2010年01月

2010年01月25日

種牡馬ニューイングランドの可能性

 先日の京成杯では紅一点のフーガフューグに期待してみましたが、ものの見事に馬群に沈んでいいところなし。まあ上位人気3頭での決着でしたので、4番人気以下の馬のどれを狙おうが単・複は的中しようがなくアッサリと白旗降参、のレースでした。

 ただ内容的にはプロの予想家の方々が指摘されていたようにタイム的にも平凡なレースで、重賞にしては1000m通過タイムが63秒2と超〜遅いペース。先行した2頭がそのまま連対したことよりも、4コーナーまで9番手で3着になったレッドスパークル(父ニューイングランド)のほうが、今後につながる競馬かなーと思いますね。

 これまで、サンデー系種牡馬の持つ迂回血ライン数はある程度重賞級の活躍馬を出している父のみで考察してきましたが、ニューイングランドについては1度も言及していませんでした。ニューイングランド自身は競走馬として大成しきれないまま種牡馬になったために、どうしても良血の繁殖牝馬との配合相手に選ばれにくい状況にあるのは致し方ない面があると思います。

 種牡馬になった場合、輝かしい実績(特に芝のG1レース実績)がなければ、それは当然のハンデとなるわけで、いくらサンデーサイレンスの貴重な血を受け継ぐとしても活躍馬をそんなに多く出せる状況にはないのがニューイングランドの置かれた立場ともいえます。

 ただ、あくまでも血統的な面での「可能性」で言えば、ニューイングランドは相当なポテンシャルを産駒に継承できるはずの種牡馬です。「迂回血ライン」でその可能性は示唆できます。

 まず、母クラウンフォレストの父がChief's Clown(迂回血ライン数=7)であることがかなり大きい存在です。ミスプロ系の種牡馬アグネスデジタルの母父、そして一昨年のダービー馬ディープスカイの母父でもあるのがこのチーフズクラウンですね。

 系統の流れで言うと、ノーザンダンサー(2)→ダンチヒ(4)→チーフズクラウン(7)となり、同じくダンチヒの直仔で大成功した種牡馬デインヒル(迂回血ライン数=7)と数値的には全く同じ「底力継承度」であると言えます。

 当然、母父となる場合もその7という値は大きいのですが、ニューイングランドの母クラウンフォレストは母系からも2系統の迂回血ラインを受け継いでいますので、クラウンフォレスト自身の迂回血ライン数は計9つとなり、迂回血ライン数=4のサンデーサイレンスと配合すれば当然、合計で13という値がニューイングランドの持つ迂回血ライン数となるわけです。

 この13という値は、何度か記事にしていますが今年初年度産駒を送り出すディープインパクトが持つ迂回血ライン数=12を一つ上回っていることになります。

 昨年リーディングサイアーランキングで首位を獲得したマンハッタンカフェの迂回血ライン数が11、芝のみのランキングではマンハッタンカフェを退けたダンスインザダークもやはり迂回血ライン数=11ですから、これらの人気種牡馬たちと潜在的には遜色ないどころか、むしろ大物さえ出せるはずだと思われるのが、実はニューイングランドなのです。

 ただ、最初の指摘どおり現役時代にG1実績が無い以上、良血の繁殖牝馬と配合される状況を得られにくい立場でもあるわけで、そういった不利を打開できる産駒が今後に登場するかどうかでニューイングランドの運命も変わっていくでしょう。

 レッドスパークルの場合、母クリスタルコーラルの迂回血ライン数は9で、二桁に届かない分今後も重賞戦線で惜敗を続ける可能性はありますが、父のポテンシャルの優位性がどこかで発揮されれば、重賞勝ちもなくはないと思います。

 あまり人気になることのなさそうなニューイングランド産駒でも、母馬次第で活躍する場合があるはずですので、レッドスパークル以外にも気になる馬がいれば、また取り上げてみたいと思います。   

blood_max at 00:45|PermalinkComments(0) 種牡馬 単体考察 

2010年01月16日

京成杯展望

 先週は◎にしたコスモネモシンの激走に我ながら驚いてしまいましたが、毎週そういうオイシイ的中はないでしょうね(苦笑)。

 明日の京成杯に出走する牝馬、フーガフューグ(母セタガヤウタヒメの迂回血ライン数=10)は、前走11月7日の東京3Rの未勝利戦で注目しましたが、レコード勝ちまでやってのけるとは思わず、これは今後につながるかな、と考えていました。

