2010年06月

2010年06月29日

宝塚記念他 感想

 先週の競馬を少々回顧・・・。

 ナカヤマフェスタ1着ですか・・・。渋めの馬場が奏功した感じもしますし、今後、パンパンの良馬場でブエナ以下今回退けた連中を再度打ち負かすようなことがあるのなら実力はホンモノでしょうが、まだ何とも言えない感じですね。

 ナカヤマFを今回、某血統予想家が見事に推奨馬としていました。予想がハマる時というのは、どんな事前のウンチクでもそれが「正論」となるわけですから、何の注文もありませんけどね・・・。

 実は、2つ前の記事で取り上げた、「とことんノーザンダンサーの血に頼る」は、ナカヤマフェスタにもズバリと当てはまっていて、5代内には3つのノーザンダンサーの血が存在しているわけです。

 母父のタイトスポットには、「異系トウルビヨンのライン」はネヴァーベンド経由でたった1つあるだけなので、これまでの記事で考察してきたステイゴールド産駒に特有の「活躍理由」は、おそらくナカヤマフェスタには当てはまらず、「計3つのノーザンダンサーの血の威光」のほうが前面に出るタイプと個人的には見ています。

 秋には凱旋門賞挑戦、ということですからそれはそれで応援してあげたいと思いますね。ヴィクトワールピサともども無事に夏場を過ごして、万全の状態で臨んで欲しいと思います。

 まあ、さすがに凱旋門賞ではヨシトミさんの騎乗はないんでしょうけども(笑)。あるんですかね?このままのコンビでの挑戦なんて・・・。


 ブエナビスタは、やっぱり強いですねえ。やや重まで回復した馬場なのも良かったのでしょうけど、前々で競馬をした馬には厳しい流れだったはずです。牝馬2キロ減の恩恵は常にあるにしても、G1戦で牡馬相手に正攻法で前半千m60秒ジャスト、残りの千二mで73秒というキツい展開を最小限の失速に止め2着キープ。

 ブエナ3着づけで決め打った予想もこの時点でアウトでしたわい(ナカヤマフェスタもブエナ圏外の場合の3着づけでしたが・・・苦笑)。


 さて、記事にしたディープインパクト産駒のヒラボクインパクトも1番人気に応えて勝利しましたが、3着以下は引き離したにせよ、2着の牝馬ミススパイダーとはほとんど能力差がないような気も・・・。

 時計的にも新馬戦にありがちな超スロー(千m通過時64秒7)でしたし、この時期にこれだけやれれば御の字かもしれませんが、通常クラシックを目指すような馬が出現するのは9月あたりになってからですし、素質馬が出揃ってくる時期にどういう競馬をしているか、またそのタイミングで見解を出すことにしたいと思います(その時期に更に勝ち上がっていればの話ですが)。  
 

blood_max at 22:43|PermalinkComments(1) 競馬 血統 予想 回顧 

2010年06月26日

明日の福島新馬戦

 今日土曜の新馬戦では先ほど、福島芝1200mでディープ産駒の牝馬サイレントソニックが勝利したようです。ただ個人的にはこういう短距離で勝ってもクラシック直結とはいかないと考えるので、今後距離をマイルまで伸ばしても対応可能かどうかがサイレントSの能力判定の分かれ目でしょう。

 サイレントSの母ムーンライトガーデンズは、ミスプロ直系の牝馬でなおかつミスプロ(4×3)の配合を持ち、さらにミスプロの父レイズアネイティヴの血を5代内に3つ持つという、かなりコテコテの「スピード強調型配合」ですので、1200m戦でデビューさせた陣営の判断は至極当然とも思えますが、逆に父ディープの中距離系要素とうまく噛み合う配合なのかどうか、今後の距離延長に課題もありそうな感じではありますね。


 さて明日日曜の福島新馬戦は1800mの距離で施行されるので、少し出走馬を見渡しておきたいと思います。

ヒラボクインパクト(母ドリームカムカムの迂回血ライン数=おそらく無効)

 この母馬は、父アンバーシャダイ×母父Lomond(その父ノーザンダンサー)で、ノーザンダンサー系の両親を持つ同系配合馬です。さらにクロス位置としてはノーザンダンサー(4×3)の影響力が大きく、遺伝的な支配力も強いと思われるので、ハイペリオンやプリンスキロといった迂回血ライン種牡馬がいくら先祖に多めにあるとしても機能しきれず、私の基準からは注目馬としての対象から外れます。

 父がディープインパクトであっても、こういう母馬の配合ではディープ自身の良さはほとんど活きないと私は思います。まあ、今後もし活躍するとしても個人的に注目することはないでしょう。


 私が個人的に注目したい血統の馬は、Tiger Hill産駒の

ショウナンバーズ(母ショアーの迂回血ライン数=9)

 ショウナンバーズ自身はノーザンダンサー(4×4)のクロス配合を持っており、そのことでやはり迂回血ラインが機能しない馬かもしれないのですが、デインヒル直仔種牡馬のタイガーヒルは、ネアルコ経由の血のラインを直系の父系以外から一切得ておらず、注目したい父です。

