ではなく、「その先々」を見据えた上での血統評価をしておきたい、という部分です。

 たとえ馬券が当たらない場合でも、先々につながる見解が現時点で正しく導き出されていれば、個人的にはそれで「良し」とします(苦笑)。あしからず。

1.ショウリュウムーン(母ムーンザドリームの迂回血ライン数=設定せず)

 この馬はノーザンダンサー経由の血のラインを父と母から合計で5つ受け継ぐという、かなり血統的に偏った依存度の持ち主で、非サンデー系の種牡馬が芝重賞級の活躍馬を出すための条件が、このような形になる事を示唆するのであれば、トライアルの勝利はフロックではなく、恒常的な活躍につながるものと受け止めるしかありません。(まあ母の父系はサンデー系、でもあるわけですが)

 私は重賞で連続好走するのは懐疑的に捉えていますが、このブログではしばしば、私が懐疑的な評価をした馬が激走しているので、参考にはなるかと(苦笑)。


2.ギンザボナンザ(母アルウェンの迂回血ライン数=7)

 この馬が前日段階で11番人気とは、競馬ファンも「移り気」な方が非常に多いようですなあ。私はショウリュウムーンよりもよっぽど狙える馬じゃないかと思うのですが(笑)。

 確かに、将来的にもマイラーの域を出ない感じの母のポイントではあるのですが、ここはそのマイル戦。少なくとも、掲示板には近い実力を今回も示せるのではないかと思います。


3.アプリコットフィズ(母マンハッタンフィズの迂回血ライン数=11)

 まあ、母がマンハッタンカフェの全妹という、誰もが非常に分かりやすい血統の特徴がある故、迂回血ラインを用いての見解が「霞んでしまう」のも否めませんけど、常々、「迂回血ライン数=10以上の母馬」を、芝の重賞(特に1800以上の距離の重賞)で重要視する、という研究内容を具現化させる上では、格好の存在でしょう。

 けれども、別に母が「何々の全妹」だとかどうとかいうのは、本来、意に介する必要が全くないのです。私の場合は・・・。むしろ、それが分かりにくい血統の母馬であればこそ穴要素大、なので、本当は理想的なんですけどね。


4.コスモネモシン(母デュプレの迂回血ライン数=13)

 フェアリーSで◎にし、各馬券を大的中できたことは今年最大の収穫でした。ただその時は、この馬の持つヘイロー(3×4)の「奇跡の血量クロス」が、同様のクロスを持つヴィクトワールピサのように「発動」する可能性を感じて、という事前の見解でした。

 今回はあえて、母デュプレの持つ資質の高さを提示しておきます。ただし、ヘイローの強めのクロスは、気性面では不安要素となりかねない部分も過去の例には多々あるので、「諸刃の剣」的な配合である事も否定はしませんけれども。


5.モトヒメ(母ケイシュウプライムの迂回血ライン数=設定せず)

 この馬はショウリュームーンと系統こそ異なるものの、ノーザンダンサー経由の血およびネアルコ経由のラインに過剰に依存する部分では相当似ており、ショウナンカンプ自身についてはなかなか見どころがある種牡馬だと感じるにしても、この産駒は配合的にやや疑問ですね。


6.ワイルドラズベリー(母ディアアドマイヤの迂回血ライン数=14)

 出走馬中最大の「母のポイント」を持つのがこの馬。過去にはレジネッタの母馬の値がやはり14というものでした。まあ、母父サンデーSでもあるわけで、穴狙いに指名する輩は結構いるはずです(笑)。

 ただ、父がファルブラヴというのがやや懸念材料。というのも配合相手がサンデーSの娘だと必然としてアルマームードのクロスが発生するので、気性難要素が隠れているはずだからです。

 マイルよりも、1400m以下でなら気性の前向きさで活躍する可能性も考えられますが、今回好走できるかどうかで、その血統解釈も大きく左右されることになります。


7.タガノエリザベート(母ストレイキャットの迂回血ライン数=8)

 ファンタジーSでは8番人気でしたが、◎にし大的中。阪神JFも4コーナーでドン尻の18番手から最速上がり(34秒0)を繰り出しての6着。人気を今回落としているのは、穴党にはむしろ好都合なのではないでしょうか。(ベッラレイアのような勝ち切れなさも今後つきまとうでしょうけど)

 これがオークスの場合、母の8ポイントではやや評価を下げるところですが、マイル戦は願ってもない理想の条件。私の設定した底力先祖に連なる、バックパサー(5×5)のクロスを有するのもスピードの有効性を発揮するには魅力大です。


8、オウケンサクラ(母ランフォザドリームの迂回血ライン数=5)

 母父がリアルシャダイということで、一般的な血統評価では中距離以上に向くハズ、という見解が多数を占めるでしょうが、迂回血ラインの見地からは逆に、5ポイントでは中距離以上での芝重賞には不十分、となるので、今後、その見極めが正しいかどうか、この馬にはずっと注目してみたいと思います。

 今回はマイル戦。1800m戦で2勝しているものの、本質的にはマイル戦が合っていると感じますので、今回人気サイドですが嫌う材料はないですね。サンデー系種牡馬やノーザンダンサーの血に頼る血統が幅を利かせる中、バゴという種牡馬もなかなかいぶし銀的な存在。

 オウケンサクラ自身5代アウトブリードの配合で、好ましい血統背景ですので、どこかで勲章を手にするといいですけどね。


9.アパパネ(母ソルティビッドの迂回血ライン数=6)

