2013年10月

2013年10月30日

'13 2歳戦 備忘録(41)

10/26  京都9R 萩S(芝1800m)

1着 デリッツァリモーネ(母ドルチェリモーネのBBLP=9:(4,4,1))

・RRP:130=125+5


2着 ワンアンドオンリー(同系配合でヘイロー3×4)


3着 フェルメッツァ(母スキッフルのBBLP=7:(3,3,1))


 このレースは良馬場ではなく、やや重での施行となりましたが、オープン特別戦として毎年注目馬が出走してくる恒例のレースでもありますので、ケースバイケースとして取り上げます。

 このレースは1〜3番人気の各馬が掲示板にも載れず、壊滅状態となった決着でした。1番人気だったのは牝馬の、

6着 レーヴデトワール(母自身が同系配合馬)

 まあ典型的な「良血」の言葉が飛び交う、分かりやすい血統の持ち主。姉・兄たちは皆、重賞で連に絡む活躍を見せながら、故障に泣かされて遅かれ早かれ引退を余儀なくされる悲運の一族でもあります。

 個人的には、母のレーヴドスカー自身の血統背景にやはり何らかの問題が潜んでいるからこその、悲運なんだろうなーと推察せざるをえませんね。

 その悲運の原因が何であるか、はっきりと断定することなど不可能ですが、レーヴドスカー自身が抱えるナスルーラ血脈の過多にかなり影響されているのではないか?との推理は可能です。

 ナスルーラ直系の両親を持つレーヴドスカーの、血統背景における血量最上位の存在は言うまでもなくナスルーラで12.5%、且つそのライン継承は計5つあります。

 けれども、レーヴドスカーの母方についてはナスルーラ経由のラインは1つしかありませんので、血量の過度な偏りの原因は父である、ハイエストオナーのほうに向けられます。

 そもそもハイエストオナー自身、ナスルーラ直系の両親を持つ同系配合馬で、5代内におけるナスルーラのクロス形態は(5・5×4・4)となりその血量は18.75%で、単純に血量のみの値では(3×4)や(4×3)でクロスされる場合と全く同じものとなります。

 ただ個人的には、血量の値が全く同一であっても、クロス形態が異なる場合はその影響度について同一視すべきではないという基本見解を持ちます。

 父と母からそれぞれ1つずつ同一祖先をクロスさせる場合と、父も母も2ラインずつで同じ先祖をクロスさせる場合とでは、計4ラインでの同一先祖の継承となる後者のほうが、よりネガティヴな要因を伝達させやすいはずだ、と考えるからですね。

 特定の先祖の血を5代内でこれでもかと凝縮させて、その「利点」のみを得ようとしても、結局は「欠点」を助長させてしまい、いいとこどりは出来そうで出来ない、ということなのではないか?と。

 まあ早い話が、ハイエストオナーの存在こそが「問題の根源」となって、この一族の悲運を招いてしまっているのではなかろうか?という推察となるのですが。

 無論、何度もいいますが断定的に決めつけられることではなく、仮説の域を出ないものです。でもだからといって、「絶対にそれは間違いだ」などと他の誰かに断言され、否定されるものでもありません。

 たとえ反論があるにしても、誰にもその正解は突き止められない、ということなんですが(苦笑)。

 そもそも、血統理論なんてものは、どんな著名な人物が語ろうが、すべてにおいて「仮説」です。

 その仮説を、さも唯一の正解であるかのように、もっともらしく語れる人物は世の中に少なからずいらっしゃるようですけれどもね・・・。

 かく言うワタクシ自身、まったくもって著名な人物ではありませんが(笑)、「迂回血ライン」という仮説による血統考察手法を拠り所として、「近親クロス」に頼らずに強くなっていく馬たちを日々捜し求めております・・・。

blood_max at 21:54|PermalinkComments(0) 2歳馬 考察 

2013年10月28日

天皇賞・秋 回顧

 今回の決着に関してはどのみち、5番人気以内の馬たちで占められては、穴党の出る幕なし。馬券が外れたことには全く未練はないものの、ジャスタウェイがあそこまで突き抜ける内容にはさすがに口あんぐりーで、アゴが外れそうになりましたワ・・・。

 このブログでは、揶揄気味に血統評価した馬が激走してしまうケースが度々あるのですが(苦笑)、今回もそれに近い状況のような。(>_<:)

