2020年10月

2020年10月30日

萩ステークス 考察

 オイオイ〜、アルテミスSの考察じゃねえのかよ?・・・ってな感じの怒号がそこかしこから聞こえてきそうなのだが(苦笑)、都合により今年のアルテミスSはスルーし、替わりと言ってはナンだが一応2歳馬の将来を占う意味ではそれなりに重要な位置づけとなる、萩Sの出走各馬たちを見ていく。


10/31 京都9R 2歳OP・萩S(芝1800m)

1.ジュンブルースカイ(サンデーサイレンス3×3)

・RRP:130


2.ワンダフルタウン(母シーオブラブのBLP=14↓:(10,2,2↓))

・RRP:125


3.シュヴァリエローズ(母ヴィアンローズのBLP=13:(6,0,7))

・126


4.ピンクカメハメハ(母タバサトウショウのBLP=7↓:(4↓,2,1))

・RRP:128


5.ギャラントウォリア(母マルバイユのBLP=20↓:(10,2,8↓))

・RRP:125


6.フォティノース(母スキアのBLP=23↓:(10↓,5↓,8↓))

・RRP:123


7.レベランス(母アンレールのBLP=21:(12,5,4)なのだが・・・)

・RRP:128


8.ワールドリバイバル(ヘイルトゥリーズン5A×5a、且つサンデーサイレンス4×3)

・RRP:127



 見ての通り、8頭立てと少頭数のレースだが、なんと、実に8頭中6頭もが「母自身の迂回血ライン継承度(=BLP)」で考察可能なタイプで占められるという、非常に珍しい状況となった。

 このブログを開設して既に10年余りが経過してきているが、少頭数とは言えここまで「母自身のBLP」で考察するタイプ(=即ち、近親クロス要素に頼らない配合タイプ)のほうが寡占状態となるようなケースは、これまで一度も取り上げたことはなかった。

 現代のサラブレッドの多くが、世代を重ねるごとに両親から共通する祖先の血を受け継ぐことを繰り返してきているが、総じて近親クロス要素を持つような配合タイプのほうが圧倒的に多く、5代アウトブリードとなる配合タイプで芝の重賞級にまで出世するような馬は非常に少なく、稀な存在と言える。

 厳密には、5代アウトブリードの血統という特徴の馬を探す方が難しい状況で、それを踏まえてこのブログでは近親クロス要素というものの定義を「おおむね4代以内で成立するもの」とし、(4×4)、(4×3)、(3×4)を基本線に(5×3)及び(3×5)のクロス形態を持つ場合を加えた配合タイプに対して「近親クロス要素に頼る配合」と見なしている。

 また、同系配合に関しては、必ずしも両親の父系となる共通祖先が4代以内でない場合でも同系配合とみなし、クロス形態についての制限は設けていない。


 さて、上記の萩Sは要するに出走馬8頭中、近親クロス要素に頼るか、もしくは同系配合となるような配合タイプの馬が2頭しかおらず、残りの6頭は近親クロス要素に頼らない配合タイプの馬たち、だということになる。

 その馬がどの種牡馬の産駒か?はひとまず置いておき、産駒の母たち同士で比較した場合、6番フォティノースの母、スキアが持つBLP=23となっており、一応はこれが最上位の存在。

 母スキアと言えば、先日の富士Sで勝ったヴァンドギャルド(父ディープインパクト)を産んでいる、ということはお分かりだろう。

 だからと言って今回、出走馬中唯一の牝馬フォティノースが牡馬どもを蹴散らして勝てるかどうか?は分からない。

 個人的に、牝馬は牝馬同士のレースで結果を出せればよく、牡馬に混じって勝てるような牝馬はそれこそアーモンドアイ級ぐらいでないと難しいと考える。

 なのでまだ2歳のデビュー間もない段階で、牝馬のフォティノースに対し牡馬を打ち負かせと言うのは酷だろう。

 そもそも各馬とも、人間でいえば高校生ぐらいの段階であって、完成はまだまだ先の話。

 そういうことも踏まえて、上記の6頭が将来的にどう成長していくか?を、たまたま萩ステークスという舞台をきっかけとして注目していきたい、というのが当ブログの主目的となる。

 だから個人的には明日のアルテミスSの結果より、萩Sの出走馬たちの「今後」のほうが興味深いのである・・・。

blood_max at 22:57|PermalinkComments(0) 2歳馬 考察 

2020年10月29日

2020 10月の2歳戦ほか(その9)

 では(その8)より続ける。


10/25 東京4R 2歳新馬(芝1600m)

1着 アルコディオーサ(母ナスケンアイリスのBLP=14↓:(5,3,6↓))

・RRP:126


2着 キョウジ(母自身がノーザンダンサー5×3)


