2012年08月

2012年08月31日

札幌2歳S 考察

*BBLP:Bypass Blood Line Point の略記(詳細は「ブログ主旨説明・他」のカテゴリ記事にて)


1.グランデアモーレ(母ヒカルアモーレのBBLP=14:(9,0,5))

・血統背景好感度:A(距離適性は芝2000m前後)

 この馬がデビューした7月29日札幌新馬戦の事前考察では、牡馬相手に馬券になればまずまず、としていました。まあ牝馬なので、牡馬相手に勝ち切れるかな?という感じではあったのですが、5番人気でアッサリと勝利。

 そのレースは単勝1.5倍でダントツの1番人気だった評判馬アドマイヤドバイ(サンデーSの3×2クロス)を退けてのものなので、典型的超スローからの上がりの競馬ではあったものの今後につながるものでしょう。

 ただ今回も、今後のクラシック路線で有力視されそうな牡馬たちのいる重賞ということで、牝馬ながらどの程度やれるか?という視点に再度なってしまうと思います。

 今の時期は牡牝の能力差にさほど顕著な差異はないとは言え、本質的な血統ポテンシャルの見極めに際しては、牝馬は牝馬同士のレースでの内容を精査すべきであり、現段階で牡馬を負かしたから大物だとか、掲示板に載れなかったから大したことない、などという極論は避けるべきでしょう。個人的な期待はしていますが。


2.ロゴタイプ(ヘイロー4×3)

・血統背景好感度:C(距離適性は1800m以下でダート転向も?)

 今の時期はヘイローのクロス特有の奏功で早熟傾向が顕著となり、早い段階でのスピードの資質に関しては開花しやすい印象ではあります。また、気性面においては良く言えば前向きさが表に出ますが、悪く言えば距離が伸びていくに従いその前向きさが裏目に出て、スタミナの温存がきかないタイプになりがち。

 芝適性は既に見せてはいるものの、将来的にはダート転向で強くなっていけるのでは?と見ています。


3.コディーノ(母ハッピーパスのBBLP=8:(4,1,3))

・血統背景好感度:B(距離適性は1800m前後)

 半兄のラヴェルソナタ(父ファルブラヴ)は昨年秋の本栖湖特別(東京芝2400m)を勝ち、一旦準OP入りしたものの2戦したのみで再び降級となり、その後は低迷したままとなっています。

 母の血統背景から言って、やはりラヴェルソナタについても1800mあたりへの短縮が良いと思われますが、陣営が2000mばかりに固執(苦笑)。結果が出ないままですね。

 下級条件における超スローな競馬での場合、本質的な距離適性などというものはほとんど問われないことが多く、1度2400m戦をこなしたからといっても、昇級後にその適性がどうだったかの真実が見えてくるものです。

 弟コディーノの場合も、「父キンカメ×母父サンデーS」という、よくある見た目配合ではあるものの、母の迂回血ライン継承度では中距離以上への適性は少々厳しいと判定します。今の時期はまだポテンシャルの高い相手ばかりではないので、2000mなどでも勝ち負けの可能性はしばらくあるでしょうが、将来的には1800m以下で、という印象ですね。


4.タマモコンパス(母チャームライトのBBLP=16:(10,2,4)だが・・・)

・血統背景好感度:B(距離適性は2000m前後)

 母の父ワイルドラッシュはBBLP=10と比較的、迂回血ライン継承度の高めな種牡馬であるにも関わらず、実績としてはあまり目立ってこないのは、ワイルドラッシュ自身の持つネアルコの血量が10%を超えていることが少なからず背景にあるからではないかと推察します。

 現代の競走馬たちは、ミスプロ系(更に遡ればネイティヴダンサー系)以外のサイアーラインのほとんどが「ネアルコ直系子孫」なのであって、そうした種牡馬と繁殖牝馬同士での配合を繰り返す時代です。

 過去記事において、迂回血ラインの効力の邪魔をするのは、ほかならぬネアルコ血脈の過多(継承ラインが10以上あるか、もしくは血量を10%以上で抱える場合)であると述べてきました。

 ワイルドラッシュはまさしくそれに該当します。ネアルコ継承ラインは僅かに計3つしか持たないにも関わらず、血量が10%を超えてしまうということは、それだけ近い世代位置にネアルコの血が存在し、影響力が大きいということです。

 この辺の解釈がタマモコンパスの今後への評価を難しくしますね(苦笑)。ネアルコ血脈の露骨なジャマさえなければ、計16という迂回血ライン継承度は現代においてかなり優位なはずなのですが・・・。今回の距離延長に関してはとりあえず全く問題ないものと判定しております。あとはもう2,3回実戦の内容を見て、どちらの影響が濃いか、見極めていくことになるでしょう。


5.エデンロック(母ボーンフェイマスのBBLP=7:(4,0,3))

・血統背景好感度:C+(距離適性は1800m以下)

 全姉にプロヴィナージュがいるので、若干分かり易そうに思える血統背景なのですが、牡馬に替わるこの弟の場合、姉以上の出世はかなり厳しい時代なのではないかと推察します。

 エデンロックの初戦の相手連中はかなりショボい面々だったと思われ、そのいずれもが2戦目で4着以下に負けています。かなり恵まれた状況での初戦勝ちだったと判断できるでしょう。

 見た目の配合で言うところの、「父Fデピュティ×母父サンデーS」というものも、かつてほどの勢いはないと思われますし、ましてやBBLP=10以上の母の産駒を今後において負かす確率もかなり低いものと推察します・・・。


6.トーセンパワフル(母自身がノーザンダンサー4×4の近親クロスを持つ)

・血統背景好感度:B+(距離適性は2000m前後)

 ご承知のとおり、全兄にロジユニヴァースがいます。このブログでは2歳〜3歳当時のロジユニヴァースを評して、「母アコースティクスのBBLP=12」としていたことは確かです。

 3年前のあの当時は、母自身に4代内クロスがあっても、迂回血ライン継承度のほうを優位に見て考察していました。過去記事でもそのように見解を述べています。

 しかしながらそれ以降、特に昨年あたりから「4代以内に近親クロスを持つ繁殖牝馬が産む」場合の産駒の活躍度において、そのクロスの有効性を無視できない事例のほうが多々見受けられるようになってきた為、やむを得ず評価基準を見直し、現在に至っています。