 今どき、単体でネアルコ経由の血のラインを計10前後持つような種牡馬や繁殖牝馬が当たり前のように存在していますが、ショウナンバーズはネアルコ経由の血のラインを(父1+母4)で計5つしか持たず、異系要素の強い血統背景の持ち主とも言えます。

 活躍して行けない場合は仕方のないことですが、もしショーナンバーズがクラシック戦線にも名乗りを挙げていけるようなら、日本ではあまり成功例のないデインヒル系としての注目度も高まりますし、母ショアー自身の血統背景もおそらくサンデー系種牡馬との相性が良い可能性があるので、今後サンデー系種牡馬を父に持つ半弟や半妹が続々と登場するかもしれないですね。

 実際、ショアーの09(父ディープインパクト、現1歳)が半弟として既に産まれています。来年以降も、この母の仔らに注目したいと思います(気の長い話ではありますが・・・笑)。

 

blood_max at 14:54|PermalinkComments(4) 2歳馬 考察 

2010年06月22日

とことんNDの血に頼る・・・が加速中?

 昨日注目した阪神の新馬戦ですが、トールポピーの全妹アヴェンチュラが他馬を問題にしない走りで完勝、といった感じでしたね。

 このレースでは1、3、4着馬がいずれもノーザンファームの生産・育成馬ということで、何かこう、血統というよりもひとえに育成技術の確かさであるとか、育成に伴う施設・設備の充実ぶりといった側面が浮き彫りになっているのかなあ、という憶測は出てくるようにも思います。

 上位馬4頭の父を見ても、ジャンポケ、ロックオブG、ディープI、Tギムレットというように系統で言えばそれぞれ異なる面々なのですが、今回の産駒たちの血統的側面で強調できるのはやはり、

アヴェンチュラ:ノーザンダンサー(4×4)

エイシンオスマン:ノーザンダンサー(4・4×5・5)

シュプリームギフト:ノーザンダンサー(5×5・5)

ラバーフローの母フェザーレイ:ノーザンダンサー(5・4×4)

 と、受け継ぐクロスの形態はそれぞれに微妙な違いはあるものの、「とことんノーザンダンサーの威光におんぶにダッコ」・・・的な側面があることは否定できませんね。

 私が、「芝のG1級の馬」の血統背景を研究し始めた2006年頃でも既に、ノーザンダンサーの近親クロスを持つことで活躍しているタイプは確かにいました。

 けれども、ノーザンダンサー経由の血のラインを計3つとか、計4つ持つことで芝のG1級になっていくような馬は、せいぜいキングカメハメハぐらいしか見当たらなかったように記憶しています。

 ですが今年の2歳馬たちの血統背景をランダムにちょっと眺めただけでも、それこそ、「うじゃうじゃいる」ような状況になりつつある感じです。

 ほぼ4年が経過して、そういうキンカメ的な血統背景が当たり前の時代になってきたのかもしれませんが、少なくとも、サンデー系種牡馬たちの中で3歳クラシック級の馬をコンスタントに出しやすい傾向にあるのは「母方にノーザンダンサー経由の血を持たない」タイプのアグネスタキオンやMカフェ、ZロブロイにネオUなどであることは、再三再四このブログで言っていることです。

 であれば、もしかするとディープインパクトの後継種牡馬になるような大物は、ノーザンダンサー系の血にはほとんど頼らない血統の母馬から出てくるんじゃないのか?という、推測なり憶測が出来るとしても何ら不思議ではないと思います。

 私がディープインパクト産駒の中で注目したい馬は、そういうタイプなんですね。

 ディープインパクトならば、「とことんノーザンダンサーの血」などというものに頼る必要はない、と考えておりますので。

 どういうタイプの産駒が、次世代の「サンデー系種牡馬」足りうる存在なのか?その可能性を探っていく楽しみも、これからどんどんありますね。

blood_max at 00:03|PermalinkComments(0) 2歳馬 考察 

2010年06月19日

20日の阪神・2歳新馬戦から

 個人的には、1000mとか1200mの距離での新馬戦にはほとんど関心の目を向けませんが、その理由としてはやはり、クラシック路線を目指せるような素質の馬は、マイル以上の距離の芝レースでデビューして結果を出していくケースがほとんどだからですね。

 明日・日曜の阪神競馬場では、芝の1600mで2歳新馬戦が行なわれます。先日記事にしたディープインパクト産駒のシュプリームギフトが出走予定でもあり、多くの競馬ファンが注目することでしょうが、私の場合はそれだけではなく、マイルという距離であることのほうが注目度としてはより重要です。

 このレースには、トールポピーの全妹アヴェンチュラも出走予定で、いきなり話題の馬同士での一騎打ちか?なんて感じになりそうですね。トールポピーの母アドマイヤサンデーが持つ迂回血ライン数は、かなり以前に記事にしていますが10という値です。

