2010年11月

2010年11月30日

2歳戦 次走へのメモ(23)

11/28 東京4R 2歳新馬(芝2000m)

1着 アンナドンナ(母アンナモンダのBBLP=8)

 ガリレオ産駒で母父がMonsunというのは、同じく藤沢和厩舎の管理馬ミッションモードに似た配合とも言えます。

 この、ガリレオとモンズンが関わる配合というのは、実はエイシンフラッシュの配合にも通じる部分があるんですね。よくよく見ると。

 まず、ガリレオの母がUrban Seaで、更にその母はAllegrettaなんですが、エイシンフラッシュの父、King's Bestの母がこのアレグレッタになります。

 次にモンズンの父はKonigsstuhlという種牡馬で、モンズンの母がMosella(その父Surumu、その母Monasia)となりますが、エイシンフラッシュの母ムーンレディの父はPlatiniで、Surumuの直仔。

 そして、ムーンレディの母の母、Majoritatが、KonigsstuhlとMonasiaとの間に生まれた娘、ということになります。つまりガリレオとキングズベストの牝系は全くの同一であり、さらにモンズンとムーンレディは父系と母系がそっくり入れ替わった形での逆配合パターン、というわけです。

 実にややこしいですが(苦笑)、そういった先祖たちが存在するという共通点が、エイシンフラッシュとミッションモード及びアンナドンナとの間にはあるということになります。

 早い話が、ガリレオとモンズンの両方の血を持っている馬がいた場合は、必然的にエイシンフラッシュと共通の先祖たちを近い世代に多く持つことになる、というわけですね。

 だからどうした?と言われればそれ以上、何もないですし(笑)、へえ〜、それが何か?と言われても困っちゃうんですけどね・・・。

 ま、それなりにウンチクの1つにでも加えて頂こう、ということで。


 さて、今後のアンナドンナの出世の行方ですが、ノーザンダンサー(3×5)の近親クロスが発生する配合でもあるので、若干、母アンナモンダの持つ迂回血ラインが機能しづらい可能性も考慮に入れる必要があります。

 今回2000mを勝ったのでスタミナの要素は父と母の双方から受け継いでいるかのように見えますが、レース自体が超〜スロー(千m通過時63秒9)の上がり勝負(勝ち馬は33秒6)となったので、あまり距離適性云々を確信できるようなレース内容ではないだろうと思います。

 今後もう少し様子見をしておきたいところです。


 東京5R 2歳新馬(芝1600m)

1着 ラヴェルソナタ(母ハッピーパスのBBLP=7)

 母のハッピーパスはなかなか異系要素にあふれた配合の持ち主で、ハイペリオンの血量が最上位となる(7.81%)部分には好感が持てます。

 ただ全体的には充分とはいえない迂回血ライン数で、マイル路線中心に活躍していければ御の字ではないかと思います。

 距離延長はちょっと疑問(特に2000m以上)なのですが、気性的にウルサイ面が全くない場合は、ある程度克服していけるかもしれません。今後長めの距離で好走できるかどうかで、ポテンシャル判断は左右してきそうです。


 京都3R 2歳未勝利(芝1800m)

1着 ハーバーコマンド(母レディインのBBLP=16も・・・)

 母、および母の母が2代続けてナスルーラ直系同士の両親を持つ「同系配合馬」で、かつレディイン自身が受け継いでいるネアルコ経由のライン数は実に12ラインという多さ。

 これではいくら迂回血ラインが16あっても、ネアルコ経由のライン過多による近親度の強さで相殺されてしまい、将来性はあまり見込めないものとなりそうです。

 もし、こういう配合でもズンズン出世していった場合は、それはそれで比較研究する価値はあるのかもしれないですが。


 京都6R 2歳新馬(芝2000m)

1着 アサクサショパン(母ファンジカのBBLP=13)