 事前考察で、ジャスタウェイの母父ワイルドアゲインが持つ、「4代内クロスを2系統で持つという欲張りさ」という風に述べた部分ですね。

 個人的にはその母父が持つ2つのクロスのうち、ネアルコ(3×4)よりも、ハイペリオン(4×3)のほうがジャスタウェイの成長力に寄与しているはず、と思いたいですね、こういう結果になったからには。

 まあレースそのものを振り返ると、馬場が想定された以上に乾いたことも追い風だったでしょうが、展開がジャスタウェイにとって「ドンピシャ」となったこともかなり大きく影響したと思います。

 前付けした馬たちは女傑ジェンティルドンナを除き、総じて壊滅状態。道中のラップは最初と最後のハロン以外は全て11秒台で推移する、極めて厳しい流れ。

 エイシンフラッシュでさえも位置取りとしては理想よりも前過ぎるもので、追走に脚を使った分、最後の伸びを欠きました。デムーロは「前が開かなかった」とコメントしてますが、自慢の豪脚を繰り出せる展開ではなかったですね、そもそもにおいて。

 そうした中、道中の位置取りが11番手あたりで、前過ぎず後ろ過ぎず、ドンズバの好位となったことにより、前付けし過ぎたジェンティルDも伸びも欠く中、あの「突き抜け」になったのだろう・・・と。

 ですので事前考察で述べた、「ベストはギリギリ2000mまでで、ジャパンCではちょっと役不足・・・」、というジャスタウェイについての見解は、今回の結果を受けても変えるつもりは毛頭ないですね。

 これでジャパンCも突き抜けて勝てるようならば、いよいよもって「ギャフン」状態ですが(笑)。

 
 ともあれ、ハーツクライの「後継種牡馬」としての役割をジャスタウェイが担っていくことは、これで確実な状況となりました。展開の利がどうだろうと、「G1馬の称号」を勝ち取ったわけですから。

 個人的には、後継種牡馬としてはウインバリアシオンよりもジャスタウェイのほうが、より「配合における価値は高い」と考えます。競走馬としての評価とはウラハラに、とも言えますが。

 何より、ジャスタウェイの母シビル自身が、「ノーザンダンサー経由のライン」を一切持っていないのですから。このことの価値は、競走馬としてよりも、むしろ種牡馬となった場合に最大限活かせるのではないか?と。


 最後に、騎乗した福永騎手についても、菊花賞でエピファネイアを勝たせたことで、「自信が、確信に変わったと思いマス・・・」といった往時の松坂ダイスケ的な、騎手としての新境地に至ったことも、今回のジャスタウェイの走りに直結していると思います。

 今後とも、更なる好騎乗を見せ続けていって欲しいですね・・・。 

blood_max at 21:39|PermalinkComments(0) 競馬 血統 予想 回顧 

2013年10月26日

第148回天皇賞・秋 考察

 先週に続き今週も降雨の影響で馬場が渋った状態。幸いにも台風の直撃はなく、日曜の関東地方は晴天になる見込みのようですが、芝コースがどの程度まで回復するのか、読みにくいですね・・・。

 まあ抜群の水ハケの良さを誇る東京競馬場といえども気温が低めなままのようですし、さすがに超高速な状態までの回復はなさそうでしょうね。

 JRAも受難続きですが、それは当ブログにしても同様で、血統ポテンシャルの正確な判定には良馬場での施行が不可欠なだけに、先週の2歳戦もほとんど回顧の対象にならず、記事更新も滞って読者数も激減しております。(>_<;)

 まあ何にせよネタを提供し続けなれば、すぐにソッポを向かれてしまうのは世の常、ですな(笑)。


 このブログでは常々、「近親クロス(おおむね4代以内で成立の)を持つことで台頭するタイプ」と、「近親クロスに頼らずに台頭するタイプ」の2つに大別することからまず始めます。

 近親クロスを持つタイプは、言うなれば「強くなって当たり前」の存在として捉えます。サラブレッドの生産の歴史そのものが、近親クロスの持つ効果・効能を期待し、連鎖的に繰り返しつつ試みられてきた経緯があるからです。

 その一方で、少数派ではありますが5代アウトブリードを基本路線として、近親クロスに頼らない配合で芝の重賞路線で台頭してくるようなタイプも存在しています。

 そのような後者のタイプが、どのような血統背景のもとに「台頭」することが可能なのか?を、具体的な着眼点の設定により将来性予測を目的とするのが、「迂回血ライン」の概念です。(詳細は「ブログ主旨説明・他」のカテゴリ記事にて)

 近親クロスに頼らない配合なのに、どうして「芝重賞級」として強く成れるのか?