 とは言え、母アコースティクスが継承する迂回血ラインはノーザンダンサーの影響力を若干差し引いても、かなりのものを持つのもまた確かであり、そういう意味でも兄が万全の状態に戻りきれないで推移している今現在、全弟となる馬が登場してくるのは非常に興味深いですし、当然注目に値する存在ですね。

 また、種牡馬単体としての「母の父ケープクロスのBBLP=9」という部分への評価自体は3年前から現在までにおいても全く不変ですので、ケープクロス自身についての存在の重要性は以前と同じ解釈となります・・・。


7.マイネルホウオウ(母テンザンローズのBBLP=6:(5,1,0))

・血統背景好感度:D(距離適性は1800m以下)

 前走のコスモス賞で評判馬のラウンドワールドと好勝負を演じて2着になっているのに、D評価とはいかがなものか?という意見をお持ちの方もあろうかと存じます。

 まあ個人的には例によって、母の持つ迂回血ライン継承におけるデジタルパターンが気になるから、に他ならないワケなのですが、期待したい御仁は今後ともその期待を持ちつつ見守っていけばよろしいのではないかと思います。個人の自由ですので。

 新種牡馬のスズカフェニックスについてなんですが、「母方に2つのノーザンダンサー経由の血を持つ」というタイプのサンデーS系種牡馬と位置づけられますので、ゴールドアリュールやスズカマンボなどと「ほぼ同類」という目線で見ていくことになります。個人的には、ですが。

 この特徴をもってして、「マイル以上の距離体系での芝の重賞級」となるような産駒をスズカフェニックスが今後どんどん出せていけるようなら、意識改革を余儀なくされることになりますね。そうした産駒の1頭になるのかならないのか、マイネルホウオウの今後に注目です・・・。


8.コスモシルバード(母自身がノーザンダンサー4×4の近親クロスを持つ)

・血統背景好感度:D(距離適性は1400m以下)

 毎年、言っていることなんですが、デビュー当初から連続で1200m戦を使っていたようなスピードタイプは、今後クラシック路線に挑んできてもほとんど成功事例がない、ということですね。牡馬の場合には、ですが。

 まあ、父のスウェプトオーヴァーボード自身がこれまで、3歳クラシック路線での活躍を見せるようなタイプを出せていないことも大きいので、今後マイル路線などでも進境がもしあるようなら、母方の重厚な血脈が奏功している、と見ていいのかもしれませんが・・・。


9.アポロカーネル(母トランクイリティーのBBLP=7:(3,1,3))

・血統背景好感度:C(距離適性は1800m以下)

 この馬の場合、母がどうこうと言うより、父のアポロキングダム自身について個人的にあまり印象が良くない血統背景として見ているということを言っておきたいですね。ノーザンダンサーの(5×4・5)というトリプルラインによるクロスを持つ種牡馬なんですが、当然、このクロスの影響力はコテコテなんだろうな、と(苦笑)。

 こういうコテコテ度を存分に活かして、産駒が強くなっていければそれはそれで結構なことですが、アポロカーネル自身が既に「セン馬」になっているように、気性面、体質面などでの「負の要素」を抱える確率も高くなる種牡馬である、ということだろうと思います。

 海外では特にそういう近親度の強いタイプの牡馬を、あらかじめ種牡馬にする期待など一切持たずにさっさと去勢して競走馬として強くなれればそれでいい、というビジネスライクに徹したケースも多くあるのは確かです。

 ある意味、サラブレッドの宿命の一端ではあるでしょう。ただこのブログでは、「子々孫々にとって残していくべき血統背景」という本質的な部分も考察のテーマに含めていますので、正直、セン馬に対して血統背景をあーだこーだ言ってもしょうがないな、という感じなんですね。結局のところ・・・。(レッドデイビスにも一時期注目していましたが、やはりセン馬というのは考察対象外とすべきでしょうかね・・・)。


10.ロードクラヴィウス(サンデーサイレンス3×3)

・血統背景好感度:E(距離適性はダートマイル前後)

 この馬は上記のクロスのみならず、ミスプロ4×4のクロスも併せ持ちます。一体、どんだけ強くしたいんですかね?(苦笑) もうこれ以上、血統背景に言及してもしゃあないな、という感じです・・・。


11.ラウンドワールド(母グレースランドのBBLP=6:(3,0,3))

・血統背景好感度:B(距離適性はマイル前後)

 長兄ドリームパスポート並みの活躍を、再度この弟に託したいという生産者の意図も分からないではないですが、時代背景的に、かなり難しいのではないかと推察します。

 確かに、飛ぶ鳥を落とす勢いの父ディープインパクトのパワーを持ってすれば、ドリパス以上の活躍はあってもおかしくないだろ?というのが世間一般の競馬ファンの期待なんでしょうね・・・。

 前走コスモス賞の走破タイムも上がりタイムも、この時期の2歳馬としては出色ですし、確かに今後に飛躍しそうな内容なのですが、そのコスモス賞で2着に負かしたマイネルホウオウの母のBBLPも実は6、というのは果たしてただの偶然なんでしょうか・・・。

 個人的な興味は、そこに尽きますね・・・。


11.ブリリアントアスク(ヘイルトゥーリーズン4×4)

・血統背景好感度:D(距離適性は1800m前後も、ダート向きか?)