 母馬のポイントからは、マイル戦で勝たなくてどこで勝つ?という感じなので、ここは勝っても不思議なく、まあ馬券がつまんねえなあ、というだけです(笑)。

 ただ、ここで勝ったとして、将来的にもマイラー(ヘタをするとスプリンター化する懸念も)でしょうし、オークスで狙うことは個人的にはないです。もし、オークスでも馬券になる場合でも、ローブデコルテ(母Color of Goldの迂回血ライン数=6)のような感じに受け止めます。

 将来性は感じない、ということですね。いずれにせよ・・・。


10.レディアルバローザ(母ランフォーローズの迂回血ライン数=11)

 アパパネとは逆に、同じキンカメ産駒でも中距離対応が十分可能な血統背景の母を持ちます。ただ、陣営が1400m戦中心に使ってきているので、その辺は馬が成長する上では懸念材料です。

 またこの馬の最大の特徴は以前述べたとおり、The DancerとKazadancoaという、全姉妹クロス(4×4)(父はGreen Dancer)があることで、そこが面白いといえば面白いでしょうね。


11.エーシンリターンズ(母エイシンサンサンの迂回血ライン数=7)

 この馬も大物感こそ欠けますが、マイル前後のレースでは今後もそれなりの活躍があることでしょう。まあ、その程度の見解しかないですが。


12.ステラリード(母ウェルシュステラの迂回血ライン数=設定せず)

 本来、この馬の母のポイントは13と高いものですが、同時に母はノーザンダンサー(4×3)のクロス配合も持ち、相手のスペシャルウィークにもノーザンダンサー経由の血があることで、傾向がノーザンダンサーに由来すると思しき特徴に偏ってしまいました。

 評価としては非常に難しい馬です。配合としては、この母はノーザンダンサーの血を持たないサンデー系種牡馬(マンハッタンカフェ、ゼンノロブロイ、ネオユニヴァース、アグネスタキオン、フジキセキなど)との配合の方がベストで、好結果が期待できるはずです。

 せっかくデビュー序盤は素質の片鱗を見せていただけに、ここに至る経緯を見る限りは、ノーザンダンサーの血の影響力が悪いほうに導かれたなあ、という印象ですね・・・。


13.アニメイトバイオ(母レーゲンボーゲンの迂回血ライン数=11)

 当初から好素材として見てきました。アプリコットフィズ同様、母のポイントはマイラーで終わる感じのアパパネなどとは好対照です。

 確かに、マイルという距離ではポテンシャルの差が出にくく、マイラーとしてのアパパネが優位かもしれませんが、将来性の観点からはエリザベス女王杯などでも十分に期待できる配合でしょう。

 今回、前日夕方の段階で6番人気というのは意外すぎますが、オイシイ馬券になってくれるのであれば、むしろ歓迎すべきですなあ。


14.ジュエルオブナイル(母レディオブチャドの迂回血ライン数=11)

 この馬の場合も、ステラリードと似たような評価ができます。本来中距離対応が可能な母であっても、「父デュランダル」というイメージだけが先行してしまい、それが陣営の方針にも影響してしまっているのが残念です。

 中距離対応を念頭に置いた調教、レース選択がなされていれば、この馬ももう少し活躍の場が広がった可能性が高いのですが、仕方ありませんね・・・。


15.サウンドバリアー(母スリーピングインシアトルの迂回血ライン数=7)

 前走フィリーズRで見解を述べた際は,距離短縮であれば、ナスルーラ経由のラインが計6つあることによる「スピード強調型配合」が活きる可能性もある、というものでした。

 マイルはギリギリ活躍可能な距離でしょうけれども、後ろから行く場合の馬としては、タガノエリザベートほどの破壊力はないのではないかと感じます。


16.ラナンキュラス(母ファレノプシスの迂回血ライン数=7)

 私がこのブログで「母父ブライアンズタイム」に懐疑的な見解を載せた途端、スリーロールスが菊花賞を勝ったり、先週は産経大阪杯でテイエムアンコールが勝ったりと、まるでブライアンズタイムに私の見解が届いて、「何をっ!、今に見てろよー」とでも言っているかのよう(笑)。

 まあ、この馬にもその「母父」から強力なテレパシーが飛んでいるやも知れず、迂闊なことは言えませんなー。

 見解を曲げるつもりはまだまだありませんが、もっともっと実績を上げないとね。父としてと、母父としての比較では、あまりに「芝重賞級」を出す場合においての活躍度に開きがありすぎますから・・・。


17.シンメイフジ(母レディミューズの迂回血ライン数=12)

 新潟2歳Sを勝った当時は、このまま、単に早熟なだけではないということを3歳以降も示せれば相当な器、という見解を出していました。

 けれども体調面の不具合は如何ともしがたく、ここまでは順調度を欠きそれを示すことが出来ませんでした。

 今後、ずっと好結果を導きだせるようであれば、迂回血ライン研究のスタンスからは嬉しいのですが、とにかく頑張って欲しいと思います。


18.プリンセスメモリー(母リトルブレッシングの迂回血ライン数=11)

 この馬もショウリュウムーンに近いと言えば近い血統背景ですよね。父はミスプロ系で、母父はサンデーS2世種牡馬。

 けれども、やはりこの馬の場合、5代内に3つのノーザンダンサーの血があることによる影響が、相当大きいと思います。今回もし好走した場合でも、いかに母が二桁の迂回血ラインを持つとしてもオークスで狙える血統、だとは思いません。

 さあ、混戦を制するのはどの馬なんでしょうか?

 将来性を感じる馬に、活躍して欲しいと願っています。

blood_max at 17:40|PermalinkComments(0) 3歳G1戦 考察