 ハイアーゲームの半弟となります。このレース内容も超スロー(千m通過時63秒8)であり、前残りかつ追い込みも利くというもので、アサクサショパンは終始2番手を追走し、2、3、5着馬は最終コーナーで10番手以降からの追い込み、終始逃げたアバウトが4着に粘りこむというもの。

 次走につながる競馬ができたのは前で粘った馬なのか、追い込んできた馬なのか?、今ひとつ不透明な部分があるのは否めないので、上位入線各馬の次走以降もチェックする必要があるでしょうね。

 このレースで5番人気5着だったディープ産駒、

ファタモルガーナ(母タニノミラージュのBBLP=おそらく無効)

 母父エリシオがBBLP=10の種牡馬なので、今後活躍していく可能性もなくはないと思うのですが、如何せん、母タニノミラージュの血統背景全体を見るとナスルーラ経由のラインが計5つ(その血量は10.94%)で、かつネアルコの血量もそのナスルーラに次ぐ10.55%で大台超え。

 エリシオ経由のスタミナ面と、ナスルーラ特有のスピード強調部分が上手くかみ合う配合の母馬なのかどうか、かなり疑問に思います。

 個人的に、ネアルコ経由のラインを計10前後持っているか、もしくはその血量が10%を超えるような場合のネアルコ直系子孫は、活力を大幅に削がれているのではないかと考えています。

 ですから、ネアルコ経由のライン過多(または血量が10%超え)のようなネアルコ直系の種牡馬や繁殖牝馬に対して、個人的にはその産駒への懐疑的な見方をすることにつながっているわけなのです。

 具体的な種牡馬としてはグランデラ、ムーンバラッドなどが該当し、輸入種牡馬として大いに期待外れであると感じます。

 競走馬としては立派なG1実績をあげたような馬でも、よくよくその血統背景を見てみると、子孫を残していくべき活力には大いに欠けている・・・。そういうタイプが、近年の種牡馬、繁殖牝馬に増えてきているので、単なるネームバリューに惑わされない血統評価のあり方が、今後ますます重要になっていくでしょう。

blood_max at 23:35|PermalinkComments(0) 2歳馬 考察 

2010年11月29日

2歳戦 次走へのメモ(22)

 ジャパンCでは期待したエイシンフラッシュの好走はなく、少々幻滅させられましたね。ブエナビスタは降着となってしまいましたが、進路妨害の経緯はともかく、その強さを再認識させられるものとなりました。

 私としては、審議の対象として一番良くないのはヴィクトワールピサの急な外側への斜行ではないかと思ったのですが、最終的にローズキングダムが不利を跳ね返してVピサより先着したため、結果的にピサにはお咎めなしの顛末に至った、という感じでしょうか(ギュイヨン騎手に対し戒告か厳重注意などがあってもおかしくないはず)。

 まあどのみち馬券は当たらなかったので、負け犬の何とやらですけども(苦笑)・・・。

 それにしてもメイショウベルーガが11番人気でありながら、ペルーサに半馬身及ばずの6着に頑張ったというのが、個人的には一番に拍手喝采を送ってあげたい「敢闘賞」級の良い走りだと思います。今後につなげて欲しいですね。


11/27 東京2R 2歳未勝利(芝1600m)

11番人気1着 サンデースイセイ(母チアズデライトのBBLP=9)

1番人気11着 コスタパルメーラ(母シーディザーブスのBBLP=5:(4,1,0)


 あまりにも対照的となる結果ですが、この2頭の「父×母父」は、「キンカメ×サンデーS」で、表面的な見た目では全く同一です。

 普段から「父と母父」だけ見ていれば好走の傾向が大体分かる、としているプロの血統評論家(予想家)さんは、こういう結末をどのように状況説明することになるのでしょうか?