 上記の血統背景好感度についてですが、あくまでも「芝で走らせた場合の」という大前提があります。それ故ダート路線に転向していった場合、その好感度をそのまま通用させるものではないことをここにお伝えしておきます。

 ヘイルトゥリーズンに関しては、同系配合のケースで「オレはスッゲー、超スピード優秀な馬だったんだゼ」という種牡馬であることを述べましたが、同系配合の場合でなくとも、上記のように4代内クロスとして位置すれば、その主張がまかり通るケースが多くなる、という感じでしょうか。

 まあ、前走1500m(クローバー賞)への延長で可もなく不可もなくという内容(4着)で、更なる延長で今回ホネのある牡馬相手というのはどうなんでしょうね・・・。

 しかも、その前走クローバー賞というのは、1着から3着までの馬が全て、「ヘイローの4代以内クロス」の持ち主でした。トウチャンのヘイルトゥリーズンより、息子のヘイローのほうがやっぱり色々と融通が利いて優秀である、と印象づける結末だったんですねえ・・・。


13.ジェネラルグランド(ヘイロー4×4)

・血統背景好感度:C(距離適性は1800m以下)

 上記のブリリアントアスクにクローバー賞で先着。まあ門別からの参戦で、いきなり中央のオープンで2着というのはなかなかですが、更なる相手強化の今回さすがに、良くて掲示板あたりが精一杯ではないかと・・・。


14.マコトタンホイザー(同系配合馬)

・血統背景好感度:C(距離適性は1800m以下)

 ゼンノエルシド産駒で同系配合というと、昨年もマイネルロブストが一世を風靡・・・したかに思えましたが、3歳春以降は徐々に尻すぼみ・・・的な様相に。

 ゼンノエルシドについては何度か言及してきたとおり、やはり自身の持つネアルコ血脈が最上位となる(11.72%)部分が大いに災いし、種牡馬としてはまったくもって期待はずれと言っていいでしょう。

 そんな中、Zエルシドの欠点を大いに誤魔化す手法が、同系配合の要素にある(偉大なるノーザンダンサーの血の威光に頼りまくる。笑)という証明を一時的にでも示したのが、他ならぬマイネルロブストですね。

 母の父としてはメジロライアンからコマンダーインチーフに替わるという違いはあるものの、スタミナ寄りのノーザンダンサー系種牡馬という部分では少し似ているのかな?とは思います。まあ、マイネルロブスト級の活躍となるかどうかは分かりませんが・・・。

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blood_max at 23:40|PermalinkComments(0) 2歳馬 考察 

2012年08月27日

'12 2歳戦 備忘録(12)

8/26 新潟11R 新潟2歳S(芝1600m)

1着 ザラストロ(母自身がノーザンダンサー4×4・5の近親クロスを持つ)

2着 ノウレッジ(ミスプロ4×4)

3着 サウンドリアーナ(母オテンバコマチのBBLP=6:(4,2,0))


 個人的な馬券予想においては全くかすりもしない結末でした(>_<;)。そもそも母自身の迂回血ライン継承度で買えるタイプが今回1頭も居ないこと自体が多いに悩みのタネだったのですが、やむなく母がヌレイエフのクロスを持つクラウンアトラスにしてしまったところ、見事にブービー(苦笑)。

 て言うかクラウンアトラス自身はヘイロー3×4のクロスの持ち主でもありましたね。このクロス要素の不安定さが早速露呈しましたかね・・・。ヨシトミ騎手もザラストロにしておけば良かった、と今頃悔やんでるんでしょうか・・・。

 レース展開としては、前付けした馬たち(道中1〜5番手以内あたり)にとっては非常に厳しいペース(千m通過時58秒9)で、サウンドアリーナのみ、道中5番手追走でも馬券になったのはかなり秀逸な内容。

 あとの先行馬たちは軒並み壊滅状態で、クラウンアトラスもその先行馬群の中の1頭でした。連対した2頭は4コーナーまでで10番手以下の位置取り。他の人気薄の面々で、オッズ人気よりも上位にこれた馬たちも、やはり道中後方に控えていて、先行馬たちの失速を尻目に位置取りを上げていきました。

 まあ硬い馬場ですし時計的に速くなることはもちろん想定できましたが、正直、ザラストロも成長途上の現時点であんな末脚(33秒4)を使ってしまって、脚部不安になってしまわないか?のほうがむしろ心配になるぐらいですね。無事に秋以降をやり過ごしてもらいたいものですが。

 ザラストロの勝利には驚きはなかったものの、2着に来たノウレッジについてはやはり買えませんでしたね。事前考察で「芝適性はあるかもしれないが」と述べてはいても、さすがにダート1200mからの参戦で、芝の経験馬たちをアッサリ退ける光景は予期できませんでした。

 事前考察で述べた、「もしノウレッジが上位に来る場合、レースレベルは低いかもしれない」という見解でしたが、やはりノウレッジが強かったというより、「芝経験馬たちの不甲斐なさ・モロさ」がこちらの想定以上に目立ちました。

 やはり前走がマイルにしろ1800mにしろ、超スローで調教に毛が生えたような終い3Fのみの上がり勝負でしか競馬をしていない場合、ほとんどこうした重賞の流れについていけないことを改めて気付かされます。

 サウンドリアーナへの事前考察では、中京の芝1400m戦を使っている強みは出るかも、と述べましたが5番手追走で他の先行馬たちのように失速しなかった内容はくどいようですがかなり秀逸と言えそうで、マイル以下の牝馬限定戦であれば今後とも上位争いを続ける可能性が高いですね。(ただし将来性についての事前見解に変更はないです)

 そして前走芝1800m組はやはり今回も苦戦したと言えそうで、事前考察で指摘したように近年の傾向どおりとなっています。来年の考察でも思い出せればいいですが。 

 先行馬たちに厳しい展開であったことは確実なので、今回先行して下位に沈んでしまった馬たちについては、着順のイメージほど悪い印象を持たないほうが個人的にはいいと思っています。

 むしろ、そうしたことで人気を下げてしまっても次走以降で巻き返すことがあるようなら、「新潟2歳Sはそういうレースだった」ということになると思いますし。

 まあ、馬券を当てられなかった以上、説得力は皆無かもしれませんが(苦笑)。

 本当の素質上位馬が出てくるのはまだまだこれからですので、今回の結末にめげずに(笑)、今後も2歳馬たちの血統評価を楽しんでやっていきたいと思います・・・。

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blood_max at 22:52|PermalinkComments(0) 2歳馬 考察 

2012年08月25日

新潟2歳S 考察

8/26 新潟11R (芝1600m)

*近年のレース傾向としては、前走芝1400m組が好結果になりがち、というものになっています。一方、前走芝1800m組は超スローばかりの所以か、重賞マイル戦の流れに対応しきれないケースが多く、意外と中距離対応型の馬の台頭が見られないというものに。