 ただ中山コースへの適性と、牡馬相手の重賞でどうか?という懸念材料はもちろんありますね。京成杯を勝つような牝馬はその後オークス馬になる例が何頭かあるようですが、フーガフューグも頑張って上位争いができるようなら、牝馬クラシックでの台頭も現実味を帯びると思います。

 もう1頭の注目馬はスペシャルウィーク産駒のタイムチェイサー(母フェミニンガールの迂回血ライン数=10)です。母父はキングマンボですが、キングマンボ以外からも十分な底力先祖のラインを受け継いでおり、ここで好勝負できるようならばこの馬も一気にクラシックへの展望が開けそうです。

 とはいえ近年の京成杯の上位好走馬にはその後につながりにくくなっているパターンもあり、シンザン記念もそうですがクラシック連対級の出世馬を出しにくいなんとも中途半端な重賞、というスタンスになってきているのも事実でしょうかねー。

 昨年の勝ち馬アーリーロブストは、母クワイエットアースは迂回血ライン数で11と高めの値でしたが、ヘイロー3×5のクロスが徐々に裏目に出てかその後は短距離路線に活路を見出すしか望みはなくなりました。
 
 同2着ナカヤマフェスタも、母ディアウィンクの迂回血ライン数は8と今ひとつで、セントライト記念こそ勝っていますがそれ以外は人気通りの走りを見せられない感じですね。

 今年の京成杯はどの馬が勝つにせよ、スローの上がりだけの競馬ならシンザン記念と同様に重賞としてのレベルは低いものになるかもしれません。

 逃げるであろうログ、ブルーソックスあたりが締まった流れを演出してくれるといいのですが。

 タイムチェイサーの勝った新馬戦もやはり特有の超スローで、2番手追走を抜け出して勝つという内容は走破タイム的に強調材料に乏しいものの、後半ペースが上がってからもバテずに追えているという部分ではそれなりのものを感じます。

 前日段階での上位人気5頭について簡単にまとめると、

13.エイシンフラッシュ(母の迂回血=8)

1.レッドスパークル(母の迂回血=9)

4.アドマイヤテンクウ(母の迂回血=8)

11.フラガラッハ(母の迂回血=7)

7.ブルーグラス(母の迂回血=5)


 エイシンフラッシュの場合は父も母も異系要素の強い血統背景を持っていて、今後の活躍がどうなっていくか、かなり興味は持てます。

 アドマイヤテンクウも、母系には古めではあるものの複数の異系トウルビヨンの血のライン(計4つ)が存在し、キングカメハメハが持つトウルビヨンのラインと少なからず呼応する要因が見てとれますので、ここで好走可能ならば今後も面白い存在になっていけるかもしれません。


 個人的にはフーガフューグとタイムチェイサーの走りに期待しつつ、馬券では人気サイドの馬たちとどう絡めるかを考えようと思っています。  

blood_max at 22:18|PermalinkComments(0) 3歳馬 考察 

2010年01月12日

フェアリーS的中も心中複雑・・・。

 競馬ファンならご承知のとおり中山4R新馬戦で史上最悪の連鎖的落馬事故があり、内田騎手も腕を骨折する重症。命まで奪われずに済み不幸中の幸いです。一日も早い回復を祈ります・・・。


 そんなこんなでフェアリーS。蛯名騎手が騎乗予定だったアプリコットフィズにはカツハル騎手が急遽乗り替わるなど、予期できない事情もありましたが、前日の記事で穴馬に指名したコスモネモシンがなんとなんと1着になってしまい、予想は大的中。(某競馬SNSでも的中を披露)

 今年は東西金杯も完敗、土日の芝の新馬戦&未勝利戦も外しまくりで全くいいところがなく終わりそうな雰囲気だったのですが、何はともあれフェアリーSで穴馬激走を的中でき、事故の影響はゼロではないでしょうが個人的には起死回生の一打でした。

 あのような事故が起こらないことを祈りつつ、次週以降も穴馬発掘に勤しみたいと思います。
  

blood_max at 00:01|PermalinkComments(0) 的中記事コレクション | 3歳馬 考察

2010年01月10日

フェアリーS

 シンザン記念は結局2歳G1で4着のガルボがアッサリと勝ち、レベル的にも低調なメンバーが相手だったということになるんでしょう。

 ま、ピサノユリシーズが痛恨の出遅れを喫していなければはたしてどうだったかを言ってもしょうがないですが、スローペースの前残り重賞はここでも不人気馬の台頭を許す結果でした。

 個人的にはガルボとセレスロンディーは馬券に絡めていたものの、肝心のカネトシディオスがスローであんな位置取り(4コーナー13番手)では、いくら最速上がり34秒3を駆使したところで前を捉えるには後ろすぎたでしょう。まあ文句言っても仕方のないことなので残念、というしかないですね・・・。