 コスタパルメーラに何らかの不具合、故障発生などがなかったものとして論評をしますと、母シーディザーブスは凡走パターンを持つ母馬であったことに言及しておきます。

 レース自体の流れは、2歳のマイル戦にしては逃げ馬の1000m通過時が58秒6で、ハイペースというほどでないにせよ平均ペースよりは速く、差し有利の展開となり、1〜3着馬はみな4コーナーまでの道中を10番手以下で進んでいました。

 コスタパルメーラも4コーナー10番手でしたので、展開は向いていたはずです。次走以降立て直してくるとして、仮に勝ち上がるようなことになった場合でも、昇級後の伸び悩みが懸念される血統背景であろうと推察します。

 勝ったサンデースイセイの母、チアズデライトの血統的な良い所は、ネアルコ経由のラインを僅か2つしか持っていないことですね。結果的に古めの世代の異系先祖が、血量的には上位に来ています。

 今後もマイル路線中心であれば、重賞級とまではいかなくてもオープンクラスでの活躍はそれなりに出来るのではないかと見ます。


 このレースで2番人気4着だったディープ産駒、

ランブイエ(母サミットヴィルのBBLP=おそらく無効)

 母サミットヴィルが持つ迂回血ラインは確実に10以上存在していますが、この母自身がノーザンダンサー(4×4)の強めのクロスを持つことに加え、ネアルコ経由のライン数が計9つとかなり多いのがネック。

 ランブイエ自身にもノーザンダンサー(5×5・5)というクロス形態が発生し、そのコテコテ度がかなり支配しています。こういう配合で仮に出世していった場合でも、繁殖に上がった時に何ら活力を子孫に与えない母馬になってしまうでしょう。あまりにも、主流系統の血を持ち過ぎです。


11/27 京都9R 京都2歳S(芝2000m・内)

1着 マーベラスカイザー(母マーベラスウーマンのBBLP=7も・・・)

2着 プレイ(母マイケイティーズのBBLP=7)

3着 ダノンバラード(母レディバラードのBBLP=6)


 いずれの馬も過去記事にて考察済みの馬ですが、札幌2歳S出走時にかなり酷評したマーベラスカイザー(8番人気)が勝利(苦笑)。昨年の勝ち馬ヴィクトワールピサの勝ち時計とも全く同じなんですが、今年の場合、「えっ?こんな馬が出世していくの?」という感じです(苦笑)。

 私が参加している某競馬SNSのメルマガ携帯配信で、この馬をスゴ馬だか何だかと言って好走を予告する内容が載っていたのですが、どういうカラクリでしょうね?

 調教時計をナンタラニティ指数化して高評価したのか、人気馬の激ヤバ裏情報を巧みに取り込んで、確信の激走予告をしたのか・・・。

 今後マーベラスカイザーがトントン拍子に出世していくのだとしても、ノーザンダンサー(4×4)のクロス要素以外には、取り立てて注目できるような部分が血統背景にないんですね。この馬がもし皐月賞馬になったら2度ビックリすることになると思います・・・。

 2着のプレイはもともとデビュー前からの評判馬でしたが、今回5番人気とは、えらく前評価がガタ落ちだったものの2着を確保。

 カリスマ馬主がデビュー前から「種牡馬にする」と豪語するほどの逸材だとしたら、この程度の面々は軽くあしらっておかなければイカンのではないかと思うのですが・・・。さて?

blood_max at 23:59|PermalinkComments(0) 2歳馬 考察 

2010年11月28日

ジャパンカップは・・・

 いつものような、各馬の血統の詳細分析は断念しますが、個人的な期待馬は表明しておこうかなと思います。

 軸はエイシンフラッシュにしたいと考えます。まず、キングマンボ系種牡馬の産駒のジャパンカップとの好相性は皆さんご存知の通りで、菊花賞を回避したことがどうかという懸念材料はあるものの、体調さえ万全に整っていれば好勝負可能だろうと思いますね。

 父King's Bestは今年のイギリスダービー馬ワークフォースを出すなど、これからもキングマンボ後継種牡馬として確固たる実績を積み上げていきそうな勢いを感じます。