 その秘密に迫りながら、出走各馬を見ていきましょうか・・・。

*BBLP:Bypass Blood Line Point の略記*
 

10/27  東京11R 天皇賞・秋(芝2000m)

1.コディーノ(母ハッピーパスのBBLP=8:(4,1,3))

 この馬は同世代同士の競馬では2000mあたりも普通にこなしていますが、このブログでは本質的に「マイル寄り」のタイプだろうと判定しています。

 父のキンカメはノーザンダンサー(4×4)の近親クロスを有する種牡馬ではあるものの、種牡馬自身が持つ4代内クロスに関してだけは、血統考察で重要視しないスタンスとしています。

 何故なら、キンカメがこのクロスを持つことで産駒がみな「芝重賞級」になっていけるのであれば、そもそも血統考察など無意味だからです。

 実際には、「母馬の血統背景」に大きく左右されるわけで、そこを問題視すべき、なんですね。これは当然キンカメに限ったことではなく、4代内クロスを持つような全ての種牡馬に対しての基本見解です。

 コディーノに関してはまだ斤量の恩恵がある立場なので、本当の距離適性は今回の結果で判別する段階ではありません。もし4歳以降も、2000mを超える距離の芝重賞で勝ち負けを続けていくようなら、このブログの見解は「敗北」ですけどね(苦笑)。

 個人的には、来年以降の「マイル重賞路線」を牽引する存在としての期待は充分あります。ですが2000mを超えるような距離体系で、この馬に無理をさせることはないでしょう。

 無論それは陣営の決めることであり、「外野は黙ってろ!」となるのは当然でしょうが、さてどうなっていくでしょうね・・・。


2.ナカヤマナイト(母父自身がナスルーラ4×3の近親クロスを持つ)

 上記のキンカメに対する見解と矛盾するようですが、母父が4代内クロスを持つ場合には、母自身が持つ場合と同様に近親クロスの要素を重視しています。

 このような見解に至ったのは血統研究を開始した当初からではなく、それこそナカヤマナイトのような存在が芝重賞でソコソコ連に絡む活躍を目にするようになってから、なんですね。

 Nナイトの母であるフィジーガールは、BBLP=7:(3,4,0)としても考察可能なのですが、これを優先考察する場合、どうしても重賞級の仔を産むには少々役不足な母、にしか映りません(笑)。

 配合相手のステイゴールド自身、産駒の活躍傾向は母自身に近親クロスがあるタイプ(フェノーメノなど)か、異系トウルビヨンの血の継承が濃い目(ゴールドシップなど)とかの、かなり限定的なタイプ。

 翻って母フィジーGの場合、その父カコイーシーズが上記のクロスを持つだけでなく、フィジーGの「母の母」であるヒルガオという繁殖牝馬も、実はナスルーラ(4×3)を持っているのです。

 この「Wの悲劇」じゃなかったWの要素を無視して、BBLPのみで考察しろよ、とするのも無理な話でしょう?(笑)


3.ダイワファルコン(ノーザンダンサー4×4)

 ジャンポケ産駒としては典型的なタイプと言える、上記のクロスを持つことで台頭してきた馬で、「芝重賞級」には違いないでしょうがオールマイティなタイプでなく「中山巧者」というか右回り限定で、という印象。

 今回や、ジャパンカップでどうこうというタイプではないでしょう。馬場の悪化は、多少のプラスではあっても。


4.トゥザグローリー(ヌレイエフ4×3)

 この馬が有馬記念で3着になった2010年当時の事前考察記事で、近親クロスが(4×3)や(3×4)になる場合の「奇跡の血量クロス」を持つことについて取り上げ、「来ちゃうかも」的な扱いをしました。

 実際、そのレースはヴィクトワールピサ(ヘイロー3×4)、ブエナビスタ(ニジンスキー4×3)、そして当のトゥザグローリーで決まり、ワンツースリーとなった決着でした。

 その翌年の有馬でも3着でしたから、完全にマツリダゴッホ的なリピート性能を有するのは明白ですが、こういう近親クロスに頼るタイプにありがちな「気性面のムラ」も、典型的と言えるタイプ。