3着 ドンナセレーノ(母ヌーヴォレコルトのBLP=21:(8,7,6))


 マイル戦でありながら、逃げたキョウジの千m通過時は63秒1と超々スローな展開。なので番手で先行したアルコディオーサとの2頭でほぼそのまま行った行ったの競馬になってしまったワケだが、この先行有利の展開で4コーナー12番手から猛然と突っ込んできたのがドンナセレーノ。

 母ヌーヴォレコルトの初仔となるドンナセレーノだが、上がり3F最速の34秒2を繰り出すも連対した2頭にはアタマ差ほど及ばすのタイム差無し3着。

 連対した2頭は今後ともマイルからせいぜい1800mあたりが主戦場となりそうなタイプと言えそうだが、今回完全に脚を余した格好のドンナセレーノはマイラー程度に収まるような小さい器ではなく、2000m前後が適性距離となりそうなタイプ

 父がロードカナロアということで陣営はマイル戦から手始めに使ってみた、ということなのだろうが、はっきり言ってドンナセレーノは最初から1800mか2000m戦で使い始めるべき血統背景の持ち主だろうと感じる。

 管理する安田(翔)師(息子のほう)は御父上と同様に、中長距離に向く血統までも無理矢理、短めの路線で使いたがるところなどはまさに「遺伝」なのだろうが(苦笑)、今回のドンナセレーノの負け方を見て次走以降に本来の適性に向く距離延長の方向で臨むか、はたまた再度マイル戦に固執してしまうのか、安田(翔)師の2世調教師としての「指向性」がはっきりするだろう。

 次走以降もマイル路線に固執するような「性癖」なら、個人的にはこの若い厩舎自体の将来性をちょっと疑ってかかりたい。


10/25 東京2R 2歳未勝利(芝2000m)

1着 ワンデイモア(母自身がノーザンダンサー3A×4a)

・RRP:127


2着 モンテディオ(母ディオニージアのBLP=10:(8,2,0))


3着 アイリッシュムーン(ミスプロ5A×5a、且つDanzig 4×4)


10/25 東京8R 3歳上1勝C(芝1600m)

1着 モーベット(サンデーサイレンス4×3)

・RRP:129=126+3


3着 ダイワクンナナ(父が異系の為、考察外)


10/25 京都4R 2歳牝・新馬(芝1600m)

1着 サナティオ(母ケープジャスミンのBLP=16:(9,1,6))

・RRP:126


2着 タガノディアーナ(サンデーサイレンス4×3)


3着 ミスフィガロ(母父自身にノーザンダンサー4×4の近親クロス有り)

  *全兄ワグネリアン


10/25 京都5R 2歳新馬(芝1800m)

1着 シャフリヤール(母ドバイマジェスティのBLP=13:(11,0,2))

・RRP:128

  *全兄アルアイン


2着 ヴィヴァン(母自身がノーザンダンサー4A×4a)


3着 サンライズゴラッソ(母自身にノーザンダンサー4×4・5の近親クロス有り)


京都9R 3歳上2勝C・鳴滝特別(芝2200m)

1着 ヒートオンビート(ラストタイクーン4×3)

・RRP:133=127+3+3


2着 オールザワールド(リファール4×4)

・RRP:130=127+3


3着 エンデュミオン(ヘイルトゥリーズン5A×4a、且つマキャヴェリアン3×3)

・RRP:130=127+3



 この続きは(その10)にて。

blood_max at 20:54|PermalinkComments(0) 2歳馬 考察 | 3歳馬 考察

2020年10月27日

2020 10月の2歳戦ほか(その8)

 では(その7)より続ける。


10/24 東京5R 2歳新馬(芝2000m・稍重)

1着 グラティアス(母自身がノーザンダンサー5A×4a)

・RRP:130

 *半姉レシステンシア


2着 モズマンジロウ(ヘイルトゥリーズン6A×5a、且つサンデーサイレンス4×3)


3着 ハーツラプソディ(母シェイクズセレナーデのBLP=10↓:(6,3↓,1↓))


10/24 東京2R 2歳未勝利(芝1600m・稍重)

1着 トーホウボルツ(母父が異系の為、考察外)

・RRP:123


2着 ホットポッド(サンデーサイレンス3×3)


3着 アークライト(母自身にノーザンダンサー3×3の近親クロス有り)

  *全姉ハープスター


10/24 東京9R 2歳OP・アイビーS(芝1800m)

1着 オーソクレース(ヘイルトゥリーズン5A×5a、且つサンデーサイレンス4×3)

・RRP:133=128+5


2着 ラーゴム(母自身がミスプロ5A×4a、且つファピアノ4×4の近親クロス有り)

・RRP:130


3着 スパイラルノヴァ(母自身にDanzig 4×4の近親クロス有り)