 まあ、流れが緩みにくい1400m戦を経験しているほうが、単純に経験値として有利となるんでしょうかね・・・。もちろん、前走でマイル戦を勝利している馬もそれなりに有利なはずですが。

 今回は出走各馬に対し、個人的な主観による血統背景への短評(好感度A〜Eランクの5段階、及び推察される距離適性)を載せたいと思います。各ランクに「+」の表記が付く場合もあります。その場合、上のランクに近いというニュアンスです。

・ランクA:将来的に芝重賞級の可能性大
・ランクB:将来的に芝オープンクラスの可能性大
・ランクC:将来的に芝・準オープンクラス程度までか
・ランクD:将来的に出世は緩やかで、重賞クラスは望めない
・ランクE:将来的に出世は難しく、下級条件のままの可能性大

1.サウンドリアーナ(母オテンバコマチのBBLP=6:(4,2,0))

・血統背景の好感度:C(距離適性は1400m以下特化型)

 前走は中京の芝1400mで勝利。改装後の中京の馬場は直線の坂だけでなく、2コーナーから4コーナー迄にかけても微妙な起伏の上がり下がりがあり、それがタフな流れを要求し時計の出にくい競馬場に生まれ変わっています。

 この馬も走破時計的には1分23秒9と目立ちにくいものではあるのですが、2ハロン目以降の先行勢の流れは比較的一貫した速めのラップが続き、1400m戦特有の展開の厳しさはそれなりにあったものと解釈できます。

 そのレースで道中9番手あたりから上がり3F最速の34秒7で差し切り勝ち。展開が向いたという見方も可能ですが、タイプ的にはやはり1400m戦を今後も得意としていきそうな気配の馬ですね。マイナーな在来牝系が野芝100%の馬場で少しは優位に働くかどうか・・・。

 ただ、マイルはギリギリの距離適性だろうと推察します(3歳以降はマイルも厳しい可能性が)。今回もし馬券に絡めるようなことがあっても、将来的にOPクラス芝1800m以上での台頭は難しいと思われます・・・。


2.カラフルブラッサム(母トロピカルブラッサムのBBLP=6:(3,2,1))

・血統背景の好感度:C(距離適性は芝1800以下)

 データ的に不利な前走芝1800m勝ち。典型となるスローからの上がり勝負で、牝馬特有のキレ味のみで勝利したという感じでしょうか。将来的には牝馬同士でのマイル戦をどうにかこなす程度と思われ、今回の好走が仮にあったとしても、重賞級の器には至らないと思われます・・・。


3.トーセンレディ(母自身が同系配合馬)

・血統背景好感度:C+(距離適性は1800m以下)

 母のレディインディはナスルーラ血脈がコテコテ(計6ライン継承で血量最上位の11.72%)で、それに伴いネアルコ血脈が過多(計11ラインの継承で血量は10.94%)という部分が将来的に懸念材料ですね。

 もちろん、ナスルーラの血の凝縮化によるスピードの資質は強固に継承されるとも言え、早熟傾向も手伝って今の時期はソコソコの競馬をする可能性はあります。

 ただ前走の東京芝1800mでは千m通過時65秒1の激ユルな流れを前付けしてのもの。特にDメジャー産駒の多くは、下級条件ならば2000m以上でも対応するケースがあっても、重賞クラスのレベルになると途端にその距離体系での連対率が下がる傾向にあります。

 今回3着程度の走りが可能でも、将来性的にはせいぜい牝馬同士での準OPクラス程度と推察します・・・。


4.ロジウエスト(同系配合馬でミスプロ3×3)

・血統背景好感度:C(距離適性は1400m以下)

 ミスプロの強度な近親クロスを持ちます。今の時期であればマイルもこなせる可能性はありますが、基本的にスピード要素を特化させた血統背景と言えそうなので、将来は1400m以下の馬と思われます。

 直近の坂路調教で終いの2ハロンがどちらも12秒を切るラップになっており、その意味では一級のものを持っていると言えそうなものの、前走1200m戦を勝ち上がった馬の新潟2歳Sでの成績はあまり芳しくないだけに、ここは一気の距離延長が課題となりそうですね・・・。


5.ミナレット(ニジンスキー4×4)

・血統背景好感度:C+(距離適性はダートマイル前後か)

 母ノワゼットの父系は異系マンノウォー直系で、マイナー化が著しい父系なのですが、ミナレット自身がニジンスキーの4代内クロスを持つことで、多少のポテンシャルアップにつながっている面はあろうかと思います。

 スズカマンボが種牡馬としてかなり不振で、これまで芝の重賞クラスなどで目立った成績がないのは、ゴールドアリュールなどと同様、母方に2つのノーザンダンサー経由のラインがあることによる特有の「重さ」が、サンデーS系種牡馬全般にあるはずの特長を消し、ダート的なパワー要素のほうに資質が振れる傾向が強いからでしょう。

 ただ、新潟2歳Sというレースで問われるものに合致するだけの要素は備えているとも思われ、前走芝1400mで勝ち上がっていることなどもプラス要素ではあると言えます。時計的には出色の内容ではなかったですが。

 まあ、将来性の読みにくいニジンスキークロスが早期の段階から奏功するなら、今回掲示板以上があっても驚けませんね。いずれはダート馬として収束していきそうな気配ですが。


6.クラウンアトラス(母自身がヌレイエフ3×4の近親クロスを持つ)

・血統背景好感度:B+(距離適性は芝2000m前後)

 まあ、迂回血ライン継承度で評価できる母ではないものの(苦笑)、特定の先祖クロスに頼る母馬としては面白い存在なのではないかと思います。

 ただ新潟の芝マイル戦で勝ち上がったとはいえ、やはり2歳戦特有の超の付くどスローな展開。メンバー中唯一の上がり3F33秒9という末脚に関しては一級品と言えそうなものの、これが重賞の速めな流れになった場合でも同様の末脚が発揮できるのか?が試金石となりそうですね。

 一応Bランク+という推察ですが、今後2、3戦の内容次第ではAランクに格上げする場合もあるかも。


7.ノウレッジ(同系配合馬でミスプロ4×4)

・血統背景好感度:C(芝適性未知。ダートであればマイル前後か)