 走るのは何時(いつ)だ?というしかないタイプなので、テキトーに狙うしかありませんな、各自のご判断で(笑)。


5.レインスティック(母自身が同系配合でヘイルトゥリーズン3×4の近親クロスを持つ)

 オープン特別戦とは言え、前走で2000mを勝ってしまうというのはサクラバクシンオー産駒としては超〜レアなケース(笑)。

 当該産駒としてレアなのは、どうやら母自身の持つ上記のクロスに起因しているように思えますが、芝重賞においてはさすがに今後とも2000m以上では無理〜、でしょう。

 マイル路線でならどうにかなるかな?という程度でしょうね・・・。


6.エイシンフラッシュ(Birkhahn 5×5)

 この馬の場合、4代内クロスは無く上記の5代内クロスを持ちます。それでも特別に例外的ケースとして優先するのは、このクロスされる種牡馬がファラリスの直系子孫とは無縁な、「完全異系」として扱えるタイプだからですね。

 ノーザンダンサー(5×5)とか、ターントゥ(5×5)などの、ファラリス直系の種牡馬によるポピュラーなクロス要素とは明らかに異質であり、その効果はかなり大きいはず、という見解になるのです。

 これまでは、エイシンFの母ムーンレディに対してBBLP=8:(4,4,0)として考察してきた経緯がありましたが、この繁殖牝馬自身、バーカーン直系子孫のプラティニを父に持つ「異系の母」なので、BBLPを優勢させるのは不適当だろうと最終的に判断いたします。m(_ _)m

 まあこうした考察における紆余曲折はあっても、エイシンフラッシュ自身に対する種牡馬としての「期待度」がかなり高いのは、以前と何ら変わらないですね。

 同じキングマンボ系ではあっても、キンカメとは異なりノーザンダンサーの「血の影響力」をさほど強くは受けていないからです。

 なのでキンカメのように、相手の繁殖牝馬がノーザンダンサー直系だと産駒の活躍度が至極限定的になってしまうというような「負の側面」は、おそらくほとんどないはずだと見ます。

 最後に、もう一度バーカーンという種牡馬に目を向けておきますと、母方3代前にPhalarisの名前があります。つまりバーカーン自身は異系種牡馬でも、クロスされることにより母方の「ファラリスの血」がが少なからず強調されるわけで、別の意味での「迂回血ライン」的な種牡馬、と言えるのかもしれませんね・・・。 


7.ジャスタウェイ(母父自身が2種の4代内クロスを持つ)

 この馬も、母自身のBBLP=6:(3,2,1)を優先させての考察だと辻褄が合わないタイプ(笑)。実際、母父のワイルドアゲインに目を向けますと、幸か不幸か4代内クロスを保持。しかも2系統も持つという欲張りさで。

 ワイルドアゲインが持つのは、ネアルコ(3×4)と、ハイペリオン(4×3)のWクロスですね。なんだか、あしたのジョーのようですが、「出たぜ、トリプルクロスだ!」とまでいかないのはご愛嬌、でしょうか・・・。

 ジャスタウェイ自身の血統背景そのものは5代アウトブリードの扱いではあるものの、逆にそのことで母父の持つ特徴が浮上し易い配合とも考えられます。

 まあ個人的にはマイル路線で主役を張るほうがこの馬にとってはベストではないかと考えますね。2000mはギリギリこなせても、ジャパンCといった距離体系になると少々、役不足ではないかと。


8.ヒットザターゲット(母ラティールのBBLP=9:(3,3,3))

 キンカメは早熟傾向の強いミスプロ系の典型的種牡馬ですが、母父のタマモクロス(BBLP=4)は完全に晩成型。ヒットザT自身についても、かなりこの母父の影響を受けているのは間違いないところ。

 母のラティール自身は本来のBBLP=11:(4,3,4)ですが、配合相手がシックル直系子孫のキンカメなので、旧解釈から新解釈への移行では上記のようにシックル経由のラインを除外する減算措置となってしまいます。

 ただ、旧解釈時代に「芝重賞級」となれるはず、だとしてずっと考察してきた経緯については、この馬自身が芝重賞を勝ってくれたことにより間違いではなかったと考えております。

 まあ前走の京都大賞典で勝ち切ってしまったことに関しては、さすがにあのメンバー構成の中でムラ駆け傾向のあるこの馬をアタマに据えることは難しかったな、と言うしかないですが(笑)。