 エイシンフラッシュ自身に関して言えば、私の血統評価基準である「迂回血ライン」での考察がすんなり当てはまらないと感じざるを得ないほどの異系要素(いわゆるドイツ血脈ですか)に富んでおり、昨今の、ネアルコ直系ラインを過剰に血統背景に持つようなタイプとは正に一線を画す配合の持ち主です。

 当然、今のキンカメ以上に種牡馬としての相対的価値があると思われるんですね。日本の繁殖牝馬の血統的特徴を考えた場合には特に、です。

 もちろん、既に日本ダービーを勝っていますから種牡馬への道は約束されているのですが、今年、もしくは4歳、5歳になってもこのジャパンカップで好勝負を見せ続けることが出来れば、当然その血統的価値の存在感は他の追随を許さぬものとなります。

 2400mという距離が、サラブレッドの血統進化を持続させていく上で最も重要な距離=根幹距離であることは歴史的観点からも明白で、スピード優位なだけの血統でも、スタミナ一辺倒なだけの血統でもない、その両方が抜群にバランスした血統というものの価値を見定めるための距離です。

 近年は、アメリカやドバイの競馬がスピード要素をより重視したG1戦(2000m近辺の施行距離)での勝ち馬を、最高に価値ある血統とする流れに持っていっていますが、やはりイギリスがダービー競争の設立当初に設定した12ハロン=2400mという絶妙な距離こそが、これからも「真の血統的価値」を見定めるのに最も相応しい距離であり続けるでしょう。


 ブエナビスタの強さにはもちろん異論はないのですが、この馬はある意味で非常にラッキーな面も持ち合わせています。前走の天皇賞・秋にしても、ダービー連対級の強豪牡馬を打ち負かしたわけではありません。

 ペルーサもアーネストリーも素質のある馬とはいえ、G1タイトルは獲っておらず連対もしていない馬でした。本来であれば前年、前々年のダービー馬、宝塚記念勝ち馬などが出走してくるのが「天皇賞・秋」です。

 今回は、G1最高格付けのダービーを連対した2頭、エイシンフラッシュとローズキングダムが共に出走してくるので、年下相手とはいえブエナビスタにとっては天皇賞・秋のような圧勝劇は難しくなると考えます。

 そこへ、必ずしもベストの距離とはいえない2400mフルゲートでの激戦が待ち受けているのですから、もしそれでもブエナビスタが勝ってしまうなら単に名牝という枠だけに収まらない、「真の名馬」として歴史に残るでしょうね。

 ローズキングダムにも注目しますが、菊花賞の長丁場を終い勝負で追い込んだことによる、「目に見えない疲れ・精神的消耗」がなければいいですね。調教では体調の維持が伝えられているようですが。

 近年の菊花賞好走馬たちは、その後に何かと不具合の発生に見舞われるケースが多くなっています。それだけ、3歳秋の時期に3000mを激走するという負荷の大きさには計り知れないものがあります。頑張ってほしいのはヤマヤマですが。

 そういう意味で、菊花賞を回避したエイシンフラッシュのほうが、一旦ピークにもっていった馬体を維持する難しさは伴うものの、レースで使っていない分の体力的な充実はあると思うのですが。

 外国馬では月並みになりそうですが、常勝軍団オブライエン厩舎が管理する、ジョシュアツリーがやはり気になりますね。

 この馬は父モンジュー、母父がチーフズクラウン直仔のグランドロッジということで、両親が共にノーザンダンサー系の「同系配合馬」とみなせます。

 モンジューだけで論じるならばやはり「重さ」が気になるサドラーズウェルズ系となりますが、母の父系がチーフズクラウンの系統であれば、日本の馬場への適性も少なからずありそうに思えます。

 まあ、あとの外国馬は正直、血統を調べたとしても良くわからないままなのは確かでしょう。どのみちレベル的には力量を測りかねるので、ジョシュツリー以外の外国馬が3着以内に来た場合、予想は自動的に外れることになりそうです。