 前走ダート戦での勝ち上がり。芝レースを経験していない馬に対し、過去記事では一切論評したことがない(論評しなかった馬が馬券に絡んだこともほとんどない)ので、ここもその事例に沿って事前考察しない馬となります・・・。

 芝適性は備えているかもしれませんが、こういう芝未経験の馬に芝経験馬たちがアッサリ負けてしまうような場合、重賞のレースレベルとしては甚だ疑問となるでしょうね・・・。


8.エフティチャーミー(母フラワーブリーズのBBLP=8:(5,2,1))

・血統背景好感度:B+(距離適性は1800m前後か)

 ディープインパクトの産駒たちの躍進が想像以上の展開となっている昨今、全兄ブラックタイド(BBLP=12)もその勢いに便乗していっちゃうのかも。

 母の父フェアジャッジメントについては以前考察した覚えがないので、いい機会だと思います。この母父はセントサイモン直系で、血量最上位がプリンスキロ(10.94%)というのが特長です。

 母父の父アレッジド(BBLP=4)の存在も大きいですね。アレッジドはプリンスキロを経由しないセントサイモン系種牡馬ですが、同じセントサイモン直系のプリンスキロを味方につけています。

 元々、ディープインパクトはリアルインパクトを出しているように、異系要素の強めな繁殖牝馬との配合でも好実績につなげるものを持っています。ブラックタイドにもその傾向があっても何らおかしくないでしょう・・・。

 また、FTチャーミーの牝系はビューチフルドリーマーに遡り、いわゆる在来牝系の中でも屈指の牝系となります。某血統予想のプロがご指摘されているように、野芝優位の馬場ではよりパフォーマンスを上げる可能性も少し・・・。


9.タガノラルフ(母レディアップステージのBBLP=9:(6,0,3))

・血統背景好感度:C+(距離適性は1800m前後)

 半姉にタガノミュルザンヌが居ますがこのところ不安定な成績に終始。母であるレディアップS自身の持つネアルコ血脈(計11ライン)がやや過多と言え、懸念材料としての側面を露呈しているものと思われます。

 ただ、父がSウィーク(BBLP=10)に替わるTラルフの場合、中距離路線では姉よりも安定した成績になる気配も感じます。姉のTミュルザンヌはマイル以下の路線のほうが良さそうですが。

 タガノラルフはマイル戦を経験していないものの、前走の中京2歳Sは芝1400m戦で2着。勝ち馬エーシントップとの差は半馬身程度で、やや重馬場でありながら良馬場とほとんど差異のない速めのレース展開を経験している強みはあろうかと思います。

 ただどちらかというとパンパンに乾ききった堅い良馬場よりも、やや力の要るタフな馬場と展開のほうが向きそうな気もしますね。そういう部分では今回伏兵の域を出そうにはないのかも。


10.ショウナンアンカー(母ショウナンマドンナのBBLP=8:(3,2,3))

・血統背景好感度:C+(距離適性はマイル以下)

 この馬の命名には、Aタキオンのラストクロップとしての期待も込められているものと推察します。この馬も前走で新潟の芝1400mを勝ち上がっており、経験値としてはプラスでしょう。

 ただ、BBLP=7となるアグネスタキオンの、産駒全般の勢いにやや蔭りが垣間見えます。やはりディープインパクトを筆頭格とする、BBLP=10以上のサンデーS系種牡馬たちの産駒の勢いに押され気味ですね。

 やはりダイワスカーレット、ディープスカイが出た辺りが種牡馬としてピークだったのかな?と思うしかない今日この頃です・・・。

 
11.ユキノユウダン(母クリスタルティアズのBBLP=5:(4,1,0))

・血統背景好感度:D(距離適性は1800m前後)

 まあ、いわゆる一つのデジタルパターンを持つ母なんですが、今のところ2戦して2回とも馬券になっているだけに、そこを強調しづらいものはあります(笑)。

 ただ、将来性に関してはどうでしょう。そもそも成長曲線が緩めとなりがちなSゴールドの産駒にしても、いずれ芝重賞級になれそうかとなると、かなり微妙〜、という印象しか持てませんね・・・。


12.サウンドアドバイス(同系配合馬)

・血統背景好感度:C(距離適性は1800m以下。ダートならランクBかも)

 母の父ブライアンズタイムが、芝でも重賞級を出すためのタッグを組む相手としての種牡馬に求めるものは、ヘイルトゥリーズンの血を持つだけでなく、ある程度のスタミナ要素を求めます。

 これまで、「母の父ブライアンズタイム」で芝の重賞クラスでも勝ち負けになった産駒の多くが、この要素を備えていました。 あくまでも「芝の」、というククリにおいては、そういう傾向が顕著です。

 父がアグネスタキオンの場合、Htoリーズン系ではあるもののスタミナ要素には欠けますので、芝路線のまま推移してもおそらく古馬での重賞クラスには至らないものと推察します。

 ただ今回に関しては、まだ2歳中ごろの段階であり、レース傾向としてはダート向きの要素がプラスに転じる側面もある新潟2歳Sですので、一発があってもおかしくないでしょう。


13.ナンヨーケンゴウ(同系配合馬)

・血統背景好感度:C+(距離適性は1800m前後)

 典型的スローで上がりだけの競馬だった前走芝1800m戦ですが、メンバー中唯一の上がり33秒8は確かに秀逸。内ラチ沿いをピタッと回ってきたヨシトミ騎手の好騎乗がアシストしているのも大きいでしょうが。

 前走芝1800m経験組はとにかく3着程度まで、という近年のレース傾向なので、この馬もやっぱりそういう感じでしょうかね・・・。かなりスローな展開に成った場合、再度ハマる可能性もゼロではないんでしょうけども。


14.コスモリープリング(ダンジグ3×4)

・血統背景好感度C:(距離適性は1600m以下)

 この馬の母ローズベアダウンもノーザンダンサー(4×4)の近親クロスを持ちますので、コテコテなタイプというしかないでしょうね・・・。

 前走のダリア賞で8着に負けていることから今回は前日段階で最低のオッズ人気ですが、ダート1200mの1戦しかしていないノウレッジよりは、はるかに経験値ではマシだと思うのですけどねえ。