 まんまと2着に粘ったシャインは、まるでマイルCSでのマイネルファルケを見ているようでした(笑)。同じようなことは今後も続くんでしょうね。

 どちらにしろシャインは血統的に買えない馬です。個人的には・・・。シャインの父メイショウドトウはノーザンダンサー(4×4)の近親クロスを持ち、シャインの母バリスセイリュウもノーザンダンサー(4×3)の奇跡の血量配合の馬。

 こういう、ある意味で子孫に悪影響ばかり伝えそうなほど極端な配合の馬が重賞で連に絡むのも、時代の流れ、なんでしょうかねー?

 一方、同じ不人気でもセレスロンディーのほうは血統的に狙っていました(相手が来なかったので馬券は不発でしたが)。この馬の母ロンドインディは迂回血ライン数=11と高く、配合相手次第では十分に芝の重賞級の仔を産めるはずの母馬です。

 ただし、相手のプリサイスエンドはネアルコ依存度の高い種牡馬(合計9つのネアルコラインを持つ)であり、大物を出すにはもう少しネアルコ依存度の低い種牡馬がベストですね。できれば・・・。

 
 さて明日のフェアリーSも人気どころがコケるんでしょうかねー?

13.アプリコットフィズ(母マンハッタンフィズの迂回血ライン数=11)

 母がマンハッタンカフェの全妹というのは周知のとおりでしょう。当然11という値も兄と同じわけです。本質的には中距離で力量を発揮できるタイプなのも兄の特徴と同じで、このマイル戦ではかえってそれがアダとなり、脚を余すような結果もなきにしもあらずです。

 外枠気味もやや不利な感じで、それでもあっさりと勝てるようなら、アパパネ以上に将来性は高い可能性があると思います。中距離対応も十分可能な血統背景ということで。

 
16.テイラーバートン(母ブリリアントカットの迂回tライン数=4)

 この馬はタスカータソルテの全妹にあたるわけですが、兄はジャンポケ特有のムラな気性をしっかりと受け継いでいた面があるのに比べ、今のところは気性面で」もレースでいい方向に出ているようです。

 血統的には母の迂回血ラインよりも5代内クロスの、ノーザンダンサー(4×3)の奇跡の血量配合が極めて有効に機能するタイプのようで、同年齢では牡馬のヴィクトワールピサ(ヘイロー3×4)や、4歳牝馬のブエナビスタ(ニジンスキー4×3)などと同列に論じることが可能なタイプかと思われます。

 今回、大外枠が不利な中山のマイル戦を克服してあっさり上位なら、今後も兄以上の器として期待が高まるんじゃないでしょかねー。

 
15.アドマイヤテンバ(母アドマイヤグルーヴの迂回血ライン数=11)

 まあ、母がいわゆる良血なんですからコメントなど不要かもしれませんが、一応迂回血ラインの目線で見てもこの母馬は十分に重昇級の活躍馬を出せる底力ラインを持ちます。

 2000m戦を2戦して2連対。ここはマイルへの距離短縮がいいかどうかがポイントでしょうが、中距離向きなのは明らかなので、かえって外枠で多少の距離ロスがあるのもプラスかもしれませんね。

 素質の違いが表に出るのであれば、ですが。アンカツさんの手腕も見どころでしょう。


2.メジリオードリー(母メジロドーベルの迂回血ライン数=7)

 この馬の母も女傑として名を馳せましたね。ただ、底力度では迂回血ラインで示されるように母馬としてはやや不利な時代となっています。

 ただ、マイル適性のあるタイプを産むには十分な値ですので、内枠有利な中山のマイル戦なら大崩れは無いような気もしますね。


 個人的な狙いの1頭は大穴ですが・・・、

9.コスモネモシン(母デュプレの迂回血ライン数=9+??)

 この馬は、ヘイロー(3×4)の奇跡の血量クロスを持つタイプで、それだけならばヴィクトワールピサと同じ特徴であるといえます。ただ、良い方に出るかどうかはその馬によって異なりますから、コスモネモシンも今後芝で好成績を残せるかどうかはここ次第、でしょう。

 重・不良の芝コースを難なくこなしているところなど、いかにもヘイローの馬力が全面に出ていて、かえってダート馬っぽさを醸しだしており、良馬場のキレ勝負ではダメなタイプかもしれないですけどね。