・RRP:127


10/24 京都2R 2歳未勝利(芝1600m・稍重)

1着 ヴィジュネル(母コードネームのBLP=16:(4,8,4))

・RRP:123


2着 フランクエトワール(ノーザンダンサー4A・5×6a・6・6・6)


3着 ヴェックマン(ヘイルトゥリーズン5A×5a)


10/24 京都3R 2歳未勝利(芝2000m・稍重)

1着 ライフサイエンス(ノーザンダンサー4A×5a・5・6・5)

・RRP:127


2着 ニホンピロタイズ(母ニホンピロアンバーのBLP=18↓:(11↓,4↓,3))


3着 リーブルミノル(ヌレイエフ4×3)


10/24 京都6R 3歳上牝1勝C(芝1600m・稍重)

1着 ライティア(ヘイロー3×4)

・RRP:129=126+3


2着 タニノヨセミテ(母父自身にノーザンダンサー4×4の近親クロス有り)

・RRP:127


3着 ラブアンバサダー(リファール4×4)

・RRP:121


10/24 京都9R 3歳上3勝C・トルマリンS(芝1600m・稍重)

1着 クリスティ(サンデーサイレンス3×4)

・RRP:134=125+3+3+3


10/24 新潟5R 2歳未勝利(芝1800m・稍重)

1着 テンカハル(ミスプロ3×5)

・RRP:125


2着 ブラウシュヴァルツ(母自身がノーザンダンサー4A×3a)


3着 コスモオニアシゲ(サンデーサイレンス4×3)



 この続きは(その9)にて。

blood_max at 20:47|PermalinkComments(0) 2歳馬 考察 | 3歳馬 考察

2020年10月26日

菊花賞 結果

10/26 京都11R 第81回菊花賞(芝3000m)

1着 コントレイル(母自身にファピアノ3×4の近親クロス有り)

・RRP:199=128+9+(10+3)+(10+3)+(10+3)+10+(10+3)


2着 アリストテレス(ヘイルトゥリーズン5A×5a、且つサンデーサイレンス4×3、更にサドラーズウェルズ4×4)

・RRP:138=123+3+3+(9)


3着 サトノフラッグ(母父自身にSwaps 4×3の近親クロス有り)

・RRP:152=127+3+10+9+(3)


 まずはコントレイル陣営に対しその偉業を称えたい。牡馬クラシック3冠を達成するだけでも快挙だが、それを無敗で達成したことにはもう、いくら称賛してもし切れない。

 祖父サンデーサイレンスを導入した時点で、日本の競馬界はそれまでとは異次元の領域に突入したと言っても過言ではないが、最高傑作のディープインパクトから更なる傑物、コントレイルが誕生したことは本当に人知を超えた、史上稀にみる社会現象と言ってよいだろう。

 新型コロナウイルスの世界的な蔓延であらゆる経済活動が停滞、再編やリセットを余儀なくされる渦中において、競馬という、ある意味ギャンブルの一種として忌み嫌われかねない業界・業種としての存在意義を問われる状況下での、純粋に競走馬として生きていく宿命を背負わされたサラブレッドたちが放つ輝きに、一人の競馬ファンとして心を打たれずにはいられない。

 確かに、以前は競馬に親しんでいた人の中にも、コロナ禍に人生を狂わされてしまい「もう競馬なんぞ楽しんでいる場合ではない」という状況に追い込まれてしまった人も少なからずおられることだろう。

 このコロナ禍の状況下で、かく言う私自身、これまでとほぼ変わりなく今までどおりに仕事をし、昨年までとまったく同様に競馬という娯楽の世界に楽しみを感じ、これまでどおりの喜びや感動を享受することが出来ているのは、決して当たり前なのではなく、今はただ、本当に自分は運が良いだけなのだと自分自身に言い聞かせながら、このブログを綴っている


 あらためて、コントレイルという史上稀にみる競走馬の可能性に、日本の競馬界は大きな希望を見出すことが出来た。

 競馬だけではない、プロ野球やJリーグ、プロゴルフにプロテニス、ありとあらゆるジャンルのスポーツ、そして音楽・映画界など芸能・芸術全般のエンターテインメントの重要性を、世界中の人類は今、思い知らされている。

 人生に潤いをもたらすものが何なのかは、人それぞれにおいて全く異なっていても、誰もがそれ無しには生きられない。

 競走馬たちは今、人類が直面した苦難に立ち向かっている状況を、全く知らない。

 彼らはただ、己の本能のあるがままに、人間というエゴの塊たちに利用され競走馬としてレースを走らされながら、一所懸命に生きている。

 今こそ、サラブレッドたちの「懸命に走る姿」に、人類は学ばなければならないだろう・・・。

blood_max at 21:35|PermalinkComments(0) 3歳G1戦 考察 

2020年10月24日

第81回菊花賞 今年は・・・。

 今年の菊花賞については不本意ではあるが、出走各馬の考察をとりやめる。個人的に最も注目したかったアンティシペイトが抽選を突破出来ずに除外となってしまったことへの落胆が一番大きいのだが。