 この辺がファンの評価の不思議なところです。ノウレッジの馬主がモハメド殿下だというのはあるにしても・・・。


15.シゲルイルカザ(母自身がノーザンダンサー4×4の近親クロスを持つ)

・血統背景好感度:D+(距離適性は1600m以下)

 前走中京2歳Sでは4着といっても、2着タガノラルフからは0.6秒差(4馬身程度)も離されての入線だっただけに、初戦で激ユルなマイル戦を経験したことがはっきりと裏目に出たレースでした。

 今回マイルに戻るにせよ、堅い馬場のままで時計の出やすい新潟のマイル戦の場合、初戦の内容ではほとんど直結しないと思われます・・・。


16.ザラストロ(母自身がノーザンダンサー4×4の近親クロスを持つ)

・血統背景好感度C+(距離適性は1800m以下)

 長距離得意の父と母父がタッグを組んでも、産駒は長距離適性が顕著に出るというわけではないという典型的配合例でしょうかね。ありていに言えば血統とは、「父と母父」では語れない、ということを身をもって示しているというのがザラストロという馬の存在でしょう・・・。

 初戦の福島芝1800m戦で勝ち切れず、短縮となる前走の新潟マイル戦ですんなり勝つあたり、やはり中距離適性よりもマイル適性のほうが優位な印象ですね。

 ザラストロ自身はリファール(3×5)という、やや変則的な5代内クロスを持ちます。血量だけで言えば(4×4)の場合の12.5%より、(5×3)ないし(3×5)のほうが15.63%で高くなるのですが、過去記事で何度も述べてきたとおり、この場合は血量の値よりも、「双方で4代以内」の場合に成立する近親クロス要素のみをこのブログでは考察対象としています。

 ただ、リファールのクロスの奏功がない、という判断をするのではなく、ある程度の奏功はあるだろうと当然考えます。まあどのみち、母のセクシーココナッツ自身が近親クロスの影響度を色濃く持つので、リファールのクロスがあろうとなかろうと、大して見解に差は出ないのですが。


17.メイショウオオゼキ(母トランクイルデイズのBBLP=7:(2,3,2))

・血統背景好感度:B(距離適性は1800m以下)

 以前この馬を評価した時、母の父イージーゴーアについて述べました。これまで考察事例がなかっただけに、メイショウオオゼキの今後はかなり興味深いですね。

 ただ、あくまでも母の迂回血ライン継承度(BBLP)で見た場合、今回馬券になったとしてもその後の出世はそんなに大きいところまでは望めないのではないかと推察します。

 直近の記事で、ハーツクライ産駒で伸び悩む古馬2頭の事例(ステラロッサ及びリフトザウィングス)をヤリ玉に挙げたように、近親クロスに頼らずに強くなる(=芝重賞級)ためには、迂回血ラインの継承度がある程度高い母馬(おおむねBBLP=10以上)でない厳しいという検証結果が出ています。

 重賞マイル戦の場合、BBLP=10以上というハードルは1800m以上の中距離芝重賞よりは若干下がる傾向にあるのですが、それでも8か9ぐらいは欲しいところですね。

 メイショウオオゼキが仮に今回勝った場合でも、それほど大物扱いは出来ない、というのが正直な印象です。まあ、今後の検証を経てその印象が変わるかどうか、随時見守っていくつもりでおりますが。


18.モーニングコール(同系配合馬でヘイルトゥリーズン3×4)

・血統背景好感度C:(距離適性は1400m以下)

 父のブライアンズタイムも母父のサンデーサイレンスも、共に「底力」というキーワードで語れるだけの、「スピードとスタミナのバランスが際立って秀逸な種牡馬」ですが、上記のように「父と母父」としてタッグを組んでしまった途端、その両者の「いいとこ取り」は出来ずに、両者の共通祖先であるところのヘイルトゥリーズンがシャシャリ出てきて、「オレは短距離の超絶スピード馬だったんだゼ」という主張を強固に発露させます(笑)。

 つまり、いいとこ取りどころか、先祖返りしてしまって狭小化した資質が顕著に現れる確率が高まるという、厄介さを伴うのがこうした同系配合の要素なのです。

 ノーザンダンサー系の両親を持つことにより、父も母父もスタミナ系種牡馬なのに短距離馬になってしまう、という事例も多々見かけます。

 もちろん、こうした配合での成功事例も少なからずあるものの、期待どおりにいかないケースのほうがむしろ圧倒的に多いというのが、同系配合の検証を続けていて感じることなんですね。

 全兄であるサトノピースピースとサトノフロンティアの現状を見る限りにおいても、この配合で「芝の重賞級」となるのはほとんど望めないのではないかと推察しています。

 なあんてことを言い切ってしまった時に限って、黄金配合による近親クロスのプラス要素が発動して、大激走してしまったりするんですよね(苦笑)。

 前走新潟芝1400m戦の勝ち上がり内容はFTチャーミーに次ぐものなので、今回も絶妙なペースに持ち込み逃げ粘ってしまったりなんかするのかも・・・。

*BBLP:Bypass Blood Line Point の略記。詳細は「ブログ主旨説明・他」のカテゴリ記事にて。

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blood_max at 16:01|PermalinkComments(0) 2歳馬 考察 

2012年08月21日

'12 2歳戦 備忘録(11)

8/19 札幌5R 2歳新馬(芝1800m)

1着 ソウルファイター(母ドゥーワップのBBLP=10:(3,3,4))

2着 ネオウィズダム(母自身が同系配合馬)

3着 ライフトップガン(同系配合馬)


 事前考察で取り上げたソウルファイターが超スローの展開を自ら演出しての逃げ切り勝ち。まあ洋芝100%の馬場とはいえあまりに超スローで、レース展開的にはほとんど道中の負荷のかからない、実質最後の2ハロンのみでの「調教のような競馬」とも言えそうで、レベル的にはどうこう判断すべきではないのかも。

 いつも言っていることですが、2戦目以降の内容が同程度の上位争いか、もしくは時計的な面での進展がないのであれば、こうした超スローでの新馬戦の決着はあまり正しい能力判定の場ではないですね。各馬の次走以降でも内容を伴うかどうかの留意が必要でしょう。