 エイシンフラッシュの確固たる地位構築が見られるのかどうか、個人的にはそこに期待をかけます。あとは当然ナカヤマフェスタの地力も怖いですがキレ勝負なら隙ありと見ます。

 エイシンF、ブエナ、ローズK、ナカヤマF、ジョシュアTにペルーサ&Mベルーガ少々(3着づけ程度)で、あまりヒネリのない予想ですがレースを楽しみたいと思います・・・。

blood_max at 00:43|PermalinkComments(0) 競馬 血統 予想 回顧 

2010年11月23日

2歳戦 次走へのメモ(21)

 マイルCSは昨年のような「ショボいG1戦」から一転、なかなか見応えのある一戦でしたね。ジョーカプチーノが、私の想定を超えるペースで飛ばしたため、テイエムオーロラなど前めで追走した馬たちはほぼ壊滅。

 レコード決着を演出したものの、引き立て役になっちゃいましたな。まあ、こういうレースがG1戦でずっと続いてほしいですね。馬券は当たらなくても内容に納得できるものがあれば、それなりに満足できますし。

 ただ、ダノンヨーヨーが強いにしても、マイル戦線でダントツの存在ではないことも確か。来年の安田記念で勝てるのなら、その時にはDヨーヨーの強さを認めることにしましょう・・・。



11/20 東京5R 2歳新馬(芝1800m)

1着 コウヨウレジェンド(母アサヒマーキュリーのBBLP=0)

 この馬の全姉アサヒライジング(秋華賞2着など)はなかなか味のある、いぶし銀的な活躍をした牝馬でしたね。

 母のアサヒマーキュリー(Wild Risk4×4)は、その父ミナガワマンナと同様にセントサイモン直系の両親を持つ「同系配合馬」で、父娘2世代にわたって異色の系譜を持つ血統背景の持ち主と言っていいでしょう。

 現代においてこれだけ、セントサイモン系色の強い血統の母というのは比類なき存在で、ロイヤルタッチという、サンデー系種牡馬の中では活躍産駒の非常に少ない相手と好相性というのは、とても興味深いです。

 一方、ロイヤルタッチは皐月賞2着&菊花賞2着という、「クラシック級」だがG1タイトル無しという微妙な位置付けで種牡馬になったため、生産界からはほとんど注目されないまま推移してしまいましたが、そのBBLP=10というもので、実はスペシャルウィークの持つ値と同一なのです。

 G1タイトルを獲れなかったためサンデー系種牡馬といえども良質牝馬との配合に恵まれる機会がほとんど与えられずに、不遇のまま月日だけが経ってしまった感じですが、元来は力量のある産駒を出せるはずなのがロイヤルタッチである、と個人的には評価しています。

 これだけ血統背景の異なる牡と牝が配合されると、「ほぼ完璧に近い異系配合」とみなしてよいと思われますね。従って、本来ファラリスの直系子孫に効果的に底力要素として寄与する迂回血ライン種牡馬(ハイペリオン、プリンスキロ、ファラモンド)といった先祖たちのラインを1つも持たないアサヒマーキュリーの価値は、「異系の活力要素に満ちた意外性」、の一言に尽きると思います。

 血統的にも非常に稀有な存在というべきコウヨウレジェンドの今後の活躍を見守りたいですね。ディープ産駒を負かしての初戦勝ちですから、これからもぜひ頑張って欲しいと思います。


2着 トーセンエッジ(母ロッタレースのBBLP=5)

 先週19日から20日未明にかけては東スポ杯2歳S出走各馬の分析に時間を割いたため、ディープ専用記事にてこの馬の事前の考察がUPできませんでしたが、フサイチパンドラの半弟となる馬ですね。

 けれども個人的にはS級、A級の評価とはいかないですね。姉は2年連続でエリザベス女王杯の連に絡み、カワカミプリンセスやダイワスカーレットと好勝負を繰り広げた印象が今も鮮烈ですけれども・・・。