 まあ、そうであったとしても、今の段階ではそんなに悪くない成績ですし、狙ってみて面白い存在ではないかと思います。無謀でしょうけども。



blood_max at 22:48|PermalinkComments(0) 的中記事コレクション | 3歳馬 考察

シンザン記念

 シンザン記念は、過去にはタニノギムレットが勝ち、ダイワスカーレットが2着だったり、昨年の勝ち馬アントニオバローズがその後ダービー3着になったりということで、クラシック候補を輩出しうるレース、などと位置づけられているようですが・・・、昨年2着のダブルウェッジ、3着トップカミングはもとより、2008年の勝ち馬ドリームシグナル、2着ドリームガードナー、3着マヤノベンケイといった面々は、その後クラシック級とはいかなかった面々、ですよねえ。

 レースの位置づけとしてシンザン記念は今イチ中途半端というか、次週以降の2000m前後の芝重賞のほうがよほど、本来クラシックを目指すような馬の「登竜門」だと思われるんですけどね・・・。

 シンザン記念も1800mか、2000mで施行するのが、クラシック級の馬を毎年のように出すためには必要な「改革」ではないかと個人的には思います。

 さて今回の前日段階1番人気から見てみます。

2.ピサノユリシーズ(母ブルックリンハイツの迂回血ライン数=10)

 今年の3歳路線におけるアグネスタキオン産駒は受難続きですね。ダノンパッション、リディル、リルダヴァルと、期待の大きい馬たちが相次いで戦線離脱。普通、種牡馬が亡くなるとその産駒は激走し始める、などということが昔からよく言われていましたが、牡馬「三羽烏」の故障に加え、今年は牝馬のタキオン産駒に2勝馬がまだいないという、かなりの低調なのも気に掛かります。

 ピサノユリシーズは前走の内容も実に惜しいもの。上がり3Fは最速で、33秒8という末脚は素質の高さを物語りますね。。母の父ドクターデヴィアスというのも、アグネスタキオンとは好相性の種牡馬です。

 過去記事で、アグネスタキオンはサンデー系種牡馬の中で唯一無二の、完全異系のヘロド系およびマンノウォー系の両方とも、「強力な味方につける」ことが可能なタイプである、と述べました。

 ドクターデヴィアスはヘロド系トウルビヨンの直系で、なおかつトウルビヨン経由の血のラインを合計で4つ持つという異系種牡馬。さらにその母父であるアレッジドという種牡馬はリボー系ですが5代内には「マンノウォー(4×5)」のクロスをも有します。

 ロイヤルスキー経由でヘロド系&マンノウォー系のクロス遺伝を両方とも受け取っているアグネスタキオンにとっては、成功確率の非常に高い配合相手が「ドクターデヴィアスの肌馬」、ということになるのです。

 タキオン産駒の3歳牝馬で、やはり母父がドクターデヴィアスとなるレッドステラーノが新馬戦で2着に好走しています。この馬もピサノユリシーズ同様に注目してみたいところですね。


 私が個人的に注目したいのは、

13.カネトシディオス(母カネトシディザイアの迂回血ライン数=13)

 この馬の場合、確かに母のポイントでは今回の出走メンバー中1位の値で、本来はこういう二桁以上の母の値だと「中距離向き」と判断する場合がほとんどなのですが、同時にカネトシディオスはミスタープロスペクター(3×4)という、「奇跡の血量」での強力な近親クロスを有します。

 ヴィクトワールピサがヘイロー(3×4)の近親クロスで台頭し、母馬の迂回血ライン数がほとんど関係ないタイプなのと同様に、このカネトシディオスもクロス効果の影響力のほうが高い可能性があり、その場合にはミスプロ特有の「際立ったスピード能力」が前面に出ると考えられるわけです。

 従ってカネトシディオスに限っては迂回血ラインが機能しづらく、むしろマイル前後のスピード競馬に対応するタイプかも、と想定できるんですね。

 もちろん今後、2000mを超える距離でもすんなりとカネトシディオスが連対するようなら、迂回血ラインも同時に機能するタイプとみなせるかもしれませんけれども。現段階ではまだ不確定要素です。

 あとの馬ではキョウエイアシュラ(母サンシャワーキッスの迂回血ライン数=6)がスプリンター型でもマイル対応はギリギリ可能な感じもします(父のスウェプトオーヴァーボードがクラシック向きでないのは明らかですが)。

 セレスロンディー(母ロンドインディの迂回血ライン数=11)が不人気ですが、堅実な走りで相手なりに走れそうですし、ダメ元でヒモ狙いしたいですね。

 混戦には違いないでしょうが、レース内容がハイレベルであるのを期待します。 

blood_max at 01:02|PermalinkComments(0) 3歳馬 考察