 2着になったネオウィズダムはPOGの指名馬としては相当な人気になっているようですね。私自身はPOG的な考察をするとは言っても、特定の馬に思い入れを持つことを避けるためにゲームそのものには一切参加せずに、どんな人気だろうと関係なく公平な目線・視点でその馬を語るように努めています。

 ネオウィズダムの場合、母のゴレラ自身がノーザンダンサー直系の両親を持つので、その時点でゴレラの持つBBLPは優位性を失います。かつゴレラはノーザンダンサー(4×4)、更にサーゲイロード(4×4)と異なる先祖クロスを4代以内に重複させているタイプ。早い話が近親クロス度がコテコテの母、ですね。

 まあ、そういう母で強い馬がどんどん出てくるのなら、配合の話なんて簡単ですし、POGでの指名の際もラクチンですよね・・・。


 事前考察で取り上げ、「母には懸念材料がある」とした4番人気8着の、

・マリナーズコンパス(母フサイチエイブルのBBLP=5:(4,1,0))

 この馬は、7着だったキンショータイムからも更に大きく1秒(約6馬身差)も離されての入線。故障発生などが主な理由でない場合、この内容だとおそらく芝向きに出ていないものと思われますが、もし今後ダート路線に転向する場合には、「母の懸念材料」は気にすることはなくなります。あくまでも、芝レースで使われ続けていく場合の懸念材料です・・・。


 *今日の記事については、2歳戦以外のレースも観ておこうと思います。

8/19 新潟11R 天の川S(芝2000m)

1着 コスモラピュタ(母ヒャッカリョウランのBBLP:8(3,3,2))

2着 ヤマニンエルブ(ノーザンダンサー4×4)

3着 ステラロッサ(母レッドキャットのBBLP=6:(4,2,0))


 1番人気だったステラロッサなんですが、この馬が今後OP入りした場合でも、2000mは少々長いのではないかと懸念しています。以前準OPの府中S(芝2000m)を勝っているにしても、ですね。

 ハーツクライ産駒というだけで、世間一般の競馬ファンの目線は2400mぐらいまで「無条件にOK」だろう、てな感じで受け止めているように私には思えます。

 しかしながら、このブログで検証を続けている「迂回血ライン」の血統考察手法で母馬を見ていくと、レッドキャットの血統背景では重賞レベルの芝2000mはすこぶる厳しいかも、という判定なんですね。

 血統というのは、「父の血統」と、「母の血統」のコラボレーションです。

 ディープ産駒だから大丈夫だろう、とか、ハーツクライ産駒だから2400mは大得意だ、などというものは、本当にトコトン血統というものを突き詰めて考察していくと、決してそんな風に単純視できないことが分かってくるのです。

 ある意味、「男性原理至上主義、的な幻想」とでも言いましょうか。父親の威厳、オスのパワーでなんとかなる、というような・・・。

 かく言う私自身も、しがないオッサンのはしくれですので、競走馬というものがが全て、男性原理が優位であればもう少し予想ががラクかも、な〜んて思ったりもしますが(笑)。

 「父と母父」という表面的な見た目要素だけで、能力が未知の段階の2歳馬や3歳馬の血統を評価しないのは、「母馬自身の血統背景全体」の重要性が、迂回血ラインの研究により実感できているからです。

 ステラロッサは、その一例として挙げています。また、今回の天の川Sとは関係ないですが、同じハーツクライ産駒で出世しきれずに下級条件でくすぶっている、

・リフトザウィングス(母レンドフェリーチェのBBLP=7:(2,1,4))

 この馬が2歳時に東スポ杯2歳Sで2着になった時も、「この馬は出世しないんじゃないかな」という目線で見ていました。名伯楽・橋口師の手腕をもってしても、勝ち切れない内容が続いています・・・(未だに1勝馬のままです)。この馬には、ディープ産駒の半妹が2頭いますね。

・モルトフェリーチェ(8/18 小倉4R 3歳未勝利戦で4番人気10着)
・ソリーソアンジェロ(デビュー待ち)

 こういった、同じ母から産まれた各世代を通じての考察&検証を数多くこなしていくことで、迂回血ラインの優位性・有効性・信憑性というものをこれからも提示していければと思っております・・・。 

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blood_max at 22:13|PermalinkComments(0) 的中記事コレクション | 2歳馬 考察

2012年08月19日

'12 2歳戦 備忘録(10)

 札幌記念ではマンハッタンカフェ産駒が1,3着となり、ダークシャドウはやっぱりという感じの2着(苦笑)。このダークシャドウについての一連の過去記事で、「おいおい、ダークシャドウはノーザンダンサー(4×4)の近親クロスがあるから、母のBBLPは関係ないんじゃねえのか?」と怪訝に思われていた方も少なからずおられたのではないかと思います。

 確かに、このブログでは産駒自身が4代以内のクロスを持つ場合も、母のBBLPを優先して考察しないというルールを設定してきました。

 けれども個人的には、ダークシャドウだけは例外的存在として扱いたい、と考える次第なんですね。これまでそういった補足説明をしてこなかったことを申し訳なく思います。m(_ _)m

 基本的に、私自身のダンスインザダーク産駒全般に対する印象は、すこぶる良くありません(笑)。人気薄で穴を開けるような産駒を当初から何頭も出してきましたが、圧倒的1番人気で大いにコケるような産駒も量産してきたようなイメージしかないのです。

 その隠れた要因としては、ダンスインザダーク自身が持つアルマームードの5代内クロス(異系由来の底力をもたらす一方、主に気性難因子を誘発する)が大いに関係していると過去記事でも述べてきました。

 しかしダークシャドウの、本格化して以降の安定した競馬ぶりは、それまでの既存のダンス産駒たちとは明らかに一線を画する、非常に頼もしいまでの走りっぷりなんですよね(笑)。

 当然、迂回血ラインの有効性をこれまで検証し続けてきた当方にとって、これはやっぱり母マチカネハツシマダの持つ本質的なポテンシャル継承(BBLP=10)の賜物だろう、と考えたいのです。

 ノーザンダンサー(4×4)のクロス要素だけで、これだけしっかりとした内容を持つダンス産駒は他には全く見当たらないといっても過言ではない、とさえ思っています。

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まあレースとしては、このところサイアーランキングで徐々に順位を下げつつあったマンハッタンカフェに対し、2頭の仔らが頑張って親孝行してあげたねー、という感じでしょうか。