 フサイチパンドラは、アルマームード(4×5)のクロス要素が非常によく表出していた馬で、類稀な勝負根性と激しい気性の危うさとが紙一重で同居する、騎手や調教師にとってはとても扱いづらい、制御の難しい牝馬だったはずです。

 いい部分も出たクロス要素でしたが、それだけ近親配合の要素のほうが優位に伝達してのG1級の活躍だったとみています。

 父がディープに替わるこの弟の場合、ノーザンダンサー(5×3)のクロスが発生するのと、アルマームード(5・7×5)というクロス形態の変化が伴ってきます。

 今後、トーセンエッジがいずれ勝ち上がるとして、問題となるのはやはり気性面でしょう。牝馬よりも牡馬のほうが、気性難が表面化した場合の対処が余計に厄介でしょうね。

 気性難がそれほどでもなく、オープンクラスに昇級できる場合でも、主戦場はおそらくマイル前後がベストとなると推察されます。それだけ母ロッタレースの底力継承度が、BBLPの値で判断する限り現代的に足りておらず、特に2000mを超える距離の重賞での勝ち負けは将来的にもかなり難しいのではないかとみます。

 この見解を覆すような活躍(中距離以上重賞での)があった場合、近親クロスの効果が良い方向に出たと解釈します。その場合は、ノーザンダンサー系の特徴が良く出るということですから、逆に言えばサンデー系らしさ、ディープらしさというものは影を潜めるでしょう。


 参考までにこの新馬戦で2番人気、3番人気だった2頭、

10着 スマートルシファー(母ペルヴィアのBBLP=3:(1,2,0))

12着 ミトラ(母エイグレットのBBLP=7)


 スマートルシファーはブライアンズタイム(BBLP=1)産駒。高齢となってなお種牡馬として頑張っているBTには敬意を表しますが、芝の活躍馬を輩出するにはもう限界はとっくに過ぎていると思われます(体力、活力の限界などではなく、相対的な血統ポテンシャル格差の時系列的な限界)。

 さらにSルシファーの場合は母の迂回血ライン数も3と低く、かつ凡走パターンに分類されるタイプともなります。この産駒の将来を考えた場合、早々にダート転向をして、ダート馬として昇級を目指す方向が馬にとっての最善策でしょう。

 坂路調教の内容は決して悪くなかったわけですから、その馬にとって幸せにつながる状況というものを、陣営が早く整えてあげて欲しいですね。
 

 最下位に甘んじたミトラは、故障などの不具合があっての結果であるならばまだいいのですが、もし何の不具合もないのにこの結果であれば、次走以降もあまり期待できないのではないかと思います。

 よくある配合「父Sクリスエス×母父サンデーS」というものだけに、何かと人気先行となる場合が多いのですが、自動的にヘイルトゥリーズン(4×4)の近親クロスが発生する「同系配合」パターンともなります。

 近親クロス要素が奏功すれば、いずれ期待通りに活躍していく可能性を持つ配合パターンではあるものの、迂回血ライン種牡馬を中心とした異系要素を伴う活力および底力系の効力が阻害されやすい面もあります。

 「父と母父」の見た目だけでは狙えない、という典型的ケースとなってしまいましたが、初戦のシンガリ負けを見返すだけの力量が備わっているのかどうか、再登場の時期を待ちたいと思います。



blood_max at 17:38|PermalinkComments(0) 2歳馬 考察 

2010年11月20日

東スポ杯2歳S回顧+マイルCSチョイ考

 個人的にはフェイトフルウォー(7番人気)を◎にし中穴狙いで勝負してみましたが、やや追い出しに手間取り3着まで。

 しかも人気薄マイネルラクリマに内々で粘られ、かなり際どい決着でした。マイネルラクリマはやや間隔が空いていたことと、マイルからの距離延長を疑問視する見方が多かったのか、9番人気でしたが馬券にあと少しでしたね。マイル路線に戻るより、このまま1800m以上の路線を目指してもらいたいところです。