 コントレイルに関しては今更血統ウンヌンを言っても仕方がないし、無事にオルフェーヴル以来となるクラシック3冠を達成してもらいたいと思っている。

 今後の日本競馬界を盛り上げてもらうのは無論のこと、その先の種牡馬としても当然ながら大いに期待される。

 コントレイルの母ロードクロサイト自身はファピアノ(3×4)の近親クロス要素を持つ部分が最もクロースアップされるが、同時に異系のインリアリティ(5×5・5)を持つ(血量2位)ことにより相対的にノーザンダンサー血脈の過度な主張を抑える役目を果たすものと思われる。

 昨今、ノーザンダンサー血脈をこれでもかと4つも5つも抱えるような繁殖牝馬が増加の一途だが、そういった配合タイプの牝馬とでも、コントレイルなら父ディープと同様の親和性・和合性を存分に発揮するのではないかと。


 さて、この場を用いてディープインパクトがどうして迂回血ライン継承度(=BLP)なるものの考察において極めて重要な存在なのか?を、以下に記述しておきたい。

 このブログをスマホでしか閲覧したことが無い方々は、おそらく過去十年に及ぶこのブログの過去記事の内容などほとんど目にしておらず、直近の幾つかの記事を読んだだけで「非科学的〜」などと揶揄する(だから再三、パソコンからこのブログを閲覧して頂きたいと何度も訴えている)。

 言っておくが、そもそも競走馬(=サラブレッド)の血統考察において、完全な科学的根拠に基づいた理論など、この世には一切存在しない(馬券の取捨に役に立つ、という意味での)。

 そのすべてが、過去の活躍血統に対する種々のデータの蓄積と分析に基づいて、各々の血統論者たちがそれぞれの着眼点(=即ち仮説)に沿って各自の見解を出しているだけで、その誰もが科学的な根拠など提示していない。

 当ブログにおける血統考察も、科学的な根拠など提示することは不可能だし、それは他の多くのどんな血統論者たちにしても一様に同じである・・・。


 少々説明が回りくどくなったが、当ブログでは過去記事において、どうしてディープインパクトがサンデーサイレンスの後継種牡馬たちの中でこうまで最も優秀なのか?を、迂回血ラインの概念を用いて提示してきた。

 迂回血ラインとは、過去に存在した種牡馬たちの中で「シックル・ファラモンド・ハイペリオン・プリンスキロ・ボスワース」の主要5頭で主に伝達される、ファラリスの直系子孫にとって最も重要な血脈(=底力要素)である「サイリーン〜ミノル」の血脈を後世に伝えるラインのことを言う。

 迂回血ライン継承度のことを(=Bypass-blood Line Point)の略記としてBLPで表示しているが、ディープインパクト自身の持つBLP=12と算出されることが判明している。

 このBLP=12という値は、サンデーサイレンス直仔の種牡馬たちを横並びにして比較した場合、他のどの面々よりも上回り、有効性を示すものとなっている。

 ただし注意が必要なのは、ゴールドアリュール、スズカマンボ、シックスセンスといった存在が実はディープインパクトよりもBLPの値が上となっている事実をどう受け止めるか?がカギになる。

 上記の3頭は、そのいずれもが「母方にノーザンダンサー経由のラインが複数ある」という部分で共通する。

 ディープインパクト自身は、母方からただ1つのラインでしかノーザンダンサー経由の血は持たない。

 しかしゴールドアリュールやスズカマンボなどは、「芝の重賞級産駒をいかに数多く出せるかどうか」については、全くもってディープインパクトの足元にも及ばない

 つまり、母方に複数あるノーザンダンサー経由のラインの主張が、本来のサンデーサイレンス系種牡馬たちの持つ良さを「ほとんど別のもの」に置き換えてしまう、と仮説を立てることが出来る。

 だからゴールドアリュールはダートの重賞級活躍馬こそ多数輩出したものの、芝の重賞級活躍馬はほんの少ししか出せずに終わった、との説明が仮説からすんなり出せることとなる。


 もう一度提示しておこう。

 ディープインパクト自身のBLP=12であり、他のどのサンデーS直仔種牡馬たちよりも多く持ち、最もそれを有効に活用して大種牡馬となっていった、ということを。

 それが科学的根拠などに基づかなくとも、実際に血統表という歴史上のデータの中において確実に示される、嘘偽りのない数値として算出されているものである、ということを。

blood_max at 19:29|PermalinkComments(0) 競馬 血統 予想 回顧