 ヒットザT自身は、ノーザンダンサー(5×5・5)のクロス形態を持ちます。これをどのように受け止めるかは、おそらく十人十色の解釈が出てもおかしくないでしょう。

 まあこのブログでは「4代以内で成立の」という形態のみを近親クロスとして扱っているので、仮に議論する場合でも互いの見解が平行線のまま推移してしまうでしょうが・・・。


9.ジェンティルドンナ(リファール4×4)

 あす日曜の馬場状態に関しては、たとえ良馬場と発表される段階になったとしても、おそらく今年の宝塚記念のようにややパワーの要る馬場になるのではないか?と推察しています。

 とは言え、オルフェーヴルもゴールドシップも居ない状況下で、勝ち身に遅いダノンバラードや重巧者のトウケイヘイローが主な相手候補というのでは、すんなり勝って不思議ない感じでもありますが。

 個人的にはこの牝馬が繁殖に上がってどういう仔を産めるのか?に半分興味が移っちゃってますけどもね・・・。


10.トーセンジョーダン(ノーザンダンサー4×3)

 おととしの超〜高速馬場仕様における天皇賞・秋を制して、かえって馬体へのダメージがあとあとまで尾を引いた印象もありますね。

 カンパニーのように8歳でも衰えないタイプも居ますが、この馬に関してはさすがに往時の勢いはなさそうに感じます。昨年ほど下位に沈むことはなくとも、掲示板近辺に来れれば御の字ではないかと・・・。


11.トウケイヘイロー(ノーザンダンサー4×4)

 典型的な重巧者&洋芝巧者のままで終わるのか、生粋の軽い馬場状態であってもG1級の力量を示せるのか・・・。

 を確かめる上でも、パンパンの良馬場での走りが見たかったな、というところ。

 馬場がさほど回復しないようならこの馬にとって当然追い風でしょうが、ジャパンCあたりで上位好走可能な感じはして来ず、あくまで2000mが上限のタイプでしょうね。月並みな見解ですが(笑)。


12.フラガラッハ(母スキッフルのBBLP=7:(3,3,1))

 母自身の迂回血ライン継承度はさほどでない7という値ですが中京記念を2年連続で勝っているあたり、父デュランダルの持つBBLP=11が母の不足分をカバーしてのものと推察します。

 実際、母父はトニービンでも2000mで?という印象しか持てず、ここは役不足でしょう。全盛期も過ぎてしまったようですし。


13.アンコイルド(同系配合でノーザンダンサー4×4)

 同系配合馬の場合、クロス形態が必ずしも「4代以内」にならなくとも、扱いとしては変わりません。(5×5)などでも、同系配合として見るということですね。この場合は先祖の持つ意味がより直接的であり、影響度は通常よりも高いわけで。

 まあアンコイルドの場合は4×4なので、更に影響度は高いはずですが。

 今年の1月に東京芝2000mで施行の白富士Sを勝利していますので、コース適性に関しては何ら問題ないでしょうし、洋芝優位(1月当時)・野芝優位(前走)・洋芝100%などの馬場傾向を全く問わない対応力が不気味。

 オープン入りするまでは4連勝で、ややその後はカベにぶち当たった印象でしたが、成長力そのものはかなりありそうですし、まだまだこれから本領発揮、の感。

 基本的には洋芝優位のコースの方が向いていそうなものの、渋り気味の馬場であれば今の時期でも。


14.オーシャンブルー(母プアプーのBBLP=12:(5,5,2))

 有馬記念2着の実績以外では金鯱賞を勝っているのが目立つ程度ですが、ステイゴールド産駒にしては珍しく、母のBBLPを優先して考察可能なタイプです。

 母父のDashing Bladeが今ひとつ、日本での適性において掴みどころがないという印象ですが、BBLP=5となるのはダンシングブレーヴとも同じで、母方に入る血としては当然評価出来ます。

 おそらくこのオーシャンブルーも、凱旋門賞を走らせたらかなりイイ線行くのではないか?なんて考える次第なんですが、日本での実績がこの程度のままでは、ね(苦笑)。

 まあ個人的には馬場が渋め残りのケースであれば、穴党としても今回期待してみたい1頭ですね。気楽な立場で走れる状況下でもありますし・・・。


15.レッドスパーダ(母バービキャットのBBLP=7:(2,3,2))