 これでリフトザウィングスが4着以下にコケていてくれたら3連複3万馬券が手中にできたはずなのですが、阻止されちまいました(苦笑)。考察した良い面(プリンスキロの血量が最上位の母)が、今後も活きるのかどうか観察を続けます。

 2番人気で7着に終わったトーセンケイトゥーに関しては早速、考察どおり懸念された凡走パターンの血が発露してしまいましたようで・・・。

 サトノペガサスは人気サイドではありませんでしたが、やはり懸念された血統背景(ノーザンダンサー系のラインに過度に頼る配合)が昨年のモズ、スペースアークなどと同様に露呈した感あり、ですね。

 イイデタイガーも注目したんですが故障発生でしょうか・・・。失速度合いが普通ではありませんでしたね。

 勝ったサダムパテックについては、思った以上に中距離対応がしていけそうな気配ですね。ただ、エリシオ頼みの背景のみというのが今後のG1戦線で活きてくるのかどうか、もう少し観察を要します。

 素質馬(と思しき)面々が多くて難解でしたが、今後もこういうケースが増えていくと思われます。これからはBBLP=12以上が中距離重賞連対レベルの平均値、になっていくのかも。研究は怠りなく続けて参りたいと思います。


 さて、古馬中心のマイルG1戦。昨年も血統的に決して強いとは思えないマイネルファルケの2着逃げ粘りで、意気消沈・・・。

 今年はもう少し、まともな結果(スローの逃げなど通用しないレベル)であって欲しいのですが。

 個人的にはマイル戦そのものが迂回血ラインの要求度を下げる、という見解を持つことと、古馬の重賞路線というのはそれぞれの陣営が管理馬の血統ポテンシャルをキッチリ把握した上で出走してくるので、血統ファクターを予想のウエイトで最上位に置くのは不適切、と考えています。

 つまり重要なのは現在の充実度(ベストな臨戦過程、体調の維持・上昇)と、コース適性が考察の主たるウエイトとすべきでしょう。

 古馬のG1戦は、血統の要素はあくまでも根拠の下支えというか、現時点の充実度がまず先にあって、そこに血統背景の良し悪しを加味する、というスタンスで予想に臨みたいところですね。

 そういう意味で、いつもの2歳戦、3歳戦でしているような「血統考察最上位の予想」というのはしないわけです。というわけで各馬の母のBBLPは取り上げません。あしからず・・・。


 個人的には、まずダノンヨーヨーがダンス産駒にしては珍しいほどの、「人気を裏切らないタイプ」という部分について最大限の驚きをもって見つめています(苦笑)。

 1番人気になると一番コケやすいのがダンス産駒、と思っているほどなので、今回も黙って2、3着固定と致します。もし勝たれた場合はTV画面の前で最敬礼、平伏低頭致します所存・・・。

 じゃあアタマで狙ってみたい馬が他にいるか?というとこれがあまり、推挙したくなるほどの存在もなく、2年連続で意気込みを示す外国馬サプレザにするのも能がないし・・・。

 本質的には中距離馬の、テイエムオーロラ(母のBBLP=11)を◎にしてみようかなと思います。今回は逃げ先行タイプの同型が多く、前走のような牝馬同士のスローな逃げ程度では最後に捕まる公算も大ですが、そこでジョーカプチーノを押さえ込む位のハイペースに持ち込んで、3着以内に粘りこむスタミナが発揮できないかな?と。

 スピード決着だと苦しいかもしれませんけどね。相手は当然ジョーカプチーノ、Dヨーヨー、サプレザ、さらには元々このブログでマイラーと評しているオウケンサクラが状態を維持できていれば絡めたいところ。

 手広くいくならスマイルジャック、トゥザグローリー、京都合うワイルドラズベリー、ゴールスキー・・・。

 全然絞れそうにありませんな・・・(苦笑)。


blood_max at 21:22|PermalinkComments(0) 2歳馬 考察