 ただこの姉妹の配合にはノーザンダンサー(4×4)のクロス要素もあって、フサイチホウオーもそうですが早期の能力開花には優れていても、3歳夏以降で全くの急降下となるような感じでした。

 兄や姉と異なり、アヴェンチュラが古馬以降も結果を残せるようであれば、そういう血統のイメージは払拭できるかもしれませんが、まずはこの新馬戦でディープ産駒との対決という課題をクリアできるかどうかが見ものです。

 とは言っても私自身の個人的な注目馬はフジキセキ産駒の、

タガノキズナ(母タガノシャルフの迂回血ライン数=9)

 半姉には現3歳のタガノガルーダ(父ネオユニヴァース)がいますが、芝路線では昇級もままならずに推移しています。けれどもマイル路線限定であるならば、フジキセキに父が替わったことで、もう少し活躍の可能性があると思われます。

 特に、過去記事でも述べたとおりフジキセキは、「異系マンノウォー」の血のラインを強めに持つ牝馬との相性が良いことが挙げられますが、タガノキズナの母の母ポリッシュプリンセスは、マンノウォー直仔のウォーアドミラルが(6×5)という位置でクロス馬となる配合の持ち主です。

 世代的にはちょっと古めの位置ではありますが少なからず、フジキセキとタガノシャルフとの配合で何らかの遺伝要因における「呼応」があっても不思議ではありません。

 明日の結果がもしダメであっても、タガノキズナの動向にはもうしばらくの間、注目し続けたいと考えています・・・。

blood_max at 22:41|PermalinkComments(2) 2歳馬 考察 

2010年06月08日

種牡馬トレンド 世界的再編への予兆?

 競馬ファンであれば大方ご存知のことと思いますが、イギリスにおいて開催されたエプソムダービーで、Work Forceという馬が2着に7馬身もの大差をつけ、それまでラムタラが持つレコードを更新しての圧勝、というニュース。

 ワークフォースという馬のことは殆ど分かりませんが、その父がKing's Bestと聞いて驚くと共に、「血統」という二文字で競馬&競走馬をツブさに眺める習性を身につけてしまった者として、やはり“血が騒ぎ”ました(笑)。

 日本でキングズベスト産駒のエイシンフラッシュがダービーを制した翌週に、伝統の本家本元、近代競馬発祥の地イギリスのダービーでもキングズベスト産駒が優勝するというシンクロニシティ。

 前評判ではさほどでもなかったらしいですが、1番人気になると見られていたセントニコラスアビー(父モンジュー)の出走回避で、それまでの5番人気程度から3番人気程度に若干支持を上げていたのがワークフォースだったようですね。

 ワークフォースは母の父がサドラーズウェルズということで、ここ数年の欧州のサイアーランキングではデインヒルやサドラーズウェルズの後継種牡馬が抜きん出て活躍している状況から見れば、日本でいうところの、「母父サンデーS」的なトレンドに沿ったものという見方もできます。

 けれども、直系父系が「ネアルコではない」種牡馬キングズベストの産駒が、欧州でのネアルコ直系種牡馬としては最大派閥となっているサドラーズウェルズ系や、日本でのネアルコ直系種牡馬としては最大派閥となっているサンデーサイレンス系という、日欧2大トレンドのサイアーラインの産駒たちを、日英それぞれで同年に開催のダービーにおいて打ち負かしたいう事実についてはやはり、「ただごとでない何か」を感じざるを得ません。

 日本ではサンデーサイレンス系への一極集中、欧州ではサドラーズウェルズ系+デインヒル系への一極集中となっているのが、今現在の「馬産ビジネスのトレンド」です、ぶっちゃけた話。

 しかし、そういった馬産ビジネスのトレンドとは真逆のものというか異質のものが、必ず何らかのカタチで「異議アリ〜」と唱えて、それまでのトレンドの流れを断ち新たな潮流へと導く・・・。

 世界的に、そんな流れがもし本当にあるとするならば、血統で競走馬の能力を微に入り細に入り、推し量るという作業はこれからますます、重要度を増してきます。

 例えそれが、アマチュア競馬ファンの他愛ないちっぽけな趣味にすぎないものであるとしても・・・。

 「迂回血ライン」は、そんな一個人の、プロ側の目線からすれば異端極まりないオリジナルな発想の仮説に基づく血統評価法です。

 迂回血ラインの根底にある視点はシンプルそのものです。有名な某配合理論にあるような、緻密な9代クロス馬分析などは全くしないし、因子だとか何とかがこういう構成になってるから強い、などという理論のように高尚な解析もありません。

 キーポイントは唯一つ、「ファラリスの直系子孫のみ、何故こうまで繁栄してきたのか?」という視点。

 そしてその視点で、「父と母父」オンリーで能力の説明を簡素化するのではなく、母馬の底力ポテンシャルの全体像を中心に据えて検証していきます。

 今後しばらくは主に2歳馬と、初年度産駒を送り出す種牡馬たちについての考察がメインとなります。

blood_max at 23:36|PermalinkComments(0) 種牡馬 単体考察