 まあ実績で示されるとおり、この馬も母のBBLPの値からはマイル路線での活躍は可能でも、2000mは長いなという印象しかなく。

 前走の毎日王冠では上手く立ち回っての4着と好走しているものの、古馬中心の重賞にしては千m通過が60秒8というスローな展開が味方した感じで、更なる距離延長&メンバーが一気に強化の状況では、さすがに掲示板も厳しいように思えますね・・・。


16.ダノンバラード(ヘイロー3×3)

 この馬も基本は重&右回り巧者で、生粋の軽い馬場などでは斬れ負けの印象なんですが、宝塚記念に近い馬場状態で推移するようなら、明日も相応な走りが可能かもしれませんね。

 左回りのコースでは中京での1勝(関が原S)があるも馬場が重めでしたし、計7戦して2着は1度も経験無し。今回もアタマは無理っぽいので、やっぱり3着固定で、てな印象のみで・・・。


17.ヴェルデグリーン(母レディダービーのBBLP=14:(10,1,3))

 前走の勝利で一躍、脚光を浴びた感じですが、やはり中山コースでの適性が主に作用したという感じで、今後は今回のような東京コースでG1級を相手にどうか?というところ。

 勝ちあぐねていた時期がありますがそれは主に東京コースでのもので、もう一皮剥けるためにはやはりこのコースを勝ち切るような内容が求められます。

 まあ元々、重めの馬場は苦にしないタイプに映りますので、明日の馬場状態によっては連続好走も可能ではないかと。

 外目の枠が不利になる部分も克服可能なら、今後ともかなりの活躍を期待出来そうですが。


 *ダークシャドウが回避になってしまったのは残念ですが、そもそも前走毎日王冠の段階で連に絡めなかったあたり、やや衰えた感も否めず、今回出ていたとしても◎にはしにくかったですね・・・。

 まあ出走各馬を見渡すと、こういったレベルに辿りつくような馬がいかに「近親クロスに頼るタイプ」ばかりであるか、に気付かされることでしょう。

 逆の意味で、そうしたタイプと違って近親クロスに頼らない配合でありながら、ここに出走してくるようなタイプの競走馬とは、実に興味深い血統背景と言うことも出来ます。

 まあ当然、ヒットザT、オーシャンブルー、ヴェルデグリーンといった面々には、「頑張ってね」というしかないですね(笑)。当然、馬券的にも期待しますが、たとえ今回馬券に絡めないとしても、その血統背景の輝きを失うことはありません・・・。

blood_max at 15:04|PermalinkComments(0) 競馬 血統 予想 回顧 

2013年10月21日

'13 2歳戦 備忘録(40)

 時折、回顧をパスするケースがありますがそれは主に良馬場ではない場合です。また、個人的にスロー過ぎると判断したレースも、良馬場であっても回顧しないことがあります・・・。


10/19  新潟2R 2歳未勝利(芝2000m)

1着 ワールドマッチ(母パーフェクトマッチのBBLP=12:(4,4,4))

・RRP:127


2着 マイネルアミークス(母ダイイチコパンのBBLP=8:(4,0,4))


3着 ショウナンガラシャ(母ショウナンマドンナのBBLP=8:(4,2,2))


 このレースも内容としては超スロー(千m通過時63秒9)で、走破タイム自体も平凡な2分5秒1と、回顧をパスするケースにしてもいいぐらいなのですが、珍しく?、コンデュイットの産駒が定位置の3着ではなく(笑)、何とワンツーフィニッシュを決めちゃったので取り上げておきます。

 珍しいと言えば、近親クロス(おおむね4代以内で成立の)に頼らないタイプのみで決まる馬券というのも、最近の傾向としてはかなり稀有な事例となるでしょうね・・・。

 連対した2頭は、共に「父コンデュイット×母父サンデーS」となる見た目配合。通常の血統理論であれば大抵、「ホラ、同じ『父と母父』で決まったゼ。血統バイアス発生だー」などとなるのでしょうが、考察としてはその程度で済ませて終わり・・・、となってしまうはずです。

 このブログがそうした従来型の血統考察と異なるのは、繁殖牝馬の血統背景を3分割(母父、母の母父、3代母)して、それぞれのポジションにどれだけの迂回血ライン数(=BBLP)の継承(即ち、底力要素の継承)があるかどうか?を、明確に数値化して分類可能なレベルに引き上げている、という部分ですね。