 勝ったフミノイマージンも3着のヒルノダムールも、共にその母馬たちが「コテコテなノーザンダンサー血脈を持つ」というところがこのブログの内容的には「あちゃ〜」というものなんですけどね(笑)。

 当然、洋芝100%の馬場というものが、こういった母の血統背景を要求するものなのでしょう。ありていに言えば・・・。


 さて、本題の2歳戦に。

8/18 新潟5R 2歳新馬(芝1800m)

1着 サトノノブレス(母自身は同系配合馬)

2着 テンシンランマン(母自身は同系配合馬)

3着 インプロヴァイズ(母カデンツァのBBLP=7(4,1,2))


 勝ち馬の母、2着馬の母が共に、コテコテのナスルーラ血脈で構成された同系配合馬、という部分が共通項と言えましょうか(苦笑)。一応、迂回血ラインの要素としては、1〜3着馬の父を順に見ると、

・ディープインパクト(BBLP=12)
・ハーツクライ(BBLP=9)
・ウォーエンブレム(BBLP=8)

 のように今回は着順とも符合している、とみなすことも可能なのですが・・・。まあこのブログの基本は「母自身の血統背景」が主たる考察対象なので。

 個人的にはインプロヴァイズの動向に、今後とも注目したいと思います。やはり芝重賞級に至るにはちょっと足りないかな?という印象は拭えませんが、貴重な父の産駒でもありますし、何とか芝のOPクラスにまで勝ち上がっていって欲しいですね・・・。(おそらくマイル路線がベストでしょう)


8/19 新潟1R 2歳未勝利(芝1600m)

1着 ピュアソルジャー(母父自身がノーザンダンサー4×4の近親クロスを持つ)

2着 サーストンニュース(母自身がネイティヴダンサー4×4の近親クロスを持つ)

3着 ドリームアース(母リスペクトスコールのBBLP=10:(4,2,4)だが微妙〜?)


 これは大波乱の決着でしたね。1〜3番人気の馬たちが全てコケましたので。ただまあこうした人気薄の面々が、次走以降もずっと好走を続けていくかどうかは、少々疑問ですね。

 展開としては、逃げた馬の千m通過時は60秒7でした。通常の感覚ならばこれでもスローの部類であるものの、2歳馬たちにとってはこのレースで先行した場合やや厳しいものを要求されたようです。1〜3着馬は皆4コーナーで9番手以下の面々でした。

 1、2着馬の血統背景はともかく(苦笑)、16番人気で3着となったドリームアースの父は、直近の記事で取り上げたばかりのアルデバラン2です。やはりこの父は何かを「持っています」かね〜(もう古いか)。

 まあ今回上位の面々も、次走以降で内容が落ちるようならあまり意味がありません。継続して監視?が必要でしょうね・・・。

 勝ち馬の「母父」はキングカメハメハですね。この種牡馬についても、「産駒の父」としてはBBLP=11として優先考察してきました。キンカメ自身がノーザンダンサー(4×4)の近親クロスを持つにしてもです。

 これについても、これまで説明してきませんでしたか(苦笑)。

 種牡馬として(産駒の父として)考察する場合、キンカメほどの人気になりますと、毎年の種付け数は200頭前後となります。つまり、毎年の産駒のサンプルは非常に豊富なわけですね。

 豊富なサンプル数なので、「芝のマイル以上」という限定したカテゴリでの考察でも、キンカメの持つBBLP=11の優位性は浮き彫りになるのです。

 この活躍を、単純に「キンカメにはノーザンダンサー(4×4)のクロスがあるからだ」として固定観念化してしまう場合、そういった同じ近親クロスを持つ種牡馬の優位性が、もっと他にも提示されていいはずです。

 どう考えても、キンカメの種牡馬としての活躍度は他の(ファラリス直系の)種牡馬と同様に、迂回血ラインの優位性が表面化していると思われるんですね。

 けれども、「母父」として考察する場合には自身の持つ近親クロスの要素を優先し、最近述べた新解釈をキンカメに対しても適用することとなります。キンカメはあくまでも「母の血統背景の一部」という存在になりますので。

 仮に、「母父キンカメ」の存在をBBLP=11として適用したとして、その優位性で芝の重賞級に登りつめる産駒が出てくる可能性もなくはないと思いますが。個人的にはキンカメの欠点(ネアルコ血脈を豊富に抱え過ぎている《=計11ライン》という部分)が、母父としてはマクロ的に見て懸念材料になっていくものと推察しています・・・。 


 1番人気で7着に敗れた、

・ミラクルアスク(母父自身がメノウ4×4の近親クロスを持つ)

 ディープ産駒全般の、昨今の勢いからしてみれば、新馬戦(ないし2戦目・3戦目など)という能力的にほとんど未知な段階でも上位人気になってしまうという傾向が、今後とも多発していくんでしょうね・・・。

 ミラクルアスカの母父、ロイヤルアカデミー2は上記の近親クロスを持つので、母父キンカメのケースと同様に基本としてはそちらを優先考察するタイプとなります。

 ただし、母イルバチオ自身の血統背景全体について、完全に無視していいかというとそうではありません。イルバチオ自身をBBLPで考察してみますと、

・イルバチオのBBLP=5:(4,1,0)

 というものになります。この場合、このブログにおける「懸念材料」であるデジタルパターン(0か1の値が、母馬の血統3分割表示のうちの2箇所であらわれるパターン)であることが分かります。(詳細は「ブログ主旨説明・他」のカテコリ記事を参照願います。スマホでなく、パソコンでの閲覧が便利です)

 ミラクルアスカについては、父ディープ自身のポテンシャル継承による能力も当然持つでしょうから、いずれ勝ち上がる可能性もあろうかと思います。ただ、このBBLPパターンの母から生まれたケースでは、人気サイドになるほど危険という傾向が過去の多くの事例で検証済みですので、人気の下がった時の巻き返しなどに妙味を求めるタイプ、として位置づけておくのがいいのではないかと考えています・・・。  

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blood_max at 23:03|PermalinkComments(0) 2歳馬 考察