 「迂回血って何?」、「何でそれが底力要素なの?」と疑問に思う方は、カテゴリ記事「ブログ主旨説明」の諸内容をお読みいただければ、いくらか疑問は解決する手はず?になっております・・・。

 今回はたまたま、BBLPの値が高い順に決着しましたが、当然、レースというのは血統ポテンシャルの要素のみで決まるわけではない(騎手の巧拙、馬場適性、コース適性、枠順の有利不利、出遅れ(笑)・・・等)ので、このようにならないケースももちろんあります。

 まあともあれ、今回上位に来た3頭もこのようなスローな内容では、次走以降につながるかどうかは微妙でしょう。いずれにせよ、マトモなペースのレースにおいてどうなのか?が今後とも問われます・・・。


10/19  東京9R いちょうS(芝1800m)

1着 イスラボニータ(母イスラコジーンのBBLP=6:(2,1,3))

・RRP:138=126+7+5


2着 ウインフェニックス(母シャインプレジャーのBBLP=16:(10,4,2))

・RRP:125(レース前に同じ)


3着 クラリティシチー(母タイキクラリティのBBLP=17:(9,2,6))

・RRP:128(レース前に同じ)


 新潟2歳Sで2着だったイスラボニータが、ここでは完成度の違いで他馬を退けました。将来的には生粋のマイラータイプのはずですが、現時点で早期に能力発揮出来ていることがアドバンテージとなり、多少の距離適性の幅を広めているものと推察します。

 イメージとしては、同じフジキセキ産駒のタマモベストプレイに近い感じでしょうか。きさらぎ賞を勝っていますし、菊花賞では馬券に関係なかったとは言え、二桁着順になるようなこともなく無難にあの距離をこなしていました。

 要するに、同世代同士では距離適性というものが曖昧になる典型例で、本質的なポテンシャルの確認は古馬に成って以降まで保留することが必要、という感じでもあり・・・。

 ただまあ朝日杯FSならば、現時点でも有力馬の1頭としてイスラボニータを挙げることに抵抗感はなくとも、それがもしラジオNIKKEI杯2歳Sとなると、多少〜の抵抗感は出てくるのは確かですが。

 それにしても、フジキセキはやっぱり凄い種牡馬ですね・・・。


 さて、個人的に◎にしたのはウインフェニックスでした。新潟2歳Sでも◎にした立場ですから、これは事前考察記事をUPしていなくとも、分かる読者には分かって頂けたはず・・・ですけども。

 その新潟2歳Sでは14番人気というあからさまなまでの「低評価」でしたが、これで馬券になればシメシメ・・・とニヤついたままレース観戦したものの、ただ悶絶するしかない4着という結末(>_<;)。

 今回もそれなりに評価は上がったものの、5番人気という微妙な立場。単勝オッズ13.4倍なら突っ込み甲斐があるゾ、と鼻息を荒くしつつレースを見守りましたが、またしても椅子から滑り落ちる決着(泣)。

 まあワイド馬券の3通りが的中したにしても、単勝を逃したショックのほうが遥かに大きいのでした・・・。


 ウインF自身については、デビュー前の事前考察記事の段階(6月15日)から既に注目馬としています。

 その事前考察記事を一部、抜粋し再掲します。

*以下、ウインフェニックスについてのデビュー前考察記事の抜粋*

3.ウインフェニックス(母シャインプレジャーのBBLP=16:(10,4,2))

 スズカフェニックスという種牡馬が、初年度産駒からいきなりG1勝ち馬(マイネルホウオウ)を出せるとは正直言って予想外、でした。

(中略)

 んでもって2年目の産駒となるこの馬ですが、母の父アグネスデジタルが持つBBLP=10により、かなり豊富な迂回血ラインの継承が確認出来ます。また、牝系はチヨダマサコの系統で、ホエールキャプチャなどと同じものとなりますね。

 ミスプロ系というとどうしてもダート&短めの距離、というイメージが未だにつきまといがちですが、本日(6/15)土曜の東京10R、芦ノ湖特別(芝2400m)では人気薄のアグネスデジタル産駒が1、3着(7番人気ドリームゴスペル&11番人気コスモカンタービレ)になり、高配当馬券の演出に貢献。

 キンカメ産駒以外の、ミスプロ系の産駒が芝の2400mで来るわけないだろう?という至極一般的な目線が、ものの見事に一蹴された恰好でした。

 キンカメのBBLP=11で、アグネスデジタルのBBLP=10ですので、こと「芝の中距離適性」においてはほとんど遜色ないものを持つ、との判断がこのブログで可能ですが、キンカメばかりがチヤホヤされてしまい、どうしてもアグネスデジタルには良質の繁殖牝馬が回ってこないのが、実績の差となっているのでしょうね・・・。

 まあウインフェニックス自身も父のイメージ先行でおそらく、今後ともマイル以下の路線中心に使われてしまう可能性大ですが、個人的には1800m、2000mなどで使ってもらいたいタイプです。

*・・・以上、抜粋記事の再掲終わり*


 なかなか人気サイドにならないのは、「母父アグネスデジタル」だからなのでしょうが(笑)、僅差とは言え「母父スペシャルウィーク」に見事先着して見せましたゼ、読者の皆々様がた・・・。



blood_max at 23:55|PermalinkComments(0) 2歳馬 考察 

2013年10月20日

菊花賞 回顧

10/20  京都11R 菊花賞(芝3000m)

1着 エピファネイア(同系配合馬)

・RRP:184=128+5+10+(9)+(9)+10+(10+3)


2着 サトノノブレス(母自身が同系配合馬)

・RRP:140=128+3+(9)


3着 バンデ(同系配合馬)

・RRP:136=127+3+3+(3)


 残念ながら京都芝コースの状態は悪くなる一方で、さすがにJRAもこの降り方では嘘はつけないとハラを括ったのか(笑)、正直に「不良」と発表。

 まあここまで悪化すると、エピファネイアは別格として2着以下の面々はハッキリと適性の良し悪しが反映してしまいましたね。

 個人的に◎にしたダービーフィズは道悪適性がないわけでもないでしょうが、そもそもの位置取りが後ろ過ぎました。向こう上面で後ろから数えたほうが早いような位置取りでは、何も出来なくて当然でしょう。

 その時点で馬券対象にはならないなと諦めつつ、レースを見守りました。

 一応、ダービーフィズがコケるケースも想定し、エピファネイアを軸とする3連単馬券も買いましたが、サトノノブレスについては3着付け固定が裏目。

 ディープ産駒が連対するならラストインパクトのほうだろうと思いましたがSノブレスのほうでしたか(>_<;)。

 バンデについては良馬場ならスピード負けする気配濃厚に映ったものの、天候が大いに味方してくれての粘り腰。まあこれについては想定の範囲内でしたが。

 
 正直、良馬場での競馬が見たかったですがこれも時の運ですね。走る側も、予想する側も。

 あとは、出走全馬がタフな馬場を走らされたことによるダメージが出ないよう、願うばかりです。今回敗れ去った面々も、それぞれに自己の得意とする舞台に戻れば、また輝けるシーンがあるはずですので。


 尚、3歳G1路線においてこれまで併記してきたRRP(レース実績ポイント)につきましては、菊花賞(牝馬は秋華賞)をもってポイント加算を終了し、これ以後は2歳馬たちに対する実績動向へと視点を切り替えていきます。

 ポイント加算方法についての詳細は「用語解説」のカテゴリ記事に記載してあるとおりです。


 ちなみに、昨年の菊花賞終了時点でのRRPはどうだったかというと、

1着 ゴールドシップ

・RRP:195:=128+5+8+9+9+(10+3)+10+(10+3)


2着 スカイディグニティ

・RRP:148=127+3+9+(9)


3着 ユウキソルジャー

・RRP:136=127+3+3+(3)


 だから何だ?と言われれば別に大したことでもないんですが(苦笑)、今年のほうが若干、全体レベルの低さを物語っているんじゃないかなー、てな程度のことなんですが。

 それでも3着馬についてはソックリな経緯ですね。血統背景は全く異なるにしても・・・。


 さて、今後の考察の中心は主に2歳馬たちへと移行していきます。もちろん、今後の古馬中心のG1戦についても例年どおり事前考察をしていくつもりでおります。

 ちなみに昨年の天皇賞・秋はダークシャドウを中心視しましたが、エイシンフラッシュも同等に評価し3連単は的中出来ていました。菊花賞ほど不得意ではないはず・・・なんですけどね、個人的には。(^_^;)

blood_max at 22:49|PermalinkComments(0) 3歳G